四十五話 だから我は疑問だったのじゃ。アレが名前を求めた事に
「必要ですよ。ルリがいなかったら、俺は不安です。この世界の事を何も知らないし、魔術も教えてもらっている最中ですから」
「しかし、若すぎると最初は言っておったのじゃ」
「そ、それはいきなり嫁にしろとか神様が言うからじゃないですか」
「ほぅ……ならばルリよりも歳が上なら良いのかの」
「さっきからどうしたんですか、何か変ですよ」
神様はキョトンとした顏をしている。
「我は『好きにせよ』と言ったのじゃが、カイトは何もしておらぬ。そりゃ我から、こんなにも素晴らしい護衛を与えられたのじゃ。言いにくいのも分かる」
「あのぉ……」
「ああ、分かっておる、分かっておる。あの時は、初対面であったし『好み』というものを聞き忘れた我にもほーーーーんのちょっとだけ落ち度が無きにしも非ずなのじゃ」
神様らしくないというか、もしかしてルリと誰かを交換したがっているのかな。
俺が何もしていないから不満って、まだ二日目なのに何をしろと。
「もしかして……ルリを誰かと交換したがっていたりします?」
それを聞いて、神様が急に目が泳ぎ出しているし。
何て分かりやすい神様なんだろうか。
「な、何のことじゃ? 別にルリと交換などと、まだ一言も口にしておらぬ」
「本音が漏れていますよ」
「な、なんじゃと! 我が交換しないと、何かあったときにまた怒られてしまうからカイト好みの護衛を見繕って交渉すれば何とかなるじゃろって、分かったというのか!?」
「また怒られるって、誰が神様に怒れるんですか。それに思っていることダダ漏れですよ」
「ふっ、そこは『しーくれっと』というヤツじゃ」
ぷいっと顔を完全に背けて、神様は口を固く閉ざしている。
別に関係ないからいいんだけど、気になることを言ってたな。
「まあ、それはいいんですけど。だったら、『何かあった時』ってどういうことですか?」
「……我から聞いた話を、ルリには言わぬと誓えるか?」
物凄い渋った顏しているけど、そんなに嫌なら聞かないほうがいいのかなぁ。
いや、でもルリの事だったら聞いておかないと。
また変にすれ違うのは嫌だからね。
「誓いますけど、ルリに知られるとそんなにマズいんですか?」
「マズいというかのう……ルリは我を母の様に思っておるのは知っていよう」
「神様を疑う事があるとすぐ怒りますからね」
最初は神様を母親としてみているからかと思っていたんだけど、それ以上にルリは神様を絶対視していた。
愛情とは違った感じに見えたのがちょっと疑問だったけど……ルリの純粋な想いだからこそなのだろうと。
「だがな、正直に言えば想定外だったのじゃ」
「想定外ってどういうことですか?」
「そうじゃな。起き上がる事は想定していたのじゃが……ルリとして目覚める事を想定しておらんかったのじゃ」
「どういう事ですか? だって、あの『魔力の球』を身体に入れれば起き上がるって言ったのは神様ですよ。ルリが目覚めなければ何が目覚める予定だったんですか?」
「実はな、あの器は『フォーレリア』の身体だったのじゃ」
「え、あの身体ってフォーレリアのものだったんですか!?」
「うむ。だから我は疑問だったのじゃ。アレが名前を求めた事に。
そして、我を母と言った事にな」




