表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Heart on Fire ハートに火を着けて♡  作者: 三久
ウッタ・プラデシュ編
89/373

第87話 左腕の開発(2)



みんなのおかげで、違いを見つけたオレは、拒否反応の原因を探る。

そこで、非常に面白い発見をした。



オレは、助手のパラヴィとライシャに、3DのDNAモデルを見せて質問する。

「さーて。こっちがオレとマリー、こっちがソニアとラーヴァの共通DNAだ。

個体差は外して均一化してある。でも違いは分かるよね?」

「ええ。」


「指してみて。」

「ここと、ここと、ここ。ここと、ここと、ここが違います。」

ライシャが指さす。

「そう。で、これを外してみる。」オレは、差されたDNAを外す。

「さぁ、どうだ。」


「・・・あれ?一致しない。」

「そうなんだ。 どこが違う?」

「・・・。ここの部分、一連が違いますね。」

今度はパラヴィが示す。


指示されたDNAの配列部分を色付けする。

「正解。」

ここは前日、スー、マドレーヌ、ソニアと見つけた部分である。


「で、だ。」オレは更に言う。

「ここを外して、足りなくなった部分は、オレのから足してくる。」

魔導式で出した3Dスクリーンの上で、切ったり張ったり、

カチャカチャと移動させる。


「さあ、どうだ。」


『・・・。合いませんね。』

2人が同時に言った。

「そうなんだ。」

オレは『ヘヘン♪』という感じで言った。


「ちょっといいですか。」

ライシャが2つのDNAを横向きにして、拡大して回す。


「あ、わかった。」パラヴィが言う。

「ここだよ。」さらに拡大する。


「ここの8つの塩基の配列が違う。」

「正解!」

オレはパチパチと手を叩く。



「オレはこの部分を『神話時代の断絶』と名付けた。」

「?」


「まずオレは、獣人も人間も、

元は同じ『人間』という種族から成り立っていると仮定している。」


「次に、先に片づけた部分の解析をすると、獣人のケモノである部分なのが解った。」


2人ともフンフンと聞いている。

ちょっとカワイイ♡


「で、この部分は、獣人2人が共通因子として持っていた部分だ。」

問題の部分を指す。

「何でここが違う?」


ライシャが手を上げて、

「そこって、加わってますか、置き換えてありますか?」

「加わってます。」

オレが答える。


『後で付け加えた?』

パラヴィが言う。

オレは、それには答えなかった。


「ハッキリ言おう。獣人の祖先の人間に、過去に何かあったんだ。」


「何年前かって、わかります?」ライシャが聞く。

「大まかなら。」

オレは答えて、自分でやった計算式を表す。

「大体、4000~6000年前だ。」


「この塩基配列が加わったから、君たちの異物に対する親和性が、異様に高まった。

本来くっ付くはずの無い動物の遺伝子を、取り込めたんだ。」


「じゃ、この遺伝子を所長オレのことに付け加えたら、腕がくっ付く?」

「ハハ。遺伝子が定着して、恒常的に存在できるかどうかは分からん。」

「じゃ、どうします?」


「まず、不織布に定着している細胞の状態の再チェック。

次に、データとって、この配列が、どのような働きをしているか、

シュミレーションしてみよう。」


検査してみると、この部分が付け加えられたことによって、

免疫細胞による拒否反応、つまり、抗体による異物への攻撃が鎮まっている。

元の世界にも、抗体反応を抑える薬品はあったが、

副作用無しでやっているところがすごい。


その後、色々シュミレートしてみた結果、

オレの細胞に遺伝子操作をして8つの塩基を組み込み、ゼリー状にして薄く延ばし、

オレと腕の部分にサンドイッチ状に噛ませて入れるというのが、

一番現実的という結論になった。




ここに工場を作ろうと思って10か月。

左腕の研究を始めて6か月。

左腕1号が完成した。


当初の計画では、全体を皮膚で覆うつもりだったが、メンテナンスの関係で断念。

全体を強化プラスチックのような、魔道プラスチックで覆う。

ビス、芯材他、強度が必要な部分は軽金属。

筋肉部分は、刺激を与えると収縮する魔導繊維で作った。


サイズは合わせたが、当初目標にした重さの3倍弱、

レスポンスがイマイチの代物である。


それでも無いよりはるかにマシなので、

イヴに頼んで接続してもらうことにする。

それに先立ち、イヴには整形外科学、光の精霊はプログラムの見直しをした。



定着する時間を考慮して、術後1週間は安静にしないといけない。

今、非常に忙しいのでイライラしたが、我慢である。


接合が成功したので、見てみる。

左腕が根本から、サイボーグみたいな感じである。

動かすと、『キュン☆』なんて小さい音がした。



退院後、焦らずにコツコツ、リハビリテーションを行う。

最初、デタラメな動きをしていた新しい腕だが、徐々に思うように動くようになる。

細かい物を持つと、握りつぶしていたが、1か月もすると、卵を持てるようになる。

もう少しだ。


さらに1か月。

オレは、ほぼ、左腕を、以前と同じくらいに扱えるようになった。


左腕は、右腕に比べて、3倍の力が出るように作ったので、

この2か月の間、右腕中心に筋トレを絶え間なくやっていた。

お陰様で、体が一回り大きくなってしまった。


「よーし、これで両手が揃った。」

オレはニヤッと笑った。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ