援助要請
タルバ村とカレーン村の人達に見送られ、私達はネルダへと向かった。
その道中、周辺の村に寄って魔物退治をして、ネルダについたのは村をカレーン村を出発して一週間が経った頃だった。
「疲れたーようやく帰ってこれた…」
日が暮れかかっているにも関わらず、私達をネルダの人達が暖かく迎えてくれる。
この一週間の私達の仕事ぶりは、逐一報告されていた。
私達は王様に会いに行く。
部屋で私達の帰りを待っていた王様はすぐに食事を用意してくれて、そこで成果報告をすることになった。
「では、報告を始めてくれ。」
「はい。」
レイが王様に報告する。
タルバ村のファングを倒し、タルバ村の人達も村へ戻ってくれること。
カレーン村周辺の村にも魔物が森から来ていること。
どの村にも魔物に対応できる人材がいないこと。
だけど、全て私達なら倒すことができること。
これが今回の成果だ。
王様は無言で頷きながら何かを考えている。
聞きおわった王様は
「助かった。ありがとう。」
と言うが、その表情は暗い。
「王様…?どうかいたしましたか?」
レイが恐る恐る尋ねる。
「ああ…いや…」
と何かを言おうとして辞める。
「明日にしよう。今日はお疲れだろうからな。」
といって私達に食べ進めるよう促す。
食事が終わった後も王様の表情は暗いままで、何か思い詰めているようだった。
なにかあるのだろうか。
私達は何も分からないまま、宿に行き不安を抱きながら床についた。
少し遅め朝ごはんを済ませ、私達は王様のもとへ向かった。
王様は神妙な面持ちで口を開いた。
「帰ってきたばかりで本当に申し訳ないのだが…実は少し厄介な事が起こっている。」
「ユリ殿が最初に来たとき、隣のラインドル王国では「革命」によって騒ぎが起こっているとお伝えしたが、覚えているかな。」
「はい。下級騎士が上級騎士を殺害し、騒ぎになっていると…」
「その混乱がどんどん大きくなり…国の力では抑えられなくなったのだ。我々はラインドル王国とは隣国ということもあり、協力関係にある。この騒ぎを抑えてくれと、ラインドル王国から要請があったのだ。」
「それに私達が向かうと…?」
「ああ、英雄を隣国に貸すなどあり得ないことなのだが…ユリ殿とアルト君は一応ラインドル王国の出身だろう?向こうも元々は我々のだったなどと主張しているんだ。こちらとしても断れない状況で…」
ラインドル王国は石炭や鉄などの資源が豊富で、世界的にも重要な国だ。
ラインドル王国が崩壊すると世界に影響が出てしまう。
英雄の援助要請を断ったせいで崩壊した、ということになるとこの国に世界から何かしらの制裁が加わるのは間違いない。
じゃあなぜ国王はすんなり要請を許可しなかったのか。
理由は恐らく向こうの
「ラインドル王国出身だから英雄は我々のものだ」
という主張だろう。
ただでさえ天然資源が豊富ということでラインドル王国は世界の中でも立場が上なのに、「英雄はラインドル王国のもの」ということになると、世界はラインドル王国に完全に逆らえなくなる。
私とアルトがラインドル王国の出身といっても、私達は戦争でこの国まで逃げてきたし、過ごしていたのは幼少期の話で記憶もあまりない。
我々のものだと主張されても困るのだが、仕方がない。
「わかりました。行きます…が、アルノーラ王国からということをアピールするために騎士を何人か連れていきましょう。戦闘要員である必要はありません。それと…他国にもアピールする必要があります。他国からの援助要請を重要度が高いものだけを受け入れてみましょう。」
その返事に王様はほっとした表情で
「ありがとう。」
と頭を下げた。
3日後に出発することに決まり、話し合いは終わった。
2週間以上間があいてしまいスミマセン
m(_ _)m




