エピローグ
エピローグ
(ある雑誌のゲーム特集にて)
今回は、今、SNS上で最も話題になっているゲーム「ハイエスト・アドベンチャー」の製作者 緑川 時太さんを取材しました。
中田「今回、緑川さんにインタビューさせていただく中田です。どうぞ、よろしくお願いいたします。」
緑川「こちらこそ、よろしくお願いします。」
中田「では、早速本題に入りたいと思います。まず、このゲームはどういったゲームなのか教えていただけますか?」
緑川「はい。このゲームは主人公の少年が、村人を救うため冒険に出るゲームです。化け物を倒したり、自分で言葉を入力してキャラクターと会話したりすることでゲームは進行していきます。」
中田「キャラクターと会話できるのですか?」
緑川「はい。まぁ、会話できるといっても、主要キャラクターと会話することしかできませんけどね。」
中田「自分で好きなように入力できるということは、想定外のことを聞かれたりすることもあると思われますが、そういったことにもキャラクターは対応することができるのですか?」
緑川「はい、何かしらの対応をしてくれますよ。実は、主要キャラクターたちは、使われなくなったAI、要するに数世代前のAIですね、それを組み込んであるので、どんな言葉が来てもある程度は臨機応変な対応をしてくれる、というわけなんです。」
中田「そうだったんですね!AIを組み込むなんて、お一人で製作されてるのにすごいですね。」
緑川「ありがとうございます。」
中田「では、次の質問に移らせていただきます。SNSで最も話題になった“最後のシーン”についてお聞きしたいのですが、主人公がラスボスに対して戦いを望まない発言をした時の展開について緑川さん自身はどのようにお考えですか?」
緑川「そうですね…僕も、正直なところ、あのような展開になるとは思ってなかったので、SNSで話題になりだした時は大変驚きました。確かに、ラスボスと主人公は他のキャラクターとは違って、少し賢いAIを使ってるのでら予想外のことが起きるのではないかと思っていたのですが、予想外過ぎましたね。というか、製作者の僕もそんな発想には至らなかったのに、よくあの展開にもっていける人がいましたよね。」
僕は、ラストシーンを思い出して、ついつい笑ってしまった。
キル・ラベル、最後まで本当にありがとう。
(ゲームのラストシーンにて)
この時の主人公の名前は“タン”。
キル「これはこれは、タンじゃないか。まだ生きていたのか。」
タン「村の人たちをどこへやった?」
キル「安心しろ、お前もすぐにそこへ連れてってやるから。」
タン「どこへやったか聞いてるんだ!」
キル「うるさいやつだな。仕方ない、教えてやろう。今はこの城の地下室で監禁している。明日になったら、未開の地で奴隷として働いてもらうがな。」
タン「貴様…。なんてことを。」
キル「お前に、自分の運命を選ばせてやろう。私に無残に殺されるか、さっさと奴隷になるかだ、選べ。」
タン「…断る。」
キル「は?お前、私が言ったことが聞こえなかったのか?」
タン「僕は、死なないし、この世界も救ってみせる。」
キル「ほぉ、では、無残に殺される方を選ぶということか?馬鹿め。せっかく助かるチャンスを与えたのに、自ら命を捨てるとは。」
タン「違う。僕は戦わない…。」
キル「は?」
タン「貴様は大罪を犯した。本来なら死をもって償うべきなのだと思う。でも、僕は誰にも命を落として欲しくない。改心して、みんなのために尽くすべきだと思う。」
キル「貴様、何を言っている?」
タン「僕は、誰にも死んで欲しくないんだ。本当は、君も好きでこんなことをしてるわけじゃないんだろ?」
キル「…。」
タン「頼む。僕を信じてくれ。」
そういうとタンはキルの元へと歩み寄る。
そして、タンが手を差し伸べる。
キル「貴様、何のつもりだ!」
タン「改心して、もう一度人生をやり直そう。」
キル「何を言ってるんだ!」
タン「僕は、君を殺したくない。約束する。僕は絶対に君を見捨てたりしない。」
キル「…。」
キル「本当に…、本当に、やり直すことができるのか?」
タン「あぁ、本当だ。」
キル「……。分かった。私は君を信じることにするよ。」
そう言うと、キルはゆっくりと差し伸べられた手に自分の手を重ねる。
すると重ねられた手の中が光りだし画面全体が真っ白になる。
そしてエンドロールが流れる。製作者、登場人物の紹介などが流れている後ろでは、平和を取り戻した世界で、楽しそうに生活する村人たちが映し出されていた。その中には、何やら楽しそうに会話をしている、主人公とキルの姿があった。
終わり
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




