まだ地球でブンブン言ってるの?
1.わたしは火星に移民して来たユーチューバー
ハローユーチューブ!地球からここ火星の”スペースコーチ”に移住して、わたしの動画のアクセス数はなんと何倍にもなったの。まだ、地球でブンブン言ってるの?
火星なら、どんな動画を撮ってもアメージングな仕上がりよ。全てが動画のネタになるから火星の生活環境はユーチューバーを堕落させます。アクセス数と引き換えに人として駄目になっちゃうかも〜。だが、それがいい。
火星での食事は主にわたしのファンの人たちが、地球からスペース宅配便で送ってくれるプレゼントで賄っています。スペース乞食っすなぁ(笑)も・ち・ろ・ん、基本的な生活必需品は自分で買ってるわー。
2.火星動画の見どころ
火星で撮れる人気コンテンツはなんと言っても超古代文明の遺跡動画ね。何故かカメラには映らないんだけど、火星では至る所に不思議な宇宙人さん達が居るの。大きさは大体ソフトボールくらい。見た感じはウルト◯マンっぽい?トイレにもシャワールームにもお構い無しで現れるから最初はビックリしたけどねー慣れたわー。本当に怖いのは人間よ(笑)
3.宇宙人さんとのコミュ
宇宙人さんは地球のご飯を食べます。わたしの食事中に現れた宇宙人さんに自分の食べ物を少しおすそ分けしてみました。そうしたら、普段は見当たらない口がニョっと現れてクリオネみたいにバクっと食べた。「ははは」と乾いた笑いが漏れたよ。お味は微妙でしたかな?別段おねだりはありませんでしたよ?
そんな訳で火星でも比較的簡単に作れる、カロリーメイトやうまい棒でおもてなしをしています。小さな彼ら?にとって、うまい棒でもお腹いっぱいじゃないかしら。
4.火星でのマイブーム
砂だらけの大地で草刈機を唸らせ、エア草刈りなのです。チュイ〜〜ン。ブンブンブン。すると?あら不思議です。翌日、そのエア草刈りを演じた地面に草が生えていました。他の場所でもエア草刈りをすると、やはり草が生えました。草刈機を火星で使うと草が生えるのでしょうか?そんなの聞いたことがありません!
とまぁ、こんな感じのテラ・フォーミングも進行中でーす。
5.マーズバッグ
地球の高知で、山を買って廃温泉を復活させようとすると一億円なんて簡単に無くなるけど、火星のスペースコーチではそんなお金不要です。まだ地球でブンブン言ってるの?火星は開発し放題です。流石に所有権は貰えないけど専有権があるよ。
アースバック工法ならぬマーズバック工法で家を建てます。重力が地球の三分の一なので作業もら・く・ち・ん。火星には雨は降らないけど、宇宙線とか砂嵐除けにはなるからねー。でも、土のうで作った家に気密性はなーいのです。
6.PHU買いました
PHUとはプラグイン・ハイブリッド・ユーフォーの略ね。少し高かったし、実用面ではまだまだタイヤ付きには敵わないけど、ロマンなのよ!宇宙と言ったら空飛ぶ円盤よね〜。
それに、謎の動力で動くこのUFOは電源が確保できるの。動力オフでもエアコンも使える。ちなみにわたしは動画撮影スタジオとしてもこのUFOを活用中。UFOの中では宇宙服も脱げるしね。やっぱり、どんなに可愛い宇宙服でも普通の服よりは野暮ったいのよー。
7.アシスタント
有能なアシスタントさんがスペースコーチにいらっしゃいました。何でも火星にゲストハウスを作るとか!?リア充死すべ…あっ何でもない(笑)
正直、わたしは地球には人が多すぎるんで、ここに来たんだけど。火星の魅力が理解できるのはわたしだけじゃなかったか。わたしは、馴れ合わないけど、この間お醤油切らした時貸してもらえたから、まぁいいかって感じです。
8.宇宙宅配便の回収
基本うちの近くのポイントに配達されるんだけどー、そこはやっぱり時々ポイントを外れてしまうこともあるの。そんな時はUFOの出番!これが本当のUFOキャッチャーですよー!落下した荷物の直上まで移動して、真下の荷物めがけてアームを伸ばしてキャッチするのです(笑)
9.3Dプリンター
宇宙での生活に欠かせないのが3Dプリンター。火星へはアマゾンプライムを使っても当日あるいは翌日に荷物は届かないね。火星への配送は追加の配送料金も発生します。配送料の方が高くつくのがネックだよー。
そこで、3Dプリンターの出番です。火星の砂と特殊接着液で、ほぼ何でも作れるから大助かりです。アマゾンから買うのもこの3Dプリンターの接着液が多いよ。
ところがある日わたしはひょんなことから宇宙人さんの体液が接着液として使えることを発見したの!具体的に言うと"よだれ"じゃなくて唾液。だからわたしは宇宙人さんに梅干しの映像を熱心に見せたり、昼寝させたりしてよだれの回収に取り組んだんだ。
最近では、宇宙人さんたちも空気読んでわたしの前に現れる時は口いっぱい唾液を貯めて来てくれているようです。ちなみにドロッとしていて透明で無臭な液体よ。
10.孤独プライスレス
ある日、わたしが心ゆくまで惰眠を貪っていると、誰かがわたしを揺さぶって起こします。だぁれ?アリスちゃん?もうちょっと寝るんだけど〜。ブ〜〜ッ!ブブゼラで起こされた。そして怒られた。
「アリスちゃんおはよぅ。」アリスちゃんはわたしの友達です。
「おはようじゃなーい。」こんばんわだったかもしれない。
「そういうんじゃないから」また怒られた。かなりイライラのご様子。地球から来たのにカルシウム足りてない?っていうかどうやって来たんだろ。
「やっと転送装置が治ったから、いの一番にやって来ました!」そんなぁ。
「そうよあんたがマメに壊すからね。転送装置を!」拳を握ってすごい形相でそんなことを言います。そうなのです、火星を地球の喧騒から遠ざける為、わたしは定期的に自動回復機能の備わった転送装置を手を変え品を変え破壊していたのでした。今回はそれをうっかり忘れちゃった、てへっ。ゴチン。
「ノー。暴力反対!!」
思えば、テクノロジーの発展は地球以外の惑星さえ通勤圏に変えていたのでした。
「アリスちゃんこれからどうするの?」
「転送装置が壊されないよう、ここで見張ってます」
「ですよねー。」
「あんたはどうするのさ?」
「わたしはーちょっと、コンビニに。。。」そう言うとアリスちゃんは興味なさげにオレンジジュースパックを吸い始めました。わたしは何人か宇宙人さんを見繕ってカバンに詰めてUFOで火星を飛び出したのです。目的地などありません。別に人は惑星に住まなくてもUFOとアマゾンと宇宙人さんが居ればなんとかなるのです、きっと。
ピロピロピロリン。アリスちゃんから通信です。
「あーあんたのUFOにも転送装置付けといたから、自動修復するやつ」
「ノーーーッ。」
おわり