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異世界転移のお詫びに嫁をもらいました ~スキルか嫁か決断するためにおっさんは神との約束の地へ向かう~  作者: うららぎ
やっと実感、ここは異世界

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十二話 監視をされる心当たりがある人はいますか



「……ま、二人が会うことはねえと思うけどな」


「それはどうして?」


 会う事はないとウォルフは言うからには、近くにはいないという事なのかな。


「ガレイムは今、牢屋だからな」


「そうなのよ。あのアホタレ、いちいち大暴れしすぎるから」


 ウォルフの言葉にキリリは相槌(あいづち)を打ちがら、何だか怒っている。

 こんなちらっと話を聞いただけでも、危険な奴っぽいのは分かった。

 ウォルフだけでも、とんでもないのに似たようなのがいるって、思っていた異世界と何か違うよね。


「……だな。まあ、そういう事だから、大丈夫だってことだ」


「な、なんだか危険な奴なんだなぁ。会うことがなくて良かった」


「……そうなのでしょうか。本当に危険ならばウォルフさんがどうにかしていそうです」


 ルリが疑問を持っているけど、今の話聞いてなかったのだろうか。

 どこをどう聞いても危ない奴だよね。

 ガレイムってやつだけ、一人で牢屋に入っているんだから。


「まあ、な。つい話したけど、そんだけだ」


「まー、あたしはウォルフが話した理由、何となく分かるよ。……ルリを見て思ったんでしょ?」


 ウォルフは何も言わなかったけど、肯定しているかのように頭をかいていた。

 何でルリが関係あるんだろうか。


「分かってるって、さすがに図々しいもんね」


「……あの、話していただければ、ご相談に乗ります」


「あー……じゃ、どうしようもなくなったら頼むわ」


「……はい」


 あのウォルフでも言いにくいことでもあるのかね。

 図々しいってなると、何かをしてもらいたい系なのかな。

 今すぐにどうこうしたい話じゃなさそうだけども。


 それにしてもさっきから、見られているような感じするの俺だけか。

 さりげなく周りを視るようにしてるけど、何も感じないんだよね。

 気のせいなのか……いや、やっぱり感じるな。


「でもよ、助かったぜ。まさか、盗賊があんな集団で狙ってくるとは思わなかったわ。俺としたことが人質まで取られちまってな」


「あたしの乗っていた荷馬車なんて転倒して大変だったわ。荷物はバラバラになるし、盗賊には囲まれているし」


「そっちは大変だったみたいだな。俺のほうはよ、弓矢がすげえ邪魔でな。守るのが大変だったんだ。ちょーっと剣を大振りしすぎちまったみたいでな。そんな事ないと思ったんだが、そのせいで依頼主のハースさん達が離れすぎちまった」


「それ聞いたわ。あんたが、なりふり構わない戦い方するもんだから、捕まって人質にされたって。守りながら戦うとか基本でしょ。何やってんだか」


「そう言われるとキツイんだけどよ。何か納得いかねえんだよな」


「それよりあたしのほうが大変だったんだって! 五十人くらいの盗賊に囲まれちゃってさ」


「そりゃ、災難だったな。でも五十人くらい、キリリならどうってことないだろ?」


「まーねぇ。馬鹿みたいに集団で固まっていたから、広範囲のアースメルトで地面を底なし沼にしてやったから、意外と楽だったわ」


「盗賊ってやつはよ、連携ができてないやつが多い。それで集団で囲うとか、魔術使い相手に死にに行くようなもんだな」


「けどさ、あいつら仲間落として抜け出してくるから面倒だったのよ。広範囲のアースメルトなんて、久しぶりに使ったから思った以上に魔力を消費していたのに気が付かなくてね。最後の一人で魔力切れで捕まったってワケ。もう最悪よ」


「そんで、当てにしていた俺が倒れていたと」


「あんたが倒れているとか、普通に思わないでしょ」


 二人がお互いの顔をじっと見ていた。

 何か思うところがあるのだろうか。


「何か……随分と綺麗に分断されたよな」


「あたしもそれは思っていたのよね」


 ウォルフとキリリが急に黙り込んで考えているようだった。


 ルリを見ると少し考えているような表情をしていたけど、俺の視線を感じるとじーっと見つめ返してきた。ルリが何か言いたげな瞳で見てくると、俺は何もしていないのに心苦しくなって視線を逸らした。あかん、負けた。


 ルリが小声で話して来る。


「……どうして視線を逸らしたのですか。……何かやましい事でもあるのですか?」


「人聞きの悪い事を言うなよ。やましいことなんてないよ?」


「……目を、逸らしました」


「それはルリが圧力かけてくるからだよ」


「……普通に見ていただけです」


「いや、何か聞きたそうな目をしてた。ハースさんが話していた時もチラチラ見ていたし、どうしたの?」


「……それについては、後でお話します。……そうやって、話を逸らそうとしても騙されません。何かあるなら話してください」


「隠し事とかじゃないんだけどさ……視線を感じるんだよね」


「……視線ですか。わたしは何も感じませんでした。ですが、カイトがそう感じるのでしたら、誰かが見ているのでしょう」


「よく分からないし、気のせいだと思うんだ。別に気が立ってる訳でもないんだけどさ」


「……マナサーチを使います。……カイトが分からないと感じるのでしたら、考えられる原因としては、おそらく距離が遠すぎるのだと思います」


 ルリは歩きながら少し集中して、魔術を使うみたいだ。

 どれくらいの距離まで見にいけるのだろうか。

 ルリの事だから、とんでもない広範囲を見に行くのだろうけど。


 ()てみると、魔力がルリを中心に薄く広く、さざ波のように遠方まで飛んで行った。いくつかの魔力が直線的に返って来ていたけど、飛ばした魔力より小さくなっていてよく視ないと見逃しそうだ。


 飛ばした波を見た限りは、恐ろしいくらい広範囲に魔力が届いているのが分かる。遠くに見える山の向こう側まで魔力の波は飛んでた。おそらく何十キロという範囲を飛ばしているはずだ。


「ルリ、そんなに範囲飛ばして大丈夫なのか? 山を越えた向こう側まで行ってるよね、アレ」


「……あの、見えたのですか?」


「そりゃね、()たから見えるよ」


「……マナサーチが()えたのですね。カイトの言っていた通りでした。この道の直線に見えるあの山頂付近から、誰かがこちらを見ているようです」


 ここから山を視てみると、確かに山頂付近に黒い靄の点が見える。

 もっと集中して()ると、岩陰に隠れるようにしてこちらを見ているようだった。


「げっ、そんなところから見てるのか。こんなに離れた距離から見えるの?」


「……考えられる可能性としては、おそらく魔眼(まがん)ですね。千里眼(せんりがん)でこちらを見ているものだと思います」


 あんな遠くの距離なのに、どれだけ慎重なのかと。

 ここからだと魔力の球も届かない気がするなぁ。

 ルリに伝えてどうにかなればいいけど。


「今さ、()てみたら山頂付近に確かにいる。分かるかなぁ……あの左側の端の、丁度岩陰になっているところから見ているよ」


「……ここから見えるのですか?」


「正確に言うと、しっかり見えている訳じゃないんだよ。相手の魔力が見えるから、その魔力の靄みたいなのを()ているだけというか。岩陰って言うのも、その魔力の形で岩だろうって判断しているんだけど……何か説明しにくいなぁ」


 実際にはっきりと見えている訳じゃなくて、()る事で魔力を認識してから、追ってみて初めて見えているって感じかな。


 遠くからだと魔力自体を俺がピンポイントで認識できていないと視る事ができない。ルリからあの辺りと教えてもらって初めて認識できたくらいだからね。


 近ければ割と簡単に分かるんだけど。

 この魔眼ってやつに慣れてくれば、すぐに分かるものなのかね。


「……説明しにくいのは分かります。魔眼を持っている感覚というのは、説明しにくいものが多々あると知識にはあります。このまま無視しておきますか?」


「見られていと気づいてしまったからね。そう思うと、気持ち悪いから無理だなぁ。この距離から何とかできないかな?」


「……直線の魔術……ランス系統は近距離貫通重視。アロー系統は長距離命中重視……アロー系統でいきます。これだけ距離があると、無詠唱と言う訳にはいかないので、皆は先に進んでいてください」


「そういう訳にもいかないだろう。みんなに伝えておこう」


 皆に山頂から見られている事、千里眼で監視されている事を伝えた。

 全員が山頂のほうを見ながら話を聞いていた。


「誰かあんなに遠くから、監視をされる心当たりがある人はいますか?」


 俺が聞いてみると、ウォルフが間髪入れずに答えた。


「なら、俺とキリリくらいしかないだろうな。見ている奴が誰なのかは、知らねえけどな」


「千里眼を持っているくらいだから、誰って分かるんじゃないの?」


 千里眼って遠くからでも見えるやつだよね。そんな凄いの持っていたら誰だって分かるんじゃないかと思うんだけどなぁ。


「あのな、例えばおっさんが千里眼持っているとして、それをベラベラ人に話したりするのか?」


「言われてみればそうか」


 切り札を持っている人は、余程の事でも無い限りはオープンにすることはないか。

 この魔力の球も見えないメリットがあるから話さないほうがいいね。

 知ってるのはルリと神様だからいいんだけど、もし話すような時は少し考えないと。


「そういう事だ。しかし、どうするよキリリ」


「おそらくスキルだと思うけど、面倒なのに監視されちゃってる感じね」


「出来れば何とかしたいところだがよ」


「うーん。この距離じゃ、あたしは無理」


 さすがにキリリもこの距離だと魔術でも無理か。

 それがたぶん一般的な所なんだろうな。

 ルリが狙えるという事は、どんな魔術なんだろう。


「その監視している人は、いないほうがいい?」


「そりゃそうだ。街まではまだあるんだ。ちょっと前のことを考えてみろ。その中での監視は、嫌な感じしかしねえ」


「あたしも同感ね。色々と気持ち悪いし。可能であればご退場願いたいわね」


 ルリのほうを見ると、頷いた。

 いつでも行けると、目で伝えてくれる。


「……それでは、その監視している人に撤退してもらいます。相手は千里眼持ちなので、当たる保証はありません」


「この距離で当てるって、いくらなんでも無茶だろ。あの山に当てるのすら無理だと思うぜ」


「そうね、あたしも無理だと思う。制御もそうだけど、魔力がいくらあっても足りないわ」


「ルリは出来るって言ってるからさ、試しにやってみるよ」


 そう伝えるとウォルフとキリリは黙った。

 ルリができるのかどうか。

 できるはずがないのに、どうしてやろうとしているのかと困惑しているような顔をしていた。


「ま、アレだ。この距離だし、届かなくてもしょうがねえよ」


「元々無理なんだから、気楽にいけばいいわ」


 この二人は完全に無理だと思っているな……。俺はルリが無理だったらそんな事は言わないのを分かっているし、マナサーチは山の向こう側まで届いているんだ。これから使う魔術も届くだろうと思っている。


「それじゃ、ルリ、お願いするよ」


「……はい。カイト、狙いの部分だけ手伝ってもらってもいいでしょうか」


「ああ、手伝うよ」


 ルリが集中すると、緩やかな風が流れてくる。

 祈るようにして合わせている両手から、魔力が集まるのが()える。


 ()えているからなのかもしれないけど、相当強力な魔力が両手に集まってきている。

 ビリビリと振動する魔力の流れを感じた。


 これは神様と同じように、魔力を圧縮しているような感じがする。

 あの時は一瞬で集まっていたけど、こっちが本来の集まり方なのか。


「……我が左手に……(よこしま)なる視線を捕らえ、その(へだた)たりを()とする弓を」


 ルリの左手に魔力で出来た黒く光を吸収するような漆黒の弓が顕現(けんげん)する。

 周辺の魔力をも吸いとるように、圧倒的な力の流れが弓に集う。

 それは徐々に白銀のような輝きと共にまばゆい光を放ちながら弓が顕現する。


「な、何この魔術……そんなの見た事ないわ。まさか固有魔術なの!?」


「俺は魔術の事なんて、さっぱり分からねえが……これはヤバいやつだってのは肌で感じるぜ」


「……カイト、私の後ろにきて狙いを定めてください」


 俺はルリの背後に立つと弓を持つ手を上から支えるようにして手を置くけど、身長差でうまいこと位置が合わせられない。

 するとルリが片足でトンと地面を蹴ると、少し地面が盛り上がって後ろから支える丁度良い高さになった。


「地面が上がって調整できるんだ、凄いなぁ」


「……今のは、ただのアースウォールを途中で中断させました」


 途中まで上がってきて中断という事は、本来これが壁になるって魔術なのか。

 魔術がゲームみたいな内容のものが多いのは正直助かる。

 いちいち戸惑わなくて済むからね。予想外なものが出るとさすがに驚くけど。


 空いている俺の右手をルリはお腹の辺りに持ってくる。

 身体を支えてほしいという事か。

 フラつかないように、俺はしっかりとルリを支える。


 ルリはふーっと息を吐くと、最後の一つである矢を出すための詠唱が始まった


「……我が右手に、邪なる気配の浄化を導く聖なる光の束よ……集いて闇を穿(うが)て!!」


 見えざる矢を(つが)える型を構える。

 ルリの弓手(ゆんで)から漆黒の矢が馬手めてまで伸びる。

 漆黒だった矢は弓と同じく、徐々に光り輝く一筋の矢となった。



 ―――キィィィィィィィィン



 俺の魔力の球を合わせたような時と同じような、魔力が同士が反発する様な音を立てる。弓の弦と矢が重なる部分から強い力が反発し合って、風が強く吹き荒れてくる。


 俺は弓の照準を、山頂の隠れて見ている存在に狙いを定める。


「……捕らえましたっ! ……ホーリーレイ!!」


 ルリの手から離れた光の束は、一直線に山頂へと向かう。

 その反動で、俺はルリを支えながら右足で踏ん張らないと飛ばされるところだった。

 光の束は命中する直前にいくつかの本数に分かれていくつかの煙が上がっていた。


 俺の狙った場所に寸分たがわず命中している。

 すさまじい命中精度の魔術だった。こんなのに狙われたら絶対ハチの巣になるよ。

 さすがに聞かなくても分かります。これって上級魔術なんだよね。


 山から立ち上る煙を見ながら何となくそう思っていると、ルリがぽつりと言った。


「……どうやら、相手は逃げたようですね」



 □□□□ ????視点



「まったく、何でボクがこんなことをしないといけないんだ」


 ボクは不満一杯につぶやいた。

 そもそも、自分の尻拭いさえできないような奴らの依頼を受けなければいけなかった状況にも不満があった。


「幸い、ガレイムがいないだけマシか。あいつがいると厄介すぎる」


 ガレイムは降りかかる火の粉を愉しんで、自ら受けに行くやつだ。とにかく戦えればいいっていうイカレた野郎だ。あんなの相手にしていたら命がいくつあっても足りない。


 ウォルフとキリリ……盗賊に殺されて終わりだと思ったのだが……。


 途中から助けてきた少女は何だ。

 とんでもなく可愛い。惚れかけたが、一瞬で冷めた。

 明らかにボクより格上なのが即座に判断できるような化け物クラスの強さだ。


 その証拠に、あの馬鹿げた魔力量は。

 ウォーターボール二十個にショートサンダー5発。ボクが知ってる魔術使いだって出せて十個くらいだろう。その後、少しして更にショートサンダーをもう一発使っても、魔力切れを起こしていない。これが化け物じゃないとしたら何なんだ。


「神官のくせに、なぜ攻撃魔術が使える。あんなの聞いたことないぞ」


 死んでいたと思ったウォルフを蘇生したと言ってもいい回復魔術だ。司祭でさえ名ばかりな奴が多いというのに、神官であんな美貌と実力があったら即座に大司祭に祭り上げられるだろう。


 あの少女の事を報告するべきか……。いや、報告したところでウォルフやキリリに関係ない事だ。ボクの役目は、偶然盗賊達に襲われて死んでしまったウォルフとキリリの死を確認する役目であり、それ以外は仕事に含まれていない。


「あのギルドマスターの代理の癖に、S級のボクをこんな下級のやつらがやるような仕事を緊急で押し付けるなんてっ!!」


 ギリっと音がして気づいた。

 知らないうちに歯ぎしりをしていたようだ。

 誰も気づかれることはないけど、隠密としては失格な行為だ。


「ふん。まあこれだけ遠くからのボクの千里眼に気付くような奴は……」


 もう一度、千里眼でウォルフ達を確認すると、何故かこっちの方向に弓を向けている少女がいておっさんが後ろで支えていた。


「まさかボクに気付いた!? くっくっく……あっはっは! だとしても、ここまで魔術が届くわけがない! これだから下級の低能どもは!」


 するとありえないことに光の束が一直線で、こちらに向かってきていた。気付いた時には目前で光が十二本に分かれて降り注いでいた。


「そんな! 馬鹿な! ありえるはずがない! アースシールド! アースシールド! アースシールド!!」


 とっさにアースシールドを三重に展開するけど、ほぼ効果がない。

 光の矢があっさりとアースシールドを突き破ってくる。

 危険だと思い即座にその場を離れると、ズドン!回避した場所に穴が空いていた。


「くっそ、何だこの光の矢は! 冗談じゃない!」


 もう逃げるしかなかった。とにかく無駄だと分かっていてもアースシールドを展開して山を転げ落ちるように逃げるが、光の矢が一つ命中してしまう。


「うがああ! ボクの腕が!!」


 軽くかすっただけなのに、右腕が吹き飛んで消えてしまった。

 まさか、あの距離で当てにきたというのか! 何の魔術なんだ。あんなのは知らないし、見た事もないぞ!


「そんなバカな。このボクが、逃げるだなんて! くそぉ!」


 あの場所に留まってまた次の矢が飛んで来たら、とてもじゃないが回避できる自信がない。あの光の矢はかすっただけでボクの腕を消し去ってしまう威力があるんだ。


 無我夢中で逃げて我武者羅に走って、ようやく落ち着いた。

 転げまわったおかげで、服はボロボロで擦り傷だらけだ。


 ここはどこだ。

 山から転げ落ちて走った先が森だったのだろうか。

 疲れきって木に背中を預けて寄りかかっていた。


「簡単な依頼だったのに……何なんだ! あの女は! ボクはS級だぞ!」


 最近、重要な仕事を連続で失敗したというのに、この程度の監視すらも失敗だなんてボクはどうなるんだ。ズキっと痛む消えた右腕の部分を押さえる。


「くっそお! こんな下らない仕事を渡してくるギルドマスターが……がふっ」


 喉が熱くなっていた。

 声が出ない……なんで、声がでないんだ。


「ねえ、君。マスターの悪口を言っちゃダメじゃないか。君はね、S級の実力なんてもうとっくになかったんだよ」


 誰だこいつ。動けないぞ。喉に何かが深々と刺さっていて動けない。

 

「それにね、君が失敗するおかげでギルドの信用が危うくなっているんだよ。君は責任を取るために緊急の任務を与えられた。そして、失敗の責任は取らなければならない……分かるよね?」


 助けてくれ……。頭を横に振ることができないし、息もできない……。

 やめてくれ、やめてくれぇ! ……だめだ、意識が。


「さよならだ」


 勢いよく引き抜かれたのは剣だった。そこに奴が剣を一振りしてボクの身体が左右に分かれたみたいだった。……誰だったんだこいつは……。

 ボクの意識は永遠の闇に落ちていった。



 □□□□ ????視点



「さて、使えない奴はいなくなりました。ギルドの評判を下げる奴らは消えてもらわないと。まったく、気に入らなかったんだ」


 彼は笑うと斬られた死体が燃え出した。


()()と言うS級は、二人もいりません」



少し長くなりました。

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