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ゲームの中の物語  作者: 石川リョク
3/18

探索終了→冒険開始(明日から)

3章


外へ出た僕たちはその後村を探索した。掲示板にあった通り、建物にはその所有者しか入れないらしく、僕たちは扉をノックしたり蹴飛ばしたりしてみたが入ることは出来なかった。

村の北に位置しているお店にも行ってみたが大したものは何もなく(商品棚はあるのに品物がほとんど無い。)見つけたのは僕の部屋にあったのと同じような白紙の本だけだった。


「もうすっかり夜になっちゃったね。」僕たちは懐中電灯で足元を照らしながら自分の家へ向かっていた。

「そうだな。今の時間は…22時30分くらいか。結構探索に時間を使ってしまったな。早く小道から次の村へ行こう。」

「いや、待った。夜にあの道を通るのは危険だよ。」キルの声が突然鋭くなる。恐る恐る

「何で?」と聞いてみた。

「地図出して。」

僕は言われた通り、時計の裏から見つけた地図を地面に広げて懐中電灯で照らした。光があまり強くないせいか、とても見えにくい。

「今私たちがいるのはここ。小道を行くとどこへ行くのか。」キルは指で経路をなぞった。

「ほら、ここ、森につながってるでしょ。この森は夜になると黒い煙に覆われる。私たちがこの黒い煙を吸うと意識がなくなり、そのまま死んでしまう。」

「私たちがって、その煙を吸っても死なない奴がいるの?」

「いるよ。地図の東の方にダークネス村って書いてあるでしょ。そこは一日中闇に包まれてる。その村に住むやつなら黒い煙を吸っても何ら問題はない。」

「ふーん。そうかー。黒い煙を吸っても平気なんて、その人たちが羨ましいよ。」能天気な僕はそんなことを言った。我ながら、全然危機感が無いなと思う。

「でも、やつらは日に当たると死んでしまう。あと、暑さとか、電気の光にも弱かったはず。」

「へー、僕らの逆を生きてるって感じだな。」下を向いて、地面の砂をいじってみる。

「あと、奴らに関して言わなきゃいけないことがある。」キルは声を低くして話し出した。

「奴らの姿を、私たちの目では見ることができない。見ることができないって言ってしまったら語弊があるかも。影としてしか見えない。真っ黒で人型をした生き物だよ。まだまだ先だけど、いずれ奴らと戦わなければならない。どうしたら攻略できるかだけど、ここで重要になってくるのは、奴らは私たちの体を、自分らと同じ体に変えてしまう能力を持ってるということ。触られた部分が奴らと同じになる。例えば、手を握られたとするでしょ。そしたら、握られた手が奴らと同じ手になってしまう。だから、極力触られないようにしなきゃいけないんだけど、奴らを倒すには、目を奴らのものにしなきゃいけないの。」

「どういうこと?」

「ダークネス村は奴ら特有の空間になってて、奴らはこちらから持ち込んだものに触ることができない、それと同じように私たちが向こうのものに触ることもできない。また、奴らから私たちの姿を見ることができても、私たちが奴らの姿を見ることはできない。見えなければ戦えない。ということは、目だけを奴らの目に変える必要がある。だから奴らに目だけを触らせなければならないんだよ。」

説明が難しくて頭の中が混乱しそうだ。急に不安になってきた。

「そんなこと、僕にできるんだろうか。」

するとキルが僕の肩をポンッと叩いて

「大丈夫だよ、その時は私がついてるし。」

と、心強い言葉をくれた。

「まだ先は長いなー。」

僕は地図を見ながら呟いた。この村を出たら、次は森、そのあと8つの村と3つの湖を攻略しなきゃいけない。とても発売日までに間に合うとは思えない。

「ということで、今日のところは休憩にしよ!明日早めに起きて出発しよう!」

「そうだね…。そういえばさ、キルは村の人たちを黒い霧で包んで連れ去ったんだよね?なら今も黒い霧を出してくれれば直ぐに黒の国に行けるんじゃないの?」

「あー…、それね…。実は、それはただのストーリーであって、私にはそんなことできないの。」

「えー!じゃあ、村の人たちって。」

「さっきも説明したように、ここはゲームの世界。あらかじめプログラムされてるんだって。だから」

「村の人たちは最初から捕まってるってこと?」

「そういうこと。だから私がわざわざ連れ去りに来なくても、ゲームが始まる段階で彼らは既に私に捕まってる。でも、何でこんなことになったのかって彼らが疑問に思うことはない。なぜなら」

「「そうプログラムされてるから。」」

「おー、理解が早いね。」

「なんか複雑な心境だよ。…もしかして、これはゲームなの?もうすでにゲームは始まってるの?」

「違う違う。これはゲームじゃない。まだゲームは始められてないよ。」

「最初の方でキルは“無意識の内に操作される”って言ってたよね。それってどういうことなの?ごめん、今一意味がわからなかったんだ。」

「別に謝らなくてもいいよ、私の説明がざっくりしてたのが、良くなかったかもしれないし。今、あなたは自分の意思で行動してるけど、ゲームが始まると私たちは自分の意思で行動してるつもりでも、全ての行動がユーザーに託されることになる。例えば、…あなたがお腹すいたなーって思ってパンを食べた…とするでしょ…でも実…際はあなたがお腹…すいてパンを食べたんじゃなくてユーザーがそうさせたことにな……。」

「キル?おーい。完全に寝ちゃったな…。今日は結構歩いたし、疲れたんだろうな。でも、流石に道の真ん中で寝るわけには。」


爆睡しているキルを担ぎ、我が家へと帰る。家に着くころには23時をまわっていた。キルをベッドに寝かせ、自分は床で寝ることにした。日中は暑かったのに今は肌寒いくらいだ。床が冷たい上、隙間風が寒さを倍増させる。生地が厚めの布団はキルに譲ってしまったため、僕はタオルにぐるぐる巻きになって一夜を過ごした。

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