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昔の少女と今の彼女

どうも、Crane043と申します。

他に投稿していた二次小説が推理ものだったので、頭をそれほど使わなくて良い1話完結式のオリジナルのギャグものを書こうと思いました。

アメリカに長年住んでいる自分の経験を生かして、「アメリカの学校でありがちな生活」と「アメリカでもあまりいない人たち」を両方描写していきたいと思います。

サッカー小説ですが、あまりサッカーはしません。なのでジャンルを学園モノにしました。

「………来るっ!!」



ゴール前の少年が瞳孔をカッと開く。

彼は正面から近づいてくる脅威に身を構え始めた。



(今日こそは止める………絶対にっ!!)



少年は精神を落ち着かせ、シュートを体で受け止める覚悟を決めた。

眉間にシワを寄せ、脇を開きすぎず、いつでも跳べるよう足の重心をつま先に集中させる。



「い、行ったぞ白崎ぃ!!!」


「あとはお前に頼んだぞっ…!!」



チームメイトから希望を託される少年。

まだ小学生とはいえど、彼らは親友。期待を裏切るわけにはいかない。



「殺人シュートが来る!!顔面に気をつけろっ!!」


「あと腕は絶対にのばすな!!伊藤みたいに持ってかれちまうぜ!!!」



恐怖の色を顔に染めたチームメイトもいる。

しかし少年・白崎優斗しらざき ゆうとはその事を承知、これから来るシュートの恐ろしさは彼も強く理解していた。

その証拠に上半身の体勢は一人前だが、腰から下は少し後ろへ引けている。



(怖い………でも逃げ出すわけにはいかないっ!)



シュートを決めようとその恐れられている人物が白崎優斗の5m先へ着いた。

茶色いセミショートの髪をなびかせ、右足が後ろへ高く上げられる。

その顔は小学生の少女とは思えない不敵で凛々しい……そして悪魔のような笑みを浮かべていた。



(受け止めたいからっ…!だって…俺はお前のことが………)






「くらえぇぇぇっ!!!!!!!

 白崎ぃっ!!!!!!」







ボールが蹴られる衝撃音がカラスの鳴き声と共に日本の小さな公園に響き渡る。







────────



「……平和」



プラスチックのタッパーからチキンライスをノンキに味わう少女。

少し強めのそよ風が吹き、彼女の茶色の短いショートヘアを小さく揺らす。

その髪と一緒に彼女の後ろのポールが揺れ、頭上の旗が大きくなびく。


旗には赤と白のストライプ…そして右上の青い表面の上に50つの白い星が並べられている。


少女・三鳥志穂みとり しほはその旗の配色を目障りに覚えながらも、見慣れた目で見つめた。



(……もうこっちに来て5年か。日本にいたら1年で2学期が始まる頃かな……)



日本の中学・高校をまともに通ったことのない志穂でも、向こうの学校のシステムは日本語補習学校で大体把握している。

志穂が今いるのはその補習学校とは違う、地元の高校・グリーンハイツハイスクールである。

新1年として入学した彼女は外の国旗の下で弁当を食している。新入生の1週間で独りで昼ごはんを食べる光景は珍しくはない。志穂はその孤独を決して虚しくは思っていなかった。



(クラスの慌しい連中から開放されるこの休み時間…やっぱり貴重だ。

 やっぱりこれからも昼メシは一人で……)


「ハァーイ♪♪

 シホォ!こんな所にいたのね!!」


(……は無理だな)



後ろから喉を痛めそうな明るい声が呼びかけてくる。

日本人の志穂とは違った、彫刻のような顔をしている少女がそこにいた。



「……何か用、ステファニー?

 またあたしのストーキング?」


「ちょ……違うわよ!

 ただアンタをオフキャンパスに誘いたいだけ!」


(オフキャンパス……学校の外でご飯はまだ食べたことないな)



美しい金髪の少女の誘いに乗ることを決めた志穂は彼女と一緒に駐車場へ足を運んだ。


彼女の車の前へたどり着いた時、そこであることを思い出す。



「……あれ?

 学校で車を停めて乗っていいのって3年生からじゃなかったっけ?

 何で1年生のアンタが運転できんのよ?」


「え?あぁ、そんなことね!

 駐車権なんて去年卒業した兄貴の書類に手を加えて提出すれば楽勝!ピースオブケーキよ!」


(…いや、駐車権どころじゃない。

 こいつはまだ仮免を取ったばかりだったような……)



これ以上、文句を言うのも面倒くさくなった志穂はステファニーがエンジンをもたもたかける所を見つめる。

発進した車は周りに気をつけながらノロノロと駐車場を出た。








「ねぇ、シホ。

 アンタ、私とチアリーディングをやるって一緒に決めたわよね?」



運転がある程度安定した時、ステファニーが問いかける。



「一緒に決めたことにすんな。

 ほとんどアンタの一方的な勧誘だったと思うけど」


「何よ~!

 中学ずっと一緒だった親友をまったく知らない人たちと一緒に放置する気ぃ!?

 アンタも顔だけは良いんだから絶対入れるわよっ!」


「ハッキリと”顔だけ”って言うな。

 大体、昨日も新しいオトコを家に連れ込んだ人間が何変に人見知りしてんの?」


「あっ!そうそう!

 そいつの事なんだけどねぇ。噂のジャマール先輩並って聞いて期待してたんだけど、やっぱり親指……」



また突然始まった彼女のトークを志穂はもちろん無視をする。

喋り続けるステファニーを聞き流しながら、彼女は道路の横の線路を眺める。



(だけど……さすがに何のクラブにも入っていないのは少しムナシイか。

 でも中学何もしてなかったあたしが今更何をやれと……?)



その後、車がスピード違反で止められるのに時間はかからなかった。

独りで弁当を食べる日本人はよくいますが、こんなダルいジャパニーズガールはそうそういません。

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