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Heart on Fire ハートに火を着けて♡  作者: 三久
ウッタ・プラデシュ編
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第69話 王の招集(1)



一夜明けて、『目覚めた人』となったオレは・・・

実は、『全然変わりなかった』。


「婆様、変わらんな。」

オレは飯を食いながら、素直に感想を述べた。


「悟る悟らない、目覚める目覚めないについては、なったところで変わりはない。」

婆様が言う。


漬物をポリポリ食べながら、

「じゃ、なんで修業するんだろうな?」


突然、婆様から座禅棒が飛んできた。

オレは、スッと避ける。


「そうなるからじゃよ。」

ニヤッと婆様が笑った。

「お前様の言う『テレパシー』も、できるようになったじゃろ?」


確かに、気が付いたら『テレパシー』ができるようになっていた。

なるまでは気づかなかったが、こんな豊かな世界が開けるとは、思ってもみなかった。


人には、固有の魂の色がある。

その色も感情によって、刻々と変化した。

獣人達は、生来より魂の色を見る技を収得しており、豊かな精神世界を構築していた。


人間が失った『感情共有』の世界は、文字で文明を築くことができたとしても、

失うには惜しい世界だった。



テレパシーの感度について調査してみると、

マドレーヌ、婆様はテレパシーで会話できる。

メル、ラーヴァ、イヴ、マオについては、近ければ、ある程度分かる。

マリーは全然ダメ。

オレがまだ弱いのか、相手の感度が弱いのかは、ハッキリしない。

まぁ、これだけできれば充分かな。



寺院は早朝から、すごい人出だ。

病人の数が多い。

「婆様、病人って、『愛』で治るのか?」と聞いてみたところ、

「魂を患っている病気なら治る。」とのこと。


日に4回、婆様と一緒に礼拝の間で群衆と会う。

マリーが警護として、傍らに付きそう。


体が病気の人は、救護院に回ってもらう。


医療が未発達なウッタ・プラデシュでは、平民のほとんどは、

救護院で治療してもらうしかない。

そこでは、イヴ・メル・ラーヴァが救護に当たっていた。

マドレーヌは看護の通訳、マオ、スーは連絡係兼雑用として動いてもらっている。



人々でごった返す中、1日が終わる。

みんながぐったりしている中、オレは一人、庭に面した広間で『常世』へ向かう。


『常世』はエネルギーが豊富だ。エネルギーを吸収して戻る。

現世に帰って、メンバー、一人ひとりと額を合わせて、『愛』を与えていた。



そんな感じの生活を続けて、1週間。

ヤケに尊大な態度の連中がやってきた。


『王宮からの使いである! 尊師は居られるか!?』


「なんだ?」

召使に伴われたネーハさんが表に出る。

「何か用かの?」


使いは、尊師だと思わなかったのだろう、ネーハさんを見て、

「尊師に、お取次ぎ願いたい!」


「ワシが尊師だ。」

『!?』

「若返ったのじゃよ。」

『!!?』

「早う要件を言えっ!」

態度で分かったのだろう、

「王から、王宮へ来るよう、お達しがありました。」


「ふんっ。」

「『始祖』のよみがえりと一緒に来いとのことです。」

「・・・。外の騒動は見たな。」

「すごいですな。」

「王の命令を優先して、出掛けたらどうなると思う?」

「?」

「群衆が怒りだして、収集がつかなくなるぞ。」

「あ!」

「帰って王に伝えよ。少なくとも、巡礼の季節が終わるまでは、行くことはできないと。」


急に使いの態度が卑屈になる。

「このまま帰ったら、私が、王に叱責されます。なんとかなりませんか?」

ネーハさんは踏ん反り返って、

「王が自ら出向いて来いと言うておけ!」



奥ノ院では、メルとオレは、脱出計画を練っていた。

「いい加減、飽きてきた。」

オレはメルに言った。

「大勢の人を助けてるよ。」

無料タダでなw」

「ダメなの?」

「オレ達が自立できんじゃないか。」


オレは、『功徳』も『奇跡』も関係なかった。

大切なのは、自らが自立して生活できることであり、

自分に近しいメルやパーティのメンバーが、安全に生活できることであった。

できれば、他の人も助けられれば望ましいが、限度というものがあった。


オレにとって、先立つものが確保できない限り、

無料奉仕ボランティアは、『絵に描いた餅』なのが、正直な感想だ。


そもそも最初から望んでいたのは、テレパシーの開発であって、

『始祖』になることではない。

婆様には、何か考えがあっての行動だとは思えうが、

ハッキリ言って、これ以上付き合うのは、鬱陶うっとうしかった。


婆様が礼拝らいはいの間から帰ってきた。

「王宮から『すぐに来い』と言ってきたから、『そっちから来い』と、追い返してやった。」

「・・・。」

「どうした? そろそろ始祖の座が飽きたか?」

「・・」

「お前の顔を見れば、一目瞭然だわ。」

ニヤッと笑って、婆様が言った。


「『始祖様』も、1週間で飽きておしまいになって、どこかに逃げてしまわれた。」

・・やはり。


「まぁ、もうしばらく待て。そのうち、王が自らここに、やってくる。」

オレの茶を、うまそうに飲みながら、婆様が言う。

それ、オレの飲みかけだぞw


「王が怒らないか?」

「怒ったら怒ったときのこと。」



「どんな王なんだ?」オレは尋ねた。

「『武王』だな。」婆様が言う。

「ホゥ!」

「強いぞ。」ニヤッと笑って言った。


「アヤツは生まれた時から、チャクラが開いておった。

そのせいか、戦いの技を教えられると、たちまち頭角を現した。」

「修業しなくても、チャクラって、才能で出るんだな。」

「タマにだが、そういうことが起きる。」


「獣人の国は、『強い者が国を統治する』という原則があって、

アヤツは武闘会で1位になって王になった。」


・・・ちょっと待てw

「婆様。国を統治する理由が『強い』だけでいいのか?」

「始祖様に言わせると、『いい加減な国』だ。」


うーむ。

少し、 ウッタ・プラデシュについて調べた方がいいかもしれない。





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