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自由人、冒険者になる

アビニョンの街並みは出店で賑わっていた。

「おぉ……中と外で全然違う」

ハルトは異世界初の街で驚愕する。やはりド◯クエ的世界観で間違いはなかった。

「まず宿を取って、ご飯を食べて、そしたら冒険者ギルドへ行きましょぉ!」

ザスキアが今後の方針を提案する。

「おっけ。金はいっぱいあるしな」


2人は近場で安宿を取ると、食堂も兼ねているという冒険者ギルドへ向かった。

「ええっと、俺はこのミートパイと……あとはなんかゲテモノっぽいからいいや」

ザスキアは? とハルトは尋ねる。

「わらしはぁ、このグレープ&ベリーチョコバナナグレートパフェですね」

ザスキアは目を爛々と輝かせている。ちなみにパフェはこの店で一番高いメニューである。


「女の子は砂糖で出来ているのか」

「いえいえ、現界している神族は基本砂糖しか摂取できないんれすよ」

「へー、そういう仕様なのか」

「そーゆー仕様なんれす」

ザスキアは二パッと笑む。


しばらくしてミートパイとパフェが届いた。

ザスキアはさっそくクリームを頬張ると、ほくほく顏になる。

「で、冒険者ギルドっていうのは俺が知ってるような組織って認識で良いんだよな?」

ハルトはミートパイを齧りながら尋ねる。


「あい、魔族とは関係なしに魔物っていう低知能共が繁殖し跋扈してますからネ。魔物討伐が基本でしゅ。それと魔物の素材は薬とか防具にもなるので、専門ギルドが買い取りをやってくれるますです」

「おけ。じゃあ食い終わったら受付に行くか」

ザスキアは頬にフルーツを溜め込みながら頷く。


「ハルトしゃんもどーぞ、あーん」

そう言ってザスキアはスプーンにすくったブドウを差し出す。

「うぇ、い、いや俺は……」

ハルトは赤面する。


「ハルトしゃん、ここで食わねば一生童貞デス!」

それは嫌だとハルトは恥ずかしそうにスプーンへ口を寄せる。

「美味しいでしょ? でもこれ砂糖少なめでハチミツで誤魔化してます」

ザスキアは目をトロンとさせながら頬を膨らます。器用なやつだとハルトは思った。



「さて、受付に行くか」

ハルトはよっこらせと立ち上がると、ザスキアを伴い受付へ。


「ん、やっぱり女の人が受付か」

「ハルトしゃん、ここはビシッとカッコよく口説くように登録申請でしゅ」

ザスキアがガッツポーズをする。

「お前は俺の童貞を卒業させたいのか……?」


どうすればカッコよく決まるのかとザスキアに尋ねるハルト。

「簡単でしゅ。冒険者なんて荒れくれ者のイメージがあるでしょ。つまりDQNです。そんな集団の事務所に勤める女なんてビッチに決まってます。ならちょいと強気になればイチコロ、デス!」


「なるほど……。行ってくる」

納得したハルトは胸を張って受付へ。


「こんにちわ。依頼ですか? 登録ですか?」

受付嬢はハルトに微笑みかける。

ハルトはカウンターをドンッと叩いて、

「オォ嬢さん、冒険者登録してぇんだ。……ザスキア、この後何て言うのが良い?」

「この後一杯いかがですか? です」

ザスキアがぼそりと耳打ちする。


「この後一杯いかがですか?」

「いえ、結構です」

「ハルトしゃん、じゃあ二杯でいきましょぉ」

「なら二杯でどうだ!?」

「いえ、結構です」


ハルトは上手くいかず焦る。そもそもこういった経験すらなかったと後悔する。そして受付嬢をまじまじと見据え、

「ケーキセットも付けちゃうよ?」

これが精一杯だった。


「……冒険者登録ですか?登録料は銅貨5枚です」

受付嬢は呆れ顔で答える。


「……あ、はい、じゃあこれ俺とこいつので……はい10枚ッスね。あ、これがおれの冒険者プレート……お、銅色だ。俺らの銅貨溶かしてお姉さん今錬金しちゃった系ッスか? すごいなー。あ、スンマセン」

こうしてハルトとザスキアは冒険者になった。



「これが冒険者の証ね」

ハルトは陽光へその楕円形の銅色プレートをかざす。それから紐を通して首に提げた。


「ハルトしゃんとわらしはEランク。とりまAランクまで頑張ってみましょぉ」

失くしたら再発行に銅貨10枚れすからね、とザスキアは付け加える。


「こっから俺の伝説的冒険譚が始まるのか!」

ハルトはワクワクした面持ちで依頼掲示板へ向かった。

ヘヴンズダイアリーってラノベ面白いよね

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