第8話 初めての狩猟クエストである
メルエルと組んで、初めての狩猟クエストを行う。
もちろん、もとの世界でも狩猟なんてやったことはない。
精々、ノラ猫を追いかけたり、蚊を『パシッ☆』と叩く程度だ。
メルエルと2人で掲示板を見て、
・オレのものは、簡単な退治・原料クエストを。
・メルエルのは、狩猟クエストを。
お互いが効率よくレベルアップ、かつ、報酬が上がるように組んでみる。
コンビで出かける前、メルには改めて、狩猟は「初めて」って言っておく。
狩場目指して歩いている途中に、
「ケンはレベル30あたりで、ヒーラーか黒魔法にするか選択しないといけないから、それまではひたすら訓練だね。」
「選択するの?」
「回復中心にするなら神官か僧侶になって、神聖魔法か白魔法で回復と攻撃習う。
攻撃中心なら黒魔法習わないと。」
知らなんだw
「今まで写本師やってたから、そこらへんは、素人だしなぁw」
「魔法どうやって憶えたの?」
「あ~。本から。」
「師匠は?」
「今までは、いない。写本した本を、自分用にさらに写本したのがあるから、それから学んでる。」
「へー。すごいねー。」
・・・実は、魔法はポウから教えてもらっている。
最初はオレの番。
退治クエストが出ていた、砂ネズミから始める。
Lv2だよw
攻撃魔法で倒していく。
ザックリ言って、攻撃レベルは、魔物・動物を倒せば上がる。
ひたすら倒してると「!?」っていう感じがして、レベルアップしてる。
もちろん正確なレベルは、開拓者ギルドで、機器を使って測ってもらう。
オレは、エルにサポートしてもらって、ネズミとかハチとか小さいスコーピオンとか、
とにかく弱いヤツ中心に、コツコツ狩る。
このレベルだと、大体10~30匹狩ると1つレベルアップ。
その際1回休憩して、MP・HP回復。
同時に獲物を解体、アイテムを収穫する。
こうすると職人技能も同時にレベルアップできる。
獲物を前にして、さて困った。
解体なんて、したことないぞ。
メルが、短剣を持って固まっているオレを見て、
「じゃあ、私が解体を教えましょう。」
ありがとうございます。メルエルさん。
「それぞれやり方はあるんだけど、獲物の種類によって、大体決まってるから。
ハチはこうとか、スコーピオンはこうとか。やってみせるから、憶えて。」
メルが説明しながら、手際よく解体を始める。
1~2匹解体して、
「じゃ、やってみて。」
おし。やるぞ。
この時、ハモンの持つ能力の一端が解った。
彼は記憶力が良いらしい。
頭の中に、メルがやった解体が瞬時に浮かび上がる。
オレは見た通りに解体を始めた。
最初は少しぎこちないが、しばらくすると、スムーズにできるようになった。
「憶えるのが、早いねー。」
メルがびっくりしている。
「師匠が良いもん♪」
「またまたぁ^^;」
そんな感じでクラフターの技能を上げつつ、狩猟を続ける。
オレがある程度済んだら、今度はエルの番だ。
メルのレベルは、今、アーチャー・レベル15。
魔法使いのオレが、今、レベル8だから、あと7レベル足りない。
で、メルが狩る獲物を、レベル10くらいにしてもらっている。
これだと、オレが2~3日でレベル10までレベルアップ。
4日目から、本来のレベルでサポートはできるようになると思う。
「あれっ? ケンって神聖魔法使える?」
「?」
「さっきの、神聖魔法じゃない?」
「あー。そうかも?」
「神官やってたの?」
「写本師だってw」
「おかしいなぁ。神聖魔法は、神聖王国の神官しか使えないんだけど?」
「・・・。 あー、それか! それはネ、写本師やってた時に本が回ってきて、
その時憶えたのよ。」
「門外不出だと思ったけど?」
「・・・。 出場所は聞かないで^^;」
「あー。・・・わかった。 黙ってる♪」
メルは、思わせぶりにウインクした。
都合よく勘違いしてくれたみたいだ。
危ない、危ない。
ポウに教わっている魔法は、出元が怪しいものもあるようだ。
かと言って、何がマズいか教えてもらえる人の当てがあるわけでも無く・・。
メル以外に見せないようにして、なんとかしのごう。
初パーティ1日目が終了すると、オレはグッタリした。
「初パーティの感想は?」
メルが聞いてきた。
「疲れたー!」
首をゴキゴキ回して答える。
「ハハハ。誰でもそうだよ。
相手のペース合わせたり、敵を倒したり、色々することが多いから、
最初はどうしても、ね。」
「1日でレベル上がった感じがする。」
「多分、あがってるよ。」
メルがウインクしながら答えた。
「こんな感じで明日も行こうと思うけど、どう?」
「勿論! よろしくお願いします。」
オレは丁寧にお辞儀した。
「フフフ。メルさんに、まかせなさい♪」