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異世界転移のお詫びに嫁をもらいました ~スキルか嫁か決断するためにおっさんは神との約束の地へ向かう~  作者: うららぎ
初めての町

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五十五話 あの件をお前に任せた訳か



 腰まである金髪に蒼い瞳、可愛らしい顔とエルフの特徴でもある長い耳。

 まさにどこから見てもエルフだった。背の低さを除いては。

 明るい草色の軍人のような服装をしていて、胸元の金色の刺繍が全体に上質な魔力を行き渡らせているように()える。


 このちんまりした気の強い感じが、あの神様に似ているような気がしないでもない。これが本物のエルフか……少し思っていたのと違ったけど。


「お前たちは名乗り、私の話を聞いた。応じないのはさすがに非礼(ひれい)になるか。エルドラ……それが私の名だ」


 ガレイムが声を上げた。


「エルドラだと!? まさか、エルドラ・エルフィードか!? エルフの国の王が何でここに!」


「何だ知っているのか。そのエルドラ・エルフィードだ。まあ、私がエルフを国にした最初の()だからな。知らないはずもないか」


「王ってつまりは、男ってことですか?」


「まったく、人間は面倒だな。私が男に見えるのか? エルフの国では頭に立つ人間は男も女も関係ないし、一族を導く者を王という。長老どもは依然として口うるさいが、私が決めたことに異を唱える者はいない」


 エルドラ・エルフィードがルリを指さして続ける。


「そこのルリと言ったか。お前の言っていた樹木の精霊(ドリアード)は希少種ではない。あれはバロン様から子供を預かる代わりに頂いたもの。風の加護を受けた樹木の神霊(ドドズ)だ。希少種など、あれほど厄介で害悪なものはない」


 そしてエルドラ・エルフィードがガレイムを指さして怒りの声で続ける。


「貴様! あの樹木の神霊(ドドズ)にトドメを差しに行くとは、何を考えている! ミスリル製の双剣で刺そうものなら死んでしまうではないか!」


「はあ? 先に殺されかけたの俺なんだけどな」


「何だと! 貴様! そもそも勝手に……」


 同じ話をループするように言い合っている。

 とりあえず、おさまるまで放っておこう。

 それにしてもミスリルか……ファンタジーに良く出てくる金属だよな。


「ねえ、ルリ。ミスリルってそんな凄い物なの?」


「……はい。エルフの特産というべき金属で、加工は難しいですがその武器は鋼よりも強度と切れ味があり、不死や霊体の相手だと特に効果が強いのです。樹木の神霊(ドドズ)にガレイムさんの攻撃が通ったのもミスリルの武器おかげもあるということですね」


「まったく、この男は話にならんな! バロン様から受けた依頼とは何だ? 何をしに来た」


 俺のほうを少し見上げるようにエルドラ・エルフィードが話してくる。


「子供たちが無事かどうか確認したかったんです」


「無論、無事だ。樹木の神霊(ドドズ)もいるのだ。本来であれば上位に属する冒険者ではない限り、相手にもならないはずなのだが……。まあ、バロン様が選んだだけあるのか。うーん……いや、しかしだ、バロン様から依頼を受けた証明になるものはあるのか?」


 証明になるもの……バロンからもらった『真実の指輪』しかないけど、これで大丈夫かなぁ。これしかないから、見せてみるか。


 俺は、真実の指輪を見せるとエルドラ・エルフィードは納得するように頷いた。

「それは、バロン様にお渡しした物だ。なるほどな……では、あの件(・・・)をお前に任せた訳か」


 するとルリが俺の腕に身を寄せて、手に力を入れると声を上げる。


「……お前ではありません。カイトです」


 エルドラ・エルフィードは横から入って来たルリの声に一瞬、面食らったような顔をすると、声を上げて笑った。


「はっはっは! 悪かったな。では、カイトがバロン様から引き継いだのは分かった。子供たちに会わせよう。ついてくるといい。皆、元気なものだ」


 歩き出した小さな背中を追って、歩くと森の中の木々が避けて道が開けていく。その先には大きな家があり、子供たちが元気に走り回っていた。その付近にはテーブルがありお年寄りが集まって談笑していた。


「どうだ、皆元気だろう! 私が見ているのだ。当たり前なのだがな!」


 自慢げに胸を張り言う様は、威厳も何もないけど可愛らしい。

 エルフって皆、背が低いのだろうか。


「確かに、元気そうだね」


「……はい。良かったです」


「お、ジジババたちはあっちか。ちょっと、声かけてくる」


 そういうとガレイムはお年寄りの集まりに入って行った。昔からの知り合いみたいな感じで普通に溶け込んでいる。さっきまで、戦っていた同一人物とは思えないよ。


 そして、子供たちが追いかけている先に、人型の妖精がふわりとふわりと飛んでいた。手に乗せられるくらいの大きさで、背中には蝶のような羽があり、それは透き通るような透明な美しさがあった。

 これって、妖精だよね。イメージそのままで何か感動するなぁ。

 何も言わずにルリを見ると答えてくれた。


「……あれは妖精です。普通、妖精は人の目には見えないはずなのですが……」


「それについては、私が答えよう。妖精は霊体に近い存在。だから通常であれば、目に見えないのだ。妖精は自ら姿を現すことも、ほぼ無いからな。この結界内の安全は保障されているし、バロン様からの頼みもあるから特別に見える状態でいるのだ」


 その時、子供たちの相手をしていた妖精がこっちに向かって飛んできた。

 すれ違いざまに、声が聞こえる。


『フフフッ、少し任せちゃおうかなぁ~』


 と、続いて子供たちがどっと押し寄せてくる。


「あーー! しらないひとがきたーー!」


「なんだよ、おっさんじゃん! まあいいや、遊んでよ!」


「こっちの、おねえちゃんはすっごく可愛い! ねーねー、どこから来たの?」」


 俺は蹴られたりしながらも、引っ張られて遊んでくれとねだられた。

 ルリはルリで女の子に囲まれて質問攻め合っていた。

 この違いは何だよと思いつつ、しばらくは子供たちの相手をすることになったのだった。




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