表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Heart on Fire ハートに火を着けて♡  作者: 三久
バシレーア公国編
55/373

第54話 教会の陰謀



ー3日間の休暇の某日ー


「イヴリン様がお見えになりました。」

「・・。通せ。」


ここは、聖光正教会アンタルヤ支部。

その中の『内赦院・ 秘書官房』に、イヴリンは訪れていた。


部屋は簡素というより、大きな書斎机と椅子以外、何もない。

そこで男・・・司教が、何か書き物をしている。



「イヴリン、参りました。」ひざまずき、一礼する。

「うむ。」書き物をしたまま、司教が言った。


司教は、イヴリンを見もせずに、書き物を続けている。

しばらく書く音だけがしていた。


いい加減経って、司教は顔を上げた。

「取り出す目処は立ったか?」


「司教様。その件ですが、取り出す必要があるのですか?」

「・・・」

「ワタシは、β-89の洞窟で『破壊神の魂』を見ました。

その時、破片から浮かび上がったイメージは、『永遠の暗黒』です。

あれは地上に破壊しか、もたらしません。」


司教は『ギシッ』という音をさせて、椅子にもたれて、

「私は『目処は立ったか』と聞いた。」

「しかし、ワタシは、・・・」


立ち上がりながら、司教は、

「貴様の意見は聞いていない。」


司教は、イヴリンの正面に立って、

「さて、イヴリン。」

「はい。」

「かねてからの案件であった、例のダンジョンに眠る『破壊神の魂』。

それを回収する任務を与える。」

「・・・」


「開拓者ギルドへの発注は、すでに済ませた。

お前たちのパーティが侵入する手はずも整えてある。

最奥の部屋にある魂を取ってこい。」


さらに近づいて、

「ああ、もう一つ。貴様に仕事を与えてやろう。」


イヴリンの足元に、一振りの鞘入り短剣を放り投げる。


「その短剣には、猛毒が塗ってある。」

「・・・」

「目的の物を取得した後、『ケンター』を殺害せよ。」


『!? そ・それは!!』


「なぁ、イヴリン。お前はどこの所属だ?」

「・・内赦院・ 秘書官房です。」

「そこでの使命は?」

「『異端者を取り締まり、必要あらば抹殺』です。」

「ならば、何の疑問もあるまい。」


「本部からの命令である。『ケンター』を殺害せよ。」


司教は言うことは言ったのか、後ろを向いて席に戻りつつ、

手をヒラヒラさせて『去れ』とアピールする。



イヴリンは、迷った。

「し、司教様。」

何か言わなければ。


司教は後ろを向いたまま、静かに、

「イヴリン。私を失望させるな。」


『ビクッ!』として、言葉が止まる。


「お前は幼少時から催淫魔法が出て、人を惑わした。

そんなお前を、親も見捨て、預けられたどこの教会でも、

トラブルしかもたらさない厄介者だった。

そんなお前に、衣食住を与えて、曲がりなりにも仕事を与え、

生活させてやったのは、誰だ?」

「・・・司教様です。」


「途中でお前の才能を見抜き、

神秘部に派遣して、生き残る技術を学ばせたのは誰だ?」

「司教様です。」


「なぁ、イヴリン。あのままお前が生きていても、

良くて、どこぞの僧院の奥で、性欲の余った僧侶達の捌けはけぐちに使われるか、

淫売宿で、娼婦になるしかなかったはずだ。」

「・・・」


「それを私は、お前を、あの絶望から脱出させ、

育て上げ、教会でも上位の階級まで抜擢した。」

「・・・」


「私の顔に、泥を塗ってくれるなよ。」


司教は、イヴリン見て、

「去れ。目的を達成せよ。」

再び書き物に戻った。


もう司教は、目的を達成するまで、イヴリンに声をかけることはないだろう。

それが分かっているイヴリンは、深く一礼して、部屋を退出した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ