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最強少女ユリ

 無事に王宮にたどり着いついた私たちは、早速王様のもとへ向かった。

 移動途中でレイから聞き出そうと思っていたのだけれど、流石は騎士、口が硬い。


コンコン


「王様、ユリ・ヒルデガードをつれて参りました。」


「おお、入れ」


私たちが部屋に入ると、王様は使用人たちを退室させ、私たちだけで話をすることになった。


「早速だが本題入ろう。現在アルノーラ王国では、魔物たちが村を襲い、人々を苦しめている。現在魔物達を倒せる者はほとんどおらず、そのなかでも一番強い貴女を今回お呼びした。ユリ・ヒルデガード殿、我々アルノーラ王国に力をかしてほしい。」


 私たちの村だけじゃなく、他の村も魔物の被害にあっているらしい。

 しかも、魔物を倒せる人がいないって、なんで…


「なぜ…王国には軍隊も騎士もいるではないですか。

なぜ突然魔物を倒せなくなって…どういう事ですか…」


「これは…我々もまだ憶測にすぎないのだが…

先日、謎の現象が起きたのを知っておるだろう。恐らく、あれのせいなのだ。『世界を作り替える』本当にそれが起こってしまったのだよ。」


 確かにあの日から魔物は強くなった。

 そして私は魔物を倒せるようになった。


「具体的にはどんな事が…?」


「お主は、大富豪というゲームを知っておるかね。」


「大富豪…?それなら村の者とやったことがありますが…」


「あのゲームに「革命」というものがあるだろう。あれが現実に起こっているようなものだ。」


 「革命」、一番弱かった3が一番強くなり、一番強かった2が一番弱くなる。

 それが、現実で起きている…つまり…


「元々強かった軍人や騎士は、一気に弱くなってしまったという事ですか。」


「魔力を戦闘力も体力も、なにも変わってはいない。だが強い力では、弱い者を倒せない。魔法も全て無効果され、どんなに強い力で切っても傷つけられない。そんな状態になってしまったのだ。逆に弱い者は強い者を倒すことができる。子どもが打った未完成の魔法に、騎士を吹き飛ばすだけの力があった。子どもの剣が鎧を真っ二つに切った。」


「つまり、弱ければ弱いほど、相手に大ダメージを与えられると…」


 納得したわけではない。

 けど、わからなくはない。

 なぜ私が魔物を倒せたのか、それは私が弱すぎたからだ。

 狩りや魔物退治に行った人達が、あんなに弱かったファングにやられていたのも説明がつく、けど、そんなことが?


「「革命」が起こったのは人間たちだけではない。魔物たちも一気に変わってしまった。ドラゴンの縄張りがウルフやファング、それに、スライムにまで侵されている。」


 ドラゴンは縄張り意識が強く、入ってくる者を攻撃する、魔物のなかでもトップクラスの強さを誇る。

 そんなドラゴンが、スライムに負けているということは、魔物たちも立場が逆転しているということ。


「魔物たちは今は魔物どうしで争っているが、それが終われば次に狙われるには人間だ。スライム一番弱くて、どこにでもいる魔物だったからな。こんなのが人間を襲うとなると…」


 スライムは魔物のなかで最弱。そして個体数が最も多い。

 子供たちが魔物退治をする時の練習などに使われていたけど、今は魔物のなかで最強の強さを持っている。

 そんなのがあちこちに散らばっているなんて、そんなのに襲われたら人間はあっという間に滅んでしまう。


「「革命」の影響はそれだけではない。隣のラインドル王国では、この事実に気づいた下級騎士が上級騎士を殺害し、騒ぎになっている。だからこの事実は、一般に公開できないのだ。」


 今まで力の無かった者が、突然力を得たのだ。

 いままでの雪辱を晴らそうとするだろう。

 その力を使って、そのまま国を引っくり返そうとするやつも出てくるかもしれない。

 確かにこの事実は世間に公開するにはリスクが大きすぎる。

 けど、


「国民にはどのように説明をなさるのですか。周辺の魔物が強くなったとだけでは説明がつきませんし、ラインドルではこの事実に気づいたものもいるのです。隠しておいても、いずれバレるのではないでしょうか。」


「ああ、だから貴女をお呼びしたんだ。」


「それはどういう…」


「英雄になって頂けないか。」


「え?」


 私はいまとてつもない失礼な顔をしているだろう。

 英雄になってくれという意味が私にはわからない。

 英雄とは、大昔に国を壊滅の危機から救った一人の男のためだけに作られ、与えられた称号である。


「英雄…そのような高貴な称号は頂けません。この称号はこれまでもこれからも一人だけにしか与えられない称号です。もし与えられたとしても、国民が許すはずがありません。」


「しかし、ただこの件の事実を説明するだけでは、この国を混乱に陥れるだけだ。対策、解決策がないと国民は安心して暮らすことはできない。貴女という英雄がいるだけで、国民は安心して生活できる。是非とも協力していただきたい。」


「私には英雄の称号をいただくだけの資格があるのですか?私が魔物を退治できるという根拠もないですし、そもそも「革命」が我々の予想と違った場合、私は英雄として戦える自信がありません。」

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