学習能力
前回の続き。
「健康犬訓練所です」
「警察本部の○○○警部です。所長と話せますか?」
「お待ちください」
「所長です」
「警察本部の○○○刑事です」
「いつもご苦労様です」
「ちょっと教えてほしいのですが、スズメに学習能力はありますか?」
「あります。餌付けを繰り返すと顔を覚えます」
「わかりました。あと、スズメの行動範囲はどのくらいですか?」
「半径約1km です。もしかして、大統領の件ですか?
あのスズメ・・気になるかと言われると、そうです。誰にも話してませんが」
「これからも内密でお願いします。どうもいろいろありがとうございます」
「どういたしまして。真相がわかるように祈っております」
警部は次に本部の医官に電話した。
「何かの毒物に対する解毒剤を合成して、それを動物に与えるとどうなるのでしょうか?
餌に混ぜるとかして」
「その毒物が効かなくなりますが、解毒剤がその動物の体の中に残っている間に限られます。
もしかして、大統領の件ですか?あのスズメ・・ただの鳥なら何もないと思いますが」
「この電話については内密でお願いします」
「了解。ご質問はいつでもかまいません。何かあったら連絡してください」
「わかりました。ありがとうございます」
国際刑事警察機構本部でも、大統領の件が話されていた。
「あの人は元オリンピック選手で、官邸で毎日鍛えていたそうじゃないか。バーベルをあげるとかして」
「今回の件は信じられない」
「本当に『急性心不全』だけなのか?」
「まさかとは思うが、毒殺?」
「そのへんがまったく報道されていない」
「3つの国の沼で魚が浮いた事件とは無関係かな?」
「日本だけでも解析できるといいんだが」
「あの国でも無理なら、できる国があるか?」
さて、くだんの若い刑事。
また官邸に電話した。
「大統領ですが、ひげはどうやって剃っていましたか?カミソリかシェーバーか。調べて教えていただけますか?」
数分後に返信が。
「両方を併用してました。あまり時間がないときはシェーバーで。
何か重要な行事がある日は、朝にカミソリで入念に剃っていました」
「わかりました。ありがとうございます」
刑事は再び医官に電話した。