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勇者望月のワンダーランド

ナレーター〖三人の賢者と合流した望月トオル。しかも賢者のリーダー格が金髪エルフで大喜び! しかし一体彼女たちは何者なのか。望月トオルは依然として分からなかった。どうなる? 彼のヱ世界転生!?〗


ナレーター〖本物の勇者となった望月トオルはどうなっているのか? 彼に視点を移すとしよう! ミニモニターにチェンジ〗

 

――PPPテレビ ドラマスタジオ


 俺、普通の勇者兼シグルドの望月トオル。

 手違いにより死んでしまった俺は、代わりにこの異世界に転生した。


 そこで手に入れた“異能チート”は不死身性。

 たとえどんな魔物に襲われて死んだとしても蘇れるスグレモノ!

 おかげさまでブリュンヒルデに殺されても蘇生することが出来たのさ。


 異能チートによって復活した俺を待っていたのはブリュンヒルデだった。

 しかし彼女は俺をシグルドと勘違い。

 そして聖剣エクスカリバーを俺に託してくれたのだった。


 ついに俺は勇者になった。

 ここからようやく主人公として異世界転生物語の始まりだ。


 そんな勇者になりし“最強チート高校生”たる俺はいまどうなっているかというと“ねんがんの 金髪エルフをてにいれたぞ!”

 えっ、“勇者のくせになまいきだ”だって? 

 おいおい、俺は選ばれし勇者なのだ。これぐらい当然であろう。

 “殺してでも うばいとる”だと?

 何を言っているのか。エルフ親衛隊の過激派よ。“な なにをする きさまらー!”

 

 ……なんてね。それよりやめてよね。

 本気でケンカしたら、君たちが僕にかなうはずないだろ。

 だって俺勇者だぜ。実質人間のチャンピオンなのだぜ。

 “けっきょく ぼくが いちばんつよくて すごいんだよね。”と言わざるを得ない。


 話が逸れてしまったな。

 ただいま俺はエルフの賢者と楽しくおしゃべりをしていたのだった。


「はい、はーい! エルフ様。質問があります!」

「どうしましたか。勇者望月?」


 エルフ様こと酒井さまはにこやかに微笑み、質問を許可する。

 その様はまるで天使のようだ。ホント尊い! 

 はっ、また妄想に浸ってしまった。本題に戻らねば。

 俺は酒井様に率直な疑問を投げかけることにした。


「エルフ様はなぜ人間の青年なんかに変装なされていたのですか? そのままの方が美しいのに」

「嬉しい事を言ってくれますね。勇者望月。しかし東方の国“八雲”で働くならばこちらの方がなにかと都合がいいのですよ」


 エルフ様はそう言いとあっという間に青年の姿に戻った。“彼”の姿エルフ様は目鼻立ちがはっきりとしたイケメンといったところだ。

 声も低くなっており、同じなのは深く蒼い瞳だけだ。

 こんな深い海のような目は見たことがない。

 しかしこんな容姿がエルフ様のタイプなのだろうか?


 そんなことを考えていると、エルフ様に対する疑問が湧いてきたのでさっそく聞いてみることにした。


「エルフ様はどのようにして変装しているのでしょうか? やはり魔法でしょうか?」

「ええ、勇者望月。貴方が言う通りです。この“変化の杖”の効果で体の構造を変化させているのですよ。実際に見せてあげますよ」


 エルフ様はそう言い右手に握っていた杖を天に振りかざし、魔法を詠唱する。

 すると“不思議な光”が“彼”を包み身体を作り変えていく。分かりやすくいうならば魔法使いが変身するときの“謎の光”である。


 くそっ、異世界でも“謎の光”先輩はやはり勤勉だったか。

 異世界であろうと変身中の少女の肌を包み、彼女たちを視聴者から守るのか。

 いい加減有給休暇でも取得してほしいものだ。そしたらじっくりと。……グフフフフ。


 いやまてよ。エルフ様はただいま男の身体なのか。じゃあ覗いても仕方がないのか。

 ホント頭が混乱してくるぞ。これ。


 そのような事を考えていると無駄に長い詠唱と変身が終盤に差し掛かる。このころにはエルフ様の身体は女性へと戻っていた。まあシルエットしか見えないわけだが。

 彼女はただのエルフだからいいけれども、普通の魔法少女なんかは変身を済ませてから敵に戦いに行った方が良いのではないか。

 実際に待ってみると詠唱と変身って意外と長いぞ。特撮や魔法少女の敵はよく待っていられるな。 


 ……いや、まてよ。いいこと考えた!


「エルフの酒井様っー! 俺の愛を受け止めてっー!」


 俺はそう言いエルフ様に飛びついた。

 ”ルパンの孫が不二子ちゃんにダイブする“様な感じに。

 しかしなんで敵は律儀にヒーローの変身終了および変身後のポーズまで待っているのだろうか。こんな感じに襲っちゃえばよいのに。


 ――俺のエルフ愛を受け止めてくれ!賢者酒井!



ナレーター〖金髪エルフとなった酒井プロデューサー。そんな彼? 彼女?を気に入った望月トオルは彼女?にルパンダイブを決行した。はたして成功率がほぼゼロに等しいダイブは成功するのか?そして望月トオルは酒井プロデューサーの本当の性別に気づくことが気づくのか?そして尺はもつのだろうか。気になる続きは……〗


ナレーター〖CMの後に〗 


――CM


男性「ふう、ドライブは楽しいな。うわ、いきなり当たり屋がぶつかってきた」

当屋「いてててっ、どこに目をつけとるんじゃ!賠償金として一億円よこせや」

男性「そっ、そんな」

天声「そんなことになる前に大田損保に加入しよう」

天声「成人男性だとこんなにお安く」

天声「なんとトラック運転手に優しい転生保険が付いてきます」

天声「お申し込みは0120-☆○ー12」

天声「今から三十分。オペレーターを増員してお待ちしております」

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