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第2話 荒野の真ん中にオレはいた

ンッ!? 息ができないっ!

オレは半分溺れた状態で目を覚ました。

口を開けたまま仰向けで寝てて、口の中いっぱいに水が入ってる。

「ゲエーーーッ!!」

思いっきり吐き出した。


見れば、体も半分泥水に埋まっている。

ウエッ!泥まみれだ。


雨が土砂降りに降っている。

このままじゃ、溺れちまう。


急いで水溜まりから飛び起きて、改めて自分を観察する。

なんだぁ!? 服着てないじゃないか!

いや、服とは言えないボロボロの状態の物が、体に纏わりついていた。


幸い、死ぬほどの寒さじゃない。


何があった!?

オレ、今まで自転車漕いで、帰宅する途中だったんだけど!?

なんでこんな土砂降りの中にいる?

がけ崩れ?

爆弾でも落ちた?

まったく何が起こったのか、分からない。


相変わらずの土砂降りだ。

周囲を何かほじくり返されたような感じの土地の中に立っている。


ヨロヨロ歩いていくと、踏んづけた水溜まりで、膝くらいまで埋まってしまう。

慌てて引き抜くと、靴が脱げた。

慌てて水溜まりから引き抜く。

いかん。上に逃げよう。


1時間くらいかけて、ツルツル滑る斜面を、やっとの想いで登りきる。

後ろを見ると、でかいクレーターみたいな穴が開いている。

どうも、その中心にいたみたいだ。

今では結構な深さに水が溜まっていた。

「危ね~w」

あのままいたら、溺れて死んでるだろう。



森の真っただ中に、オレはいた。

周りは、鬱蒼とした木々に囲まれていた。

「どっち行けばいいんだろう?」

方角がまったく解らない。

ヘタに進んで、よけい奥に行くと厄介だ。


空を見ると、厚い雲に覆われていて、太陽も見えない。

このままここにいて雨に濡れていたら、絶対にマズい。

運任せではあるが、オレは歩くことにした。


森に入ると、雨が降る音以外には何もしなくなった。

森の中なので、雨は大きい滴になって、ポタポタ落ちてくる。

泥まみれだったオレの体も、段々と泥がとれていく。


1時間くらい歩いただろうか、ふと見ると、倒木に大きな洞が出来ていた。

そこで休憩しようと思い、近づいた。


突然、何かが目の前を横切った。

んっ!?

尖った切っ先とハサミを持った、尾のようなものだ。

洞の方を見ると、見た事の無い『モンスター』がいた!

「ウワーーーッ!!」

ビックリしたオレは、慌てて飛び下がる。


洞から出てきたソイツは、低く構えて、オレに襲ってきた!

その瞬間、横から何かの影が!

別のサーベルタイガーみたいな獣が、そのモンスターに噛みついて争っている。


今のうちだ!

そう思ったオレは、静かに、かつ慌てて、後ろへ逃げる!


なんなんだよぉ。

こんな場所嫌だ!!

誰か助けてくれ!!

走りながらオレは願っていた。


雨の中、前も見ないで走っていたので、倒木につまづいたらしい。

そのままゴロゴロと転がって、いきなりの空中遊泳!

「オッ!?」

かなり高さのガケから落下!

「ウワワーーーーッ!!」

そのまま、かなり深さの淵に落っこちた。


思いっきり水を飲む!

死ぬっ!

慌てて水面を目指す。


落下のショックが軽減されたのはいいが、降り続く雨のせいか、

川は、かなりの濁流と化していた。

成す術もなく、オレは流されていく。


幸い、滝とかの障害物もなく、オレは少し開けた場所に出た。

チャンス!

流れに逆らわないようにして、岸を目指した。


やっとの思いで着くと、急いで川岸から離れる。

雨は降り続いているから、増水が怖い。

とにかく高見を目指す。


10分も上っただろうか、一本の道があった。

よし!

相変わらず方向は解らないが、下っている方向を目指す。

多分、下流方向に下れば、街に出るだろう。


さっき出会ったモンスターや獣が怖い。

突然出てきやしないだろうかと、ビクビクしながら歩く。


時々物音がするから、とっさに隠れて様子を見る。

遠くでよく解らないが、影から察するに、見た事の無い獣やモンスターが、

多数徘徊しているらしい。


2時間も歩いただろうか、森が開けて広い場所に出た。

雨は小降りなっていて、曇り空の下、見た事の無い風景が広がっていた。


周りは一面の荒野だ。

遠くを見ると、とある尾根の上に建てられた教会堂。

その中を、一本の道が、教会堂を目指して、延々と延びていた。


「よし! 教会目標に歩いていって、助けを求めよう。」

そう思って、オレは歩き出した。


しばらく歩いていると、妙な雰囲気がした。

モンスターか!?

慌てて後ろを振り向いたら、女が浮かんでいた。


・・・浮かんでいる?

『見ぃつけた♡』

女は宙に浮かんだまま、ニコッとかわいらしく笑った。

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