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005 Darkness miner(暗闇の鉱夫)

私の名はティープ=ニセノン。鉱夫を生業としている。今はイリス国の大規模事業に参加している。


生まれはテイエン藩国。ガルン帝国という所に支配されているのだが、藩王を頂点に国を名乗るにふさわしい支配地域を治めている。イリス国の背後の山脈の向こうにある帝国で、テイエン藩国はイリス国に一番近いところに位置する。


山脈があるために、相互に戦をすることがなく、山脈のために交易関係はない。そのため王同士の関係は極めて良好で、イリスの外交官が大規模工事計画の話をしたところ、出資提供と鉱山技術者の斡旋をする話が迅速に締結された。



帆船が通れるぐらいのトンネルなので、作業工区を65に分割して、そのうちの35工区の監督責任者として拝命した。


工事としては大規模で、帆船のマストの先より高く、三隻が横並びに通行できる、大型の運河式のトンネルを掘る。高さは25m横幅は70mに達する。イリス国の背骨ともいうべき山地の一番薄い部分を掘削していく。まずは50mのところに山地を横断する人孔をまず完成させる。距離が距離なのでこれもまた大工事だった。

人孔は鉱夫を現地に送り込む馬車が走るだけでなく、掘削した岩石を斜めに設置したベルトコンベアーで人孔に送り、人工を貫く大型のベルトコンベアーで北の工区はコンペアで残土や石をコンベアで山地の北に排出、南の工区は同じように山地の南に排出している。人孔の半分でコンベアの流れを変えている。


そこから65に輪切りに指定された工区を競わせるように、掘削の土魔法にて下に掘りすすめる方式をとっている。

1位から20位までイリス王から賞金が出る。この賞金は工区の皆に均等に配分するのを、イリス王自らが公言している。藩国と帝国に賞金は入らない。私にも均等割りした賞金が入る。そのため下っ端の作業員まで懸命に作業に努めるため、相互監視もされるためか、サボタージュが行われない。工事の進捗状況が行程通りに正確に進み、逆に進捗がシュートして、工程表を書き直し、作業手順の手配に追われるまでになっている。ここまで賞金が効果あるとは・・・・イリスにさいわいあれ。



今回初めてこんな大規模事業に携われたので、ちょっと記念的なことをこっそり行いたい。工事の進捗はほかにくらべて、目に見えて遅くなければかまわないが、本体工事が遅れたのでは沽券にかかわるので、なるべく本体工事の邪魔にならない小規模で、費用も個人的にまかなえる工事というか、細工を考えている。

それはこのトンネル完成すると側面に照明が付いているんだが、トンネルの幅があるため、帆船を照らすほどの明るさはなく、壁の位置がわかるほどのもので、基本的トンネル内は薄暗い。トンネルの天井などは真っ暗だ。

この天井部分に光の精霊が好むクリスタルを埋め込んでおく。このクリスタルはテイエン藩国のある地方の鉱山でしか手に入らないもので、面白い特性がある。精霊に触れられると淡い光を数分間にわたって発光するという、わが藩国特産のお土産物として流通販売されている。費用も安くはないが、親指ほどのクリスタル1000個ほど入国するときに、イリス国に持ち込んだ。


この国のシンボルはイリス神だ。クリスタルの配置をイリス神のレリーフになる様に、掘り下げていくたびに、少しづつ設置していった。

精霊は我らには知覚できない存在で、精霊は気まぐれなので、いつもいるとも限らない。そのため1000個のクリスタルが一斉に光るとかはないだろうが、何かの機会に精霊がたくさん集まりさえしたら、いつかは大きく発光し、船員の目を楽しませることができ、航海の無事を祈る場になるのかもしれない。

私からのちょっとしたサプライズプレゼントだ。発覚するころには故郷に戻ってることだし、誰の仕業とかは鉱員から伝わることだろう。

大人のいたずらはこういう風におしゃれにできるのがかっこいい。





ところが、すぐばれた。



完成竣工の奉納蔡のせいか、竣工を祝いトンネルを通過中の帆船に乗り込む、船員らの目に触れたのが発端。


近衛の騎士隊につかまり、王城の牢屋に連行されてしまった。かび臭い牢屋で一晩過ごした翌日、騎士を両脇に挟まれて、王座のある部屋に連れ出された。


たぶん罰を受けるものだと覚悟していたら、

「すまない、王の客として呼んだのだが、何かの手違いで罪人のような扱いをしてしまった。」

と謝られた。

「私は名声を得るためにいたずらしてしまったことなので、罰は覚悟しています。私の指示にしておこなったことなので、鉱員に罪はありません。私にだけ・・・・・・」

「そうではない。そなたは私の客だ。客にそのようなことをするつもりはない。」

「???」

「そなたの言ういたずら、あれは非常に良い評判をわがもとに運んでくれることになり、私の名声が上がることになったのだ。それでそなたに褒美のために読んだのだが、手違いで罪人のような扱いになってしまった。もちろん手違いは部下なのだが、その責任は我にある。許してほしい。」

「恐れ多いです、王様。いたずらでしたことなのに・・・・・。」


「褒美はわが国でのみ有効な騎士爵の位と金2500枚を授ける。騎士爵位なので治める土地などはないがわが国でのみ子々孫々に騎士爵位を名乗るのを許す。」

「!」

「あのイリス神のレリーフものすごい評判で、それを見たいと諸侯からの申し込みがすごく、私の鼻が高いのだ。それの感謝の気持ちだ。」

「・・・・・・王様、何があったのでしょうか?あれは精霊がふれると、ほのかに輝く程度のもので、幻想的にイリス神のシンボルが瞬く程度のものを想定していたのですが、さきほど騎士さまからトンネルでイリス神のレリーフが光り輝いたと、あり得ない話を聞いたのですが?」

「奉納蔡でイリス神が天上界から地上に降りていたらしく、イリス神の波動でクリスタルが反応した。さすが神だけあり、クリスタルがビカビカ光り輝き輝き、それでそなたのいたずらが発覚した。ふふっ。」

「ビカビカですか?さすが神様ですな。」

「他国に神に守られた国というのも喧伝でき、非常に国のためになった。」

「おめでとうございます。イリス王とイリス国に万年の栄光がありますように。」

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