世界を救え
其の一 勇者あああ
「よく来たな勇者よ」
魔王マーオウは勇者を歓迎すると同時に、迎え撃つべく自らの力を解放した。
「我々は絶対に負けん‼︎覚悟しろ‼︎魔王‼︎」
対する勇者達四人組も臨戦態勢だ。
「ククク…威勢の良い奴だな…。貴様らの様な冒険者は飽きるほと葬ってきた。貴様らもすぐにそうしてやろう…」
ピリピリとした緊張感が場を支配する。
「私は倒した冒険者にはきちんと墓を建てて記念にしている。貴様らもすぐに暮石に名を刻んでやろう…。名はなんと言うのだ、勇者よ…」
「良いだろう…貴様を倒す男の名だ‼︎あの世に行っても忘れるな‼︎我が名は…」
「勇者あああ‼︎‼︎」
「えっ」
「えっ」
「…えっ、ちょっ…えっ」
「えっ…なんだよ…」
「うん…なんか、ね、ゴメンね…くっ」
「なんで笑ってんだよ笑ってンじゃねぇよ。」
「いやだってさぁ…くっ…いやほら、ほか3人もさ…笑ってるし…くっ」
勇者のパーティの三人もクスクスと肩を震わせていた。
「んだよ…マジさぁ…」
明らかに不機嫌になる勇者。
「えっ、ちょっと待って、じゃあさ、ほか三人はどうなのよ実際」
そう言うと魔王は三人に視線を移した。
「俺はガルシア」
半笑いで戦士風の男が応えた。
「私は…ふふっ…私は…くっ…イザベラ…くくっ」
あい変わらず肩を震わせている魔女風の女が応える。
「ごほんっ…ええ、私は、シエルと…いいます」
咳払いするも、ニヤニヤと笑いを堪えられずに僧侶であろう女も応えた。
「あぁね、みんなね、普通…まぁカッコイイ風なね、ハイハイ」
魔王もニヤニヤしながら頷く。
「えっ…で、勇者は」
ぶっ、と三人が噴き出した。