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ゲームの中の物語  作者: 石川リョク
12/18

忍び寄る影

12章



くそっ、一体何が起きてるんだ…。

近くは照らされているものの、敵の正体は見えない。こいつらも透明なのか。

その時、黒い影が目の前を通過した。

今一瞬見えたかもしれない。それは、人のような形をした生き物だ。全身が黒い。

「誰だ!」

剣を固く握りしめながら、勇気を振り絞って叫んだ。だが、応答はない。おかしいな、なんだか膝が小刻みに震えているような感じがする。まさか、僕はこの状況が怖いのか?怯えているのか?いや、そんなことはない、大丈夫。大丈夫。

そう自分に言い聞かせていると再び背後を何かが通った。慌てて後ろを振り返るが、そこには何もいない。今のところ、何も危害は加えて来ないな、もしかしたら何もして来ないんじゃないか?そう思って一歩前へ踏み出す。何も変化はない。もう数歩歩いてみるが、黒い影は通り過ぎるだけで何もしてこない。やっぱり、無害なのだろうか…そんなことを考えていたら、突然背中に視線を感じた。何だ?咄嗟に後ろを見る。

ピキッ!

足元に石が転がってきた。今の音はなんだ?前から何かにヒビが入るような音がした。手元から聞こえたみたいだ。再び背中に視線を感じて振り返る。

バリンッ!

ガラスが割れるような音がして、辺りが闇に包まれた。もしかして…盾の真ん中を手で触ってみると、先程まで懐中電灯が備わっていたところが丸く穴空いている。懐中電灯が割れて壊れてしまったんだ。どうしよう。真っ暗では何も見えないじゃないか。敵がどこにいるかもわからない。盾が手から落ちてしまったのか、バタンッと、足元から板状のものが落ちる音がした。あれ、ちゃんと盾を持っていたはずなのに何で落ちたんだ?ん?なんで左手の感覚がないんだ。剣を持ったまま左手を触ろうとするが何も感じない。左手があるはずの場所には何もない。えっ、なぜ何も感じないんだ?左手を腰に当てるようなポーズを取ったり、思い切り腕を上下に振ったりしても何も感じない。まさか、僕の左手は…頭が真っ白になって、クラクラしてきた。ダメだ、これ以上ダメージをくらうわけにはいかない。そう自分に言い聞かせ、剣を周りにグルグルと思い切り振り回した。あー、くそっ、どうなってるんだよ。左肩がすごく冷たい。はれ、左肩の感覚もなくなってる。そういえば、さっきも左手が冷たいなと思ってたら感覚がなくなったんだっけ。右手で肩の辺りを触るが、左腕は完全になくなっている。痛みは特に感じてないことが唯一の救いだった。今度は目が冷たい…。

まずい、目まで!正直、真っ暗なところにいると目を開けているのか閉じているのかは今一わからないが、顔を手で触ると目だけくり抜かれたようにくぼんでいるため、目も無くなったのだと分かった。目がなくなったら普通、とんでもなく焦るだろうが、何故か僕は冷静だった。一昨日、キルから聞いた話を鮮明に思い出していた。無い目で周りを見渡すと、5個ぐらい、人型の白い影が見えた。1人がこちらへゆっくりと歩み寄ってくる。まだだ、もう少し、あともう少し近づいてくれればこの剣で真っ二つにできるかもしれない。さぁ、もっとこっちに来るんだ。腕をまっすぐに伸ばしてもギリギリ手が届かないぐらいのところまで近付いたところで剣を真横に振り切った。

どうだやったか?

影の方を見ると足先から頭にかけて、ゆらゆらと人型の影が揺れている。かすっただけだったようだ。影たちは、僕が姿を認識できるようになったことに気づいたらしい。一斉に襲いかかって来る。体に触れられたらいけない。僕は、上から殴りかかって来る影をかがんでかわし、足元に回し蹴りをして来る影の上を飛び越え、剣でその腕や足を切った。切られた白い影は痛がっている様子は無いが、ゆらゆらと揺れ動き始める。ダメージが大きかったのか、足を切られた影の輪郭は滲んでしまっている。僕が着地しようとした場所には別の影が両手を大きく広げて、抱きつこうとしているかのように立っている。僕を受け止めてくれるのはありがたいが、君に抱きつかれたらたまったもんじゃない。容赦なく真っ二つに切り裂いた。腰から真っ二つになってしまった影は一瞬にして煙に変わって消えた。今度は後ろから、先ほど剣がかすった影と片腕失った影が走ってきた、どちらの攻撃も交わして真っ二つにした。あと、2匹か。ノーダメージのやつはどこに行ったんだ?

一気に2匹を真っ二つにしたため、煙で周りがよく見えない。煙が僕の後ろに動いた。振り返って剣を構えると同時に影が襲いかかってきた。反応が遅れて右手首を影がかする。大きく当たったわけではないので、右手首が少し削れるだけで済んだ。体勢を立て直し、影からの右フックを避ける。その隙に剣を影の横っ腹に向かって振るが、かがんでかわされてしまった。かがんだついでに回し蹴りを繰り出してきたので、それを跳んで避けた。こいつだけやけに動きが機敏だ。さっきまでは連続して攻撃してくるやつなんていなかったのに。一旦後ろに下がって相手との距離をとった。こちらをじっと見据えているようだ。そのまま数秒間、影と向き合っていた。不意に影が頷いた。軽く、誰かに合図を送っているかのように思われた。頷いた直後、影は再びこちらに向かって走ってきた。僕は、剣を構える。ぐっと手に力を入れた。十分に影が近づいてきて、今だ、と思って振りかぶった。だが、僕はバランスを崩して地面に倒れこんでしまった。何だ、何が起きてる?

その時、僕の右脚に感覚はなかった。

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