第71話 カーンプルで町工場を探す
「ケン、これなんかどう?」メルが古家の情報を持ってきた。
これで12件目だ。
我々は現在、カーンプルに滞在している。
思ったよりお目当ての物は無くて、『帯に短し、たすきに長し』ばかり。
ヴァーラーナシーでは、目的に合う古家は無かった。
「無いもんだねぇw」マドレーヌが言う。
「無いもんだねぇw」マオが言った。
諦めずに12件目を見てみる。
着いてみると、以前、獣人の子供が殴られて、すっ飛んできた工場だった。
「ここ、何やってた工場?」
管理人さんに聞いてみる。
「ここは、武器つくってましたね。」
鍛冶屋さんか。
「なんで潰れたんですか?」
メルが尋ねた。
「えーと、・・・あ、これだ。『武器がダブつき気味のところに、
火事と親族の病気が重なって借金。返済できずに倒産』です。」
「うわ、気の毒。鍛冶屋さんはどこ行きましたか?」
「さぁ、そこまでは、ちょっと・・・」
内覧してみると、大きさと設備、事務所の間取り等、目的のものに近かった。
じゃあ、ここにしようかなと考えていたところに、薄汚い子供が入ってきた。
こっちを見て、『ゲッw』と言って、逃げる。
「スー、捕まえろ!」
『え!? 何で?』みたいな顔をして、スーは捕まえに行く。
捕まえて見てみると、以前見た小僧だった。
「何しやがるんだ!」大声で、どなっている。
「小僧。何でここにいる?」オレは聞いてみた。
「・・・。」
「言わないと、そのまま追い出すぞ。」
マズいと思ったのか、
「ここ以外、行くとこ、ねぇもんw」
「両親のとこは?」
「兄弟多くて追い出された。」
あー。
子供なんて腐るほどいる獣人国のこと。
管理人さんは、平然と小僧を無視して、
「どうします? 買いますか?」
「ああ。 ここ、気に入りました。 で、代金なんですが・・・」
立地が街の外れということもあって、
しばらく説得の末、まぁまぁの値段で買うことができた。
「荷物は早急に手配して、作業を始めたいと思います。」
「了解しました。ありがとうございます。」
管理人さんとの打ち合わせも終わって、7日後から作業開始の予定で動くことにする。
「さて、小僧。名前は?」
オレは尋ねた。
「・・・。」
「メシおごってやるから。」
「ヤン。」
・・正直な野郎だw
「了解、ヤン。 今日からお前、ウチで働け。」
『!?』
「近日中に、荷物がいっぱいここに来る。お前に鍵預けるから、管理して待ってろ。」
オレはゴソゴソポケットを探って、
「これだけあれば、7日間、暮らせるな。」
金をやった。
「オレ達は、4日後にまた来る。その時みんなに、改めて紹介する。」
そう言うと、外に出た。
外に出ると、オレはスーに、
「この次オレが来るまでに、街の情報と、ここの親方の行方を調べておいてくれ。」
と頼む。
スーは、頷いて、
「了解。ネズミ2匹、一緒に連れてっていい?」
もちろん♪
2匹にも、オレのいない間に調べておくことを命令する。
後は、こちらに住む準備を進めるだけだ。
オレ達は、スーと小僧を残して、 ヴァーラーナシーへ戻った。




