第76話 メルの看病と食生活について
開始から3ヶ月経過して、やっと元本の回収が完了する。
よし!
これから安定して収益が出ると思ったところで、メルが寝込んだ。
原因は『食あたり』である。
メル達エルフは、あまり香辛料の強い料理を作らない。
ところが、ここの料理は、かなり効いている。
慣れない異郷での生活と、会社の運営、手持ちの資金減のストレスと相まって、
メルの胃腸が悲鳴を上げた。
「ケン、ゴメンねぇ。」
メルがベットで謝る。
「いや、食生活に注意しなかったオレが悪い。」
「ケンは平気?」
「実を言えば、ぼちぼちスパイスの効いていない料理が恋しい。」
「ハハ。一緒だね。」
力無く、メルが笑った。
今までメルに、甘えていた自分を反省する。
他のメンバーもそうだが、
リーダーとして、メンバーの体調は、しっかり把握している必要があったのだ。
何より、青白い顔で寝ているメルを見ると、可哀そうでたまらない。
空いている時間は、できるだけメルの看病をする。
胃腸薬をメルに投薬して、オレ達用の食事は、しばらくオレが作る。
公国の料理をベースにして、こちらで採れるもので、胃腸に優しい料理を作る。
幸いなことに、メルは1週間程度で治った。
これからは、全員の体調には要注意である。
ちなみにメンバーに聞いてみたら、
スー、マドレーヌ、マオも、公国料理の方がいいと言う。
ラーヴァは、どちらでもよし。
女将さんと相談してメル主導で、オレ達用は、香辛料の少ないメニューに変更した。
時々、オレとメルがスパイスの少ない料理を作る。
こうなると気になるのは、 ヴァーラーナシーにいる、イヴとマリーである。
婆様ーマドレーヌ経由のテレパシーで聞くと、
やはり、相当まいっているらしい。
急ぎ、 カーンプルへ移動の指示を出し、戻らせる。
この後、婆様と相談の上、イヴの診療は、
工場に隣接する場所に治療院を立て、そこで行うことで同意させた。
ウッタ・プラデシュへ来て、おおよそ2か月。
やっと全員が揃った。
「ここしばらくは、カーンプルで工場の操業を続ける。
工場の運営が安定したら、近郊にあるダンジョンの探索を始め、アイテムを収得する。
各人、体調に注意。おかしい場合は、すぐに申告のこと。」
食生活を甘く見ると、大変なことになる。
それを実感した出来事であった。




