勇者、降臨
誰が初めに言葉を発しただろうか。
「おお、勇者だ。神の光だ……」
老若男女、様々な人間がその場にいた。彼らは跪き、一様に光る円環を見上げている。
(勇者、それは……僕のことだ)
少年は光の円環から自意識を覚醒させる。
「……勇者さま」
ふいに少女の声が部屋に響く。
「……君は?」
少年は眼を開け、正面に立つ少女を見据える。
絹のような金髪に曇りのない碧眼。顔立ちはやや幼さを感じるが、気品が纏わりついている。そして巨乳である。
少年はどこか懐かしいような愛おしさを覚えた。よく頑張ったと言いたい気持ちが突如込み上げた。
「私の名はエルネスタ。エルネスタ・レーニ。ガルシア王国第二王女。勇者様のお名前は?」
桜色の唇を走らせるエルネスタ。
「僕はアキト。天風明人。普通の男子高校生、だった。 僕が魔王を倒し、世界を救う勇者に選ばれた。それで良いんだよね? 女神様から聞いた」
「ご存知でしたか。そうです、我が人族は魔族との抗争で不利な状況にあります。アキト様には、どうか……我が種族を救っていただきたいのです」
エルネスタはアキトの前で跪いた。その肩は小刻みに震えている。
「……顔を上げて。困っている人がいたら助けようとする。それが人の良さでしょ?」
アキトはしゃがみ込んでエルネスタの両手を取る。
「アキト様……」
「僕がどこまでやれるかわからないけど、手伝わせて欲しい。……今まで、よく頑張った」
そう言ってイケメンは少女の頭を撫でる。
「アキト様……」
エルネスタは恥ずかしそうに俯く。
アキトはエルネスタの手を取り、一緒に立ち上がる。
「あと、僕のことはアキトで良いよ」
イケメンはニッコリと微笑む。
今日、ガルシア王国に勇者が誕生した。名は天風明人。彼が仲間と行く道には何があるのか、だいたいテンプレかもしれないけど、まだ誰も知らない。