五十話 我らは還るのだ
レノをあれだけ大事に思っていたんだ。
苦しめられていた病原の根から開放されて、あんなに顔色が良くなればそうなるか。戦った時でも相当レノの顔色が悪いのは、俺でも分かるくらいだったからなぁ。
それにしても、コレはどうしたらいいんだろう。
手の中で動いている気持ち悪い病原の根を視た。
『離せ! 我らは還るのだ!』
ルリが俺を見て、不思議そうな顔をしている。
「……どうしたのですか? 手を上げたまま固まって」
「え? コイツの声が聞こえない?」
「……コイツとは何でしょうか?」
どうやらルリには見えていないし、聞こえてもいないようだ。
「これ、病原の根が喋ってる。どうすればいいかな?」
「……病原の根が喋る? その手にいるのですよね。見えませんけど、何かがいるのは分かります」
ルリは少し警戒するように俺の手を見ている。
『我らは仲間であろう。次はその女だ』
何だコイツは、勝手に俺の事を仲間にしているんだけど……。
『何を言うか、どうみても貴様は仲間だ』
まさか……俺の声が聞こえているのか?
『我らは繋がっているのだ。当然聞こえる』
やっぱり聞こえているな。
一応、話は通じるみたいだ。
『繋がっているってどういうこと?』
今度は明確に頭の中で伝えるように話してみる。
何かしっくりこないけど、慣れなのかな。
『我らは……勝手に女のほうから来たな。どれ』
気持ちの悪い触手が伸びると、それに気づいたのかルリは軽く半身をずらしてかわした。見えていないはずなのに凄いな。
「……今、何か来たような気配を感じました。とても嫌な感じがします」
『この女は駄目だ。魔力がほとんど無い』
イラッとしたので強めに握ってやった。
『いいか、勝手にルリに取り付こうとするな!』
『グアアアア! や、やめろ! 魔力の無い者に付いたりしない! 手を離せ!』
黒い触手が俺の腕に絡んで引き抜こうとしているけど、そんなの無駄だ。
こっちはガッチリつかんで離さないからね。
『離すワケないだろ。その奪い取った魔力は戻せないの?』
『戻せるはずがないだろう。んん? 何だ、お前のその魔力は! それだけあれば、ようやくあのお方が復活することができる! そうか、お前が集めた魔力を持って行くというのだな。ならば、この魔力をお前に託そう』
病原の根が手に吸収されるように消えてしまった。
*** おっさんは「集約された闇の魔力」を取得した。 ***
「集約された闇の魔力」を得た事で「魔力の覚醒」が「終極の魔力」に変化しました。「集約された闇の魔力」と「魔力の覚醒」は失われました。
*** おっさんは「終極の魔力」を取得した。 ***
全ての「魔法使い」が求める至高ともいうべき魔力。
常時および魔力操作による魔力の回復が速くなる。
その難易度に関係なく、魔力を自由自在に扱うことが可能となる。
そして、それは魔力によって「あらゆる可能性」に存在するゼロを消すことができる。
また変なメッセージが出て来た。
病原の根からもらった魔力で「魔力の覚醒」が変化した。
それに、「終極の魔力」ってなんだろ?
どういう事だろうと思っているとルリに声を掛けられた。
「……カイト、変な気配が無くなったのですけど、大丈夫ですか?」
ルリが俺に向かって手を伸ばしてきた。
普通に抱きしめるように受け止めると反応がない。
おかしいと思って、ルリをみると目を閉じたままだった。
「ルリ、どうしたんだ? なあ、ルリ!」
初めて会った時のように、無機質な表情でルリは静かに眠っているようだった。
重要だけど忘れた頃に。
病に倒れた作中の神様が「から揚げにレモンを勝手にかけたヤツは処す……」と
血眼になって犯人を捜していて大変なので、面白かったら評価をお願いします。




