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妄想イタリアと残念チャイナ

話の構成と今後の展開を考えながら執筆していたら、前の更新から3ヶ月近く経っていました。その間に他の小説の更新やら、白人黒人あふれる大学のストレスに参っていた大変な期間だったり。それでも当小説を一人でも多く読んで頂ければ、うれしい限りです(ホッコリ


ちなみに心理描写の追加と自分の好みの都合によって、これからは志穂の一人称を基本として進めていきます。


もう一つ、第1話にも話に出てきた「日本語補習学校」というものはアメリカに多数(?)実在するものです。アメリカ在住の日本人学生が他の日本人学生と最低週1の頻度で触れ合える貴重な場所でもあります。

「お断りシマス」



あたしの目の前の男から真顔で拒否の言葉を投げられる。


……傍から見れば、愛の告白が酷い断られ方をされているようだが、違う。断じて違う。

そもそもこの小規模な日本語補習学校のクラスのど真ん中でドラマチックな展開を繰り広げるバカがどこにいるというのか。



「ヒドイ即答だな…。別に服を大量に買いに行くわけじゃないぞ」


「俺もよく姉ちゃんに買い物を付き合わされるけど、”服は買わない”と言われて買わなかった例がないよ。…ていうかそういうことは女子に聞くもんじゃない?」


「あたしだって長時間、服選びに付き合わされるのは大嫌いだ。

 実際にほら、あたしファッションセンス無いし……基本ファストショッパーだし」


「異議あり。

 三鳥……お前普段着はテキトーに見えるけど、パーカーを買うときに限ってウン時間も使うって聞いたぞ。あのステファニーが先に会計を済ませただとか……」


(……確かにパーカーにはこだわるけど)

「あ、あれはアイツが普段より買う量が少なかっただけだっ!」


「とにかく。

 車に乗せて欲しけりゃ、他の誰かに頼むんだね」



ぐぬぬ。中々手ごわい。


あたしの数少ない日本人の友人・黒木翔也<<くろき しょうや>>が下校する。他の日本人のクラスメートたちと合流するために教室から出ようした。


それを阻止すべく、あたしは黒木の上着の後ろを掴む。



「お願い……!

 黒木しかいないんだ!」(……この補習校に自分の車で乗ってきているのは!)



そう伝えると黒木は服を掴んでいるあたしの方へ振り向いた。


こいつの身長は日本男子の平均近くとはいえ、女のあたしはこの男を見上げる形になっている。

……やはりこの背丈じゃ説得力がないか?






「…………








 …ズルイぞ。ったく…」





黒木が何かをつぶやく。




「?

 どうしたんだ?」


「……何でもない。

 早く帰りの仕度済ませろよ。置いてくぞ」


「あっ。それってオッケーってこと?」



友人はこちらに背を向けたまま、ドアの前に立って待っている。


……やっぱ、持つべきものは気前の良い友だな。うん。





─────





「うげっ。混んでる」



場は補習学校から近くにあるショッピングモールへと移った。



「日曜日だからね。ハイスクールどころかミドルスクールの子たちもいるよ」


「やっぱ帰らせていただきマス」



黒木が入ってきたばかりの入り口を出口に変える前にすばやく上着の後ろ襟をつかんだ。



「ちょっとちょっと!駐車できただけマシだろ!

 なんなら、最初は黒木が行きたい店に入ってもいいぞ」


「む?行きたい店か……。

 強いて言えば……あそこかな」



黒木は両側に並ぶ小さな店たちを見渡した後、一つの黒い店に指を指した。



「ん?どれどれ……。









 ……お、オタクワールドぉ?」



友人が指摘した店はいかにもアメリカンジャパニーズ光がまぶしいネーミングの名前がでかでかと飾られていた。



「そう。OTAKU WORLD。

 日本のアニメ関連のものがいっぱい売ってるところだよ。

 小さい店だから流石に最近のアニメのDVDとかは売ってないけど、3年とその前ぐらいの奴なら大体揃ってるんだ。洋画のDVDも最新ので20ドル程度で買えるし」



黒木の目がいつになく輝いている。

普段は節目がちに暗めの冷静さを見せている奴だが、童顔のおかげで笑顔の方が良く似合っている。



(いつもこんな感じに明るかったらモテるのに。……趣味はともかく)



浮いた足で入ってゆく男子につられて、あたしもディープな店に足を踏み入れた。







「うへぇ。結構いっぱいあるんだなぁ」



小さい店とは言え、その品揃えは圧巻であった。

昔のアニメらしい古い絵柄のから最近、日本で流行っているらしい学園SFものや女子5人組のロックバンドものなどジャンルも幅広い。

しかもキレイに見栄えのある並べ方に感心とともに、ちょっとした恐怖を覚えた。



「何言ってんだよ。こんなのまだまだカワイイくらいだよ?

 毎年都会で開催されるオタクコンベンションで開かれている出店なんてここより狭いスペースでこの5倍の品は揃えてるらしいし……」


(それは流石にデマだろう。

 ……いや。でもこの国の人たちの成すことは侮れないからな……)



その数分後も、あたしたちは小さな店の商品を見まわった。

黒木は水を得た魚のようにあたしが目を付けたアニメのあらすじや魅力を熱く語ったり、コスプレグッズを手に取ってはそのキャラの物真似を披露してくれた。

……しかし本当に無駄な所で器用だな、この男は。

面白いけど。









「だから~!

 いいから着てみなよ~!」


「い、いいヨ……。

 恥ずかしいし……」



店の向こうから何やらのほほんとした声と、凛とした中国訛りの英語が聞こえる。


黒木も興味を示したのか一緒に棚の向こうを確認する。



「ほらほら!

 このビキニアーマー絶対に似合うから!」


「着れるか!そんなアホ露出な服ナンカ!」



だんだんヒートアップしていく声たちの正体はあたしと黒木と同い年くらいの女子2人であった。


あの漫画のヒロインのコスチュームを拒否している女子は訛りの通り、中国人に間違いない。

ダサいジャージ姿だが長い黒髪がキレイで、切れ目が良く似合うアジアン美少女だ。


そのキワドイ服をそいつに押し付けているのは髪を少し緑に染めている、可愛らしい女子であった。

少しフライドポテトみたいだが、ポニーテールでまとまった髪が印象的な白人の女の子………しかし雰囲気はアメリカ人と少し違うみたいだ。



「おいおい。店内でそんな騒いだら迷惑なのが分からないのか……?

 ねぇ、黒木?」


「…………」



友人は黙ったまま黒髪の女子の方をジィッと見ていた。

……男子が美少女に見とれるのは分かるが、将来デートをしている時こんなことしたら嫌われるぞ。



「えっ!?三鳥なんか言った!?」


「いや。何でも」





その時、そこの二人の女子はなんとこちらへ顔を向けてきた。

本当は関わらないまま去りたかったが、きっと黒木の裏ボイスに反応してしまったのだろう。



「……?

 何だ、あの人たち?」



黒髪のチャイナがこちらを迷惑そうな顔で見てきた。

あたしは迷惑なのはそっちだろうにと返すようにムッとした。



「ナンカこっちの方をジッと見ているような気がするんだけど……」


「………!?

 もしかして!」



ポテト娘の方が声を上げた。

きっと自分たちが騒いでいたことに気づいたのだr……。






「あのカップル…………きっと、このビキニアーマーが欲しいんだ!!

 ローズ!これやっぱり譲らなきゃ!!」



あたしと黒木は大きくコケる。



「最初から欲しいナンテ言ってない!!」


「多分、あの彼氏さんがあのカワイイ彼女にこのコスチュームをプレゼントしたいんだね!

 やっぱりオタクのカップルは存在しないっていうのはウソだったんだよ!」



ポテト娘は勝手な設定をどんどん膨らませて、チャイナの話はまったく聞いていない。



「ちょ、ちょっと待ったぁ!

 俺たちは別にか……カップルなんかじゃない!!

 ただのクラスメートの……友達だし……」



黒木は抗議をしながら二人の女子の方へ向かっていった。

こいつの言っていることは全く持ってその通りだ。

いいぞ、もっと言ってやれ。何故か顔真っ赤だけど。



「えぇ~?

 でも大抵、そういう考えを持っている時は両想いのケースが多いんだよ!」


「えっ……!

 そ、そうなの?」


「チョット。

 二次元のネタを現実に持ち込まないの……」


「その通り。

 現に、あたしとコイツはただの友達で買い物に付き添ってるだけだ」



あたしも黒木に続き、二人のもとへやってきた。



「え~。何だかつまらないな~」


「う、ウン。

 オレタチタダノトモダチデス……」



お前は何、カタコトでしゃべってるんだ。説得力を出せ説得力。

あとそこのポテトはニヤニヤするな。



「それじゃあ、このビキニアーマーはやっぱりローズに……」


「だからいいっテ!

 ハロウィンに着るとしても寒すぎる!

 アンタもそう思うでしょ!?」



ジャージはあたしに話を振って来る。

……「アンタ」って……、何か失礼じゃないか?



腹が立ったあたしは少しトゲを生やして答えた。






「うん。

 アンタには胸のサイズが大きすぎるかもね」






ジャージが口も瞳孔をアングリ開けてこっちを見ている。






「ちょ………。三鳥……?」


「そのダサいジャージで誤魔化してるつもりだろうけど、こっちに入れば巨乳はジャージでも巨乳だって分かるから」


「うーん、確かにそうかも。

 その逆もしかりってことだね?」



ポテトも何故か便乗してきた。

しかし自分の言ってしまったことに気づいたのか、ホンワカした笑顔が変わって顔に焦りが映った。



「あっ……!

 で、でも大丈夫だよ!

 もっと大きめのやつを着れば多少は着痩せしてるように見えるかも!」


「ぶっ……wwww」


「ちょっ……!?

 な、何笑ってんのヨ!アンタ!!」


(あまりにも酷いフォローについ笑ってしまった……)



あたしは笑いこらえて、ポテトは必死にいいフォローを考えようとしていて、ジャージは涙目で怒っている。


このおかしな空気に耐え切れなくなったのか、黒木があたしたちの真ん中に割り込んでくる。



「ちょっとみんなストップ!ストップ!!


 そこの……ローズ……さん、だよね?

 ゴメン!僕の友達、冗談を言うのが好きだから………。

 ほら!三鳥もあやまって!」



「イ ヤ だ。

 何で本当のことを取り下げなきゃいけないの?」


「あ“~もう!

 何、そんなムキになってるんだよ!」



黒木は抗議するが、ローズという名のジャージ娘はまだ悔しそうにこちらへ睨んでいる。


この屈辱をその失礼な態度を改める機会にしろ。ムフゥ。



「ほら!

 ローズも落ち着いて!彼氏さんが困ってるよ!」


「ウルサイ!

 

 何よ……!そこのアンタだって………






 パーカーを着て体型をごまかしてるのがバレバレじゃない!!」




「    」




あたしの思考が止まった。


Did she really just say what I think she just said?


今のはサッカクかな?



「ちょ………ローズ……」


「えっ……?

 み、三鳥?」



黒木が恐る恐るあたしへ視線を向ける。


その目があたしのと合った時、腕を横の商品棚に伸ばして重い置時計のようなグッズを手に取った。







「黒木……。


 ちょっと記憶とばしてやるから、ジッとしてて」






「い…………いやいやいやいや!!!

 俺は何も聞いていませんよ!!」


「そ、そうだよ!

 彼氏さんもちょっとポッチャリしてるほうが好みだって!」


「そうそう!確かに……って何言ってるんすか!?」



黒木が下手なノリツッコミをしているが気にしていられない。

今はこの無乳ジャージが許せなかった。



(あたしが今、一番気にしていることを………)



その数分後もあたしたちは睨み合って、周りのポテトも黒木もすでに恐怖で割り込めないでいた。






「………アンタ。名前は?」



ジャージがしばらくして突然聞いてくるが、その表情やトーンに親近感的な興味は感じられない。

敵意に乗っ取られた興味。それをちょうどあたしも抱いていたところだ。



「………志穂。

 志穂・三鳥。

 アンタは?」


「……ローズ・リュー」


「あっ…!

 私はカロリーナ・ヴェルデ!

 “リーナ”って呼んでね☆」


「お、俺は黒k……「あっ!偶っぜ~んじゃない、シホォ!」……」



黒木の自己紹介が聞き飽きた黄色い声に遮られる。

せめて苗字ぐらいは言えても良かったのに。


その声の主にあきれた顔を向けた。



「………何やってるの、ステファニー?」



店に入ってきたのは馬鹿みたいな量の紙袋を両腕にぶら下げた金髪の少女……。

間違いなく、あたしの“親友”のアメリカンであった。



「何やってるのって……それこっちの台詞よぉ!

 こんなケッタイな店で何、ピリピリしてるの?

 あ、ショーヤも久しぶりね♪」


「あ、うん……。ステファニーも相変わらずいつも元気そうだね……。

 ……ってか正直、このタイミングで割り込んで欲しくなかったんだけど……」



黒木が冷や汗をかきながらステファニーに目で訴える。



「何よぉ、失礼ねぇ」








……と、金髪の親友は文句を垂れるが

今のあたしたちの空気を察して数秒ほど黙り込んだ。


その間、彼女がこの場にいる全員を目で見渡したのをあたしは見逃さなかった。





非常に不機嫌な顔でジャージを睨むあたし。


涙目であたしを睨み返すローズという名のジャージ。


ひどいフォローのレパートリーが底をつき、オロオロしているリーナというポテト娘。……しかしビキニアーマーはまだ手に持っている。


そして、ただひたすら冷や汗を流しながらステファニーに“帰れ”と間接的に訴える黒木。





「……ふーん。

 中々面白いことになってるじゃない」


「えっ……?」



同じ女だから何となく分かるが、この一瞬の間でステファニーはこの状況を察したのだろう。

流石、修羅場の経験が豊富なだけある。

コイツはブロンドバカだが侮れない。


……黒木はこの面白がっている態度が理解できないようだが。



「これはシホにもジュウブン分があるんだし、あやまったら?」


「イ ヤ だ。

 だから何で本当のことを取り下げなきゃいけないの?」



「アンタならそういうと思ったわよ。

 変な所で意地が悪いんだから……。


 それにそこのチャイニーズの娘も引き下がらないようだし。

 こりゃテリブルに面倒ねぇ」



「テリブルに面倒だと思うならそのウザイニヤニヤをやめろ」



「ゴメンゴメンw

 アンタがこんな感情的にイモーショナルになってるの見るの久しぶりだからw


 お詫びに面白い提案してあげるからw」



「はぁ?提案?」



ステファニーは自身あり気に頷く。



「そうよ。ショーヤも精神的に限界みたいだし」




彼女の言うとおり、あたしの隣の黒木は良く見ると冷や汗を通り越してジャージと同じ涙目になっている。

……ちょっとオンナの怖さを晒しすぎたか?




「……で、その提案って?」




ステファニーは誇らしげにAhemと咳払いをする。













「それはもちろん 決闘 よ」





リーナのキャラはとある変態学級漫画の生徒から引用しています。

でも周りの志穂や白崎や黒木やローズのキャラや口調が似てしまっていて困っていたり。

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