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誰も語りたがらない、誰も知らない過去。

「破壊の神よ、汝が犯した罪を悟るか?」


まばゆいばかりの黄金の鎧を身にまとい、神聖な金属の冠を戴く長身の男は、神々の父、天の父アモンガであった。


天の父の前に座る男は、天王のような強大な怪物たちを封じ込めるために用いられる数百本の鎖で縛られていたが、苦痛の表情を見せるどころか、沈黙を守っていた。破壊の眼は、幾兆年もの間誰にも見られなかった封印の布で覆われていたが、アモンガは彼が苦痛ではなく、軽蔑の眼差しで自分を見つめていることに気づいた。


「父上、これは罪とは呼ばない。汝のような神々に下す罰だ。」その嘲るような声に、天の父は苛立ちを覚えた。


彼は不満げな口調で、男の周りを歩き回った。


「かつては、この世の住人の気持ちなど気にせず、何でも破壊しようとする冷酷な存在だった。だが、あの娘と奴隷契約を結んでから、お前は変わり始め、反乱軍を滅ぼしに来た神まで殺した……一体どうしたんだ、破壊神よ?」


アモンガは沈黙を守る破壊神に問いかけた。


破壊神からの返答がないのを見て、アモンガは踵を返し、部屋を出て行った。「ここにいて、明日の朝まで待て。」アモンガが去ると、破壊神はただそこに座り、神々が自分を処刑する明日の朝を待っていた。


部屋は暗く、壁にはかすかに揺らめく魔法の炎が、破壊神を縛る聖なる鎖に反射していた。空間は静まり返り、彼が動くたびに金属がかすかにぶつかり合う音だけが響いていた。


「私を処刑するのか?」破壊神は低い声でくすりと笑い、その声が静まり返った部屋にこだました。彼が腕を伸ばすと、鎖がガラガラと音を立て、鋭く冷たい金属音が響いた。しかし、どんなに力を込めても、鎖はびくともしない。この鎖はただの金属ではなく、無数の拘束魔法が込められていたのだ。


彼は冷たい壁に頭をもたせかけ、何が起こったのかを思い返した。かつて彼は、破壊の力を振るう強大な神であり、何者にも何にも無関心だった。しかし、その時……


一人の少女が現れた。


彼女は神ではなかった。特別な力も持っていなかった。ただの小さな人間だった。


それでも……


彼女は、彼のような破壊神を変えたのだ。


彼は目を閉じた。月神の月光が、あの時のことを思い出させた。


あの頃の彼は、感情を持たない破壊神で、無数の世界を容赦なく破壊し、無数の命を踏みにじっていた。勇敢な少女が、あえて彼に協力を求めた時まで。


彼女の名はイズモ。幼い頃、弟と幸せな家族と共に平凡な世界で暮らしていた少女だった。悪夢が訪れるまでは、幸せな物語だったはずだった。世界に飽きた神が、世界を破壊し、新たな世界を創造しようと企てたのだ。彼女の家族は、その粛清によって命を落とした。イズモは弟を抱きしめ、泣き崩れた。そんな時、神々に抵抗する組織の一員が彼女を誘った。


家族を失った怒りに駆られた彼女は、組織に加わることを決意する。ある日、破壊神アクズハがまたしても世界を破壊した後、イズモはアクズハと出会った。彼女は特殊な装置を使って、まるで獣のように彼を制圧した。


破壊神は、その時イズモのことなど気にも留めていなかった。人間や他の生物が自分に戦いを挑み、無意味に死んでいくのを何度も見てきたからだ。しかし、イズモは違った。


彼女は復讐だけを望んでいたわけではなかった。運命を変えたかったのだ。


特別な武器を使い、彼女はアクズハを奴隷契約で縛り付けた。誰も成し遂げたことのない行為だった。


破壊神は生まれて初めて、人間の命令に従わざるを得なかった。


最初は、彼女をただの冗談としか思っていなかった。小さなアリが竜を操ろうとしている、と。しかし、時が経つにつれ、何かが変わった。


彼女は彼に殺戮を強要せず、私利私欲のために彼の力を悪用することもなかった。代わりに、彼女は彼に弱者を守ることを望んだ。


「あなたは全てを破壊したいわけではない」と、運命の日、彼女は言った。「ただ、正しいことをする理由を教えてくれる人がいなかっただけ。あなたはただ、何をすべきか分からない子供なのよ」


その簡潔ながらも力強い言葉は、彼に初めて自己疑念を抱かせた。そして、徐々に彼は変わり始めた。もはや無差別に世界を破壊することはなく、観察し、耳を傾け、そして守ろうとするようになった。しかし、この変化は他の神々には受け入れられなかった。組織の一員が仲間を裏切り、最終決戦で敗北したのだ。数千人が処刑され、そして今…残されたのはたった一人。


「彼を処刑台へ連れて行け!」と天使が叫び、二人の天使が彼を処刑台へと導いた。その下では、数千もの天界の存在が彼に罵詈雑言を浴びせていた。空間を切り裂く光が差し込み、アモンガがゆっくりと降りてきた。「何か言うことはあるか、破壊神よ?」


その言葉を聞いて、彼は深く考え込み、組織での日々を思い出した…。


彼は崖の上に座り、絶え間なく岩に打ちつける波と、ゆっくりと沈んでいく夕日を眺めていた。それは静謐な光景だった。彼のように常に戦いに身を置く男は、これほど美しいものを見たことがなかった。


「どうしてここに?」出雲は彼の後ろから近づき、隣に腰を下ろした。「景色を眺めているの?」と彼女は尋ねたが、返ってきたのは沈黙だけだった。


出雲はそれ以上何も言わず、ただ静かに彼の傍らに座り、潮風に身を任せていた。彼女は彼の寡黙さに慣れていた。


しばらくして、彼は口を開いた。その声にはどこか距離感が感じられた。


「かつて私は…この世の全ては無意味だと思っていた。世界も、命も、文明も…全ては私が破壊するためのものに過ぎないと思っていた。」彼は一枚の葉を拾い上げた。


出雲は首を傾げ、彼を見つめた。「では、なぜ今、ここで夕日を眺めているのですか?」


神はしばらく沈黙した後、かすかに唇を微かに歪めた。


「分からない。平和なものを見ると、私の中で絶えず叫び続けている破壊の心が、不思議なほど静まるんだ。」


出雲は複雑な感情を瞳に宿しながら彼を見つめた。


「自分のしたことを後悔しているの?」


今度は彼はすぐには答えなかった。かつて無数の世界を破壊した自分の手を見つめた。


「…俺のような者に後悔する権利なんてないと思う、出雲。」


出雲はため息をつき、膝に顎を乗せた。「本当に頑固ね。」


潮の香りを運ぶ冷たい風が吹き抜けた。出雲はかすかに身震いしたが、その場を離れなかった。


「ねえ、おかしな神様、もしいつかやり直せるチャンスがあったら、どうするの?」


アクズハはその質問に少し驚いた。彼女の方を振り向いたが、出雲はただ黙って夕日を見つめていた。


やり直す?


彼のような破壊神に…そんなチャンスが訪れるだろうか?



出雲は彼の顔に手を添え、無理やり笑顔を作ろうとした。彼は戸惑いながら尋ねた。「何を…しているんだ?」


「あなたを笑わせようとしているの。あなたの笑顔を見たことがないから。」


神は出雲の行動に少し驚いた。この少女は…本当に自分を笑わせようとしているのか?


彼はこれまでそんなことに気を留めたことがなかった。神にとって感情は無意味だ。笑いも涙も怒りも、神にとっては何の意味もない。


しかし、ぎこちなく笑顔を作ろうとする出雲の顔を見た時、彼は奇妙な感覚を覚えた。


「奇妙だ…」彼は呟いた。


出雲は眉をひそめた。「何が奇妙なの?」


彼はまだ自分の顔に添えられたままの彼女の手をそっと触れた。「君は…僕みたいな人間が笑えると思っているのか?」


出雲は手を下ろし、腕を組んだ。「もちろんよ。ずっとその冷たい表情でいたいの?」


彼はしばらく沈黙した後、目を閉じた。「もしかしたら……もしもう一度人生があるなら、試してみるかもしれない」


出雲はその答えに少し驚いた。


彼女は彼が反論するか、嘲笑すると思っていたのだ。しかし、初めて彼は破壊以外のことを考えていた。


彼女はくすりと笑った。「あなたのような神様でも夢を見るのね? それはいいことね」


しばしの沈黙が流れた。


そして彼は静かに口を開いた。


「…もしやり直せるなら、自分の望むように生きたい。」


出雲は彼を見つめ、その視線は和らいだ。


そんな日が来るかどうかは分からなかったが、もし来るなら、アクズハには自分の道を見つけてほしいと願っていた。


現実に戻る。


破壊神は考えを終え、前を見つめた。かつて軽蔑に満ちていた彼の目は、不思議なほど穏やかだった。


あの回想の後、彼は死を受け入れたかのようだった。


彼は父を見つめ、言った。


「ありがとう、じいさん。新しい世界で…面白いことをしようと思う。」


「ふむ…我々への復讐は望んでいないのか?」


「もちろん。だが、その時は今よりもずっと強くなっているだろう。」


輝く剣を携えた天使が前進してきた。その刃は天の光を反射していた。彼は剣を振り上げ、威厳に満ちた声で言った。


「破壊神よ、お前は天を裏切り、神々を殺し、無限世界の法則を破るという重大な罪を犯した!天の父なる神アモンガの名において、お前に死刑を宣告する!」


出雲、本当にやり直せるチャンスが巡ってきたようだ。彼はそう思った。


剣が振り下ろされた。


斬!


血が空に飛び散った。


そして……破壊神は死んだ。


彼は深海へと落ちていった。あの時の会話が耳にこだまする。


「それで……もしお前の家族が生きていたら……何をしていた?」彼は出雲に尋ねた。


出雲は波を見つめながら言った。「もし家族が生きていたら……農夫になっていただろう。」


彼は驚かずに尋ねた。「なぜ……なぜ?」


出雲は岩だらけの岸辺に打ち寄せる波を見つめながら、優しく微笑んだ。


「破壊神様、ご存知ですか?私が小さい頃、父は農家だったんです。父はいつも、農業こそが人生を真に理解する方法だと言っていました。木を植え、育て、日々成長していくのを見守る…それは素晴らしい感覚です。」


彼女はまるで思い出に浸るかのように目を閉じた。「小さい頃、私はいつも父の後をついて畑に行き、植物に水をやったり種を蒔いたりするのを手伝っていました。あの頃が、私の人生で一番幸せな時間でした。」


彼は黙って耳を傾けた。彼のような破壊神が、木を植えたり農業をしたりするなど考えたこともなかった。彼にとって、生命は儚く、破壊されるために生まれてきたものだった。しかし、出雲の言葉は、生命を破壊するのではなく創造する世界を描き出していた。


彼は肩をすくめた。「理解できない。かつて武器を振り回し、神々と戦ったお前が、今になって農家になりたいのか?」出雲は笑った。「すべてを失ったからこそ、普通の生活が恋しいんです。それが何よりも本当に望んでいることなんです。」彼女は彼の方を向き、真剣な眼差しで尋ねた。「あなたは?もし、いつかやり直せるとしたら…何をする?」


彼はすぐには答えなかった。少し考え込んだ後、答えを見つけた。


「この世界を探検する。」


「どういう意味?」彼女が尋ねると、彼はただ首を横に振った。「俺はいつも全てを破壊する。それが俺の使命だからだ。以前は自分のしていることが正しいのか分からなかった。何が正しくて何が間違っているのか、誰も教えてくれなかった。だが、君に出会って、ようやく理解できた。」


「もし新しい人生があるなら、どんな形であれ、生きられる限りの時間を、その世界、そして他の全ての世界を探検することに費やしたい。そうすれば、今まで理解できなかったことを理解し、感じることができるだろう。」


暗い深淵の前に光が現れた。


「これは…始まりだ…」


光は消え、周囲にはただ切迫した声が響いていた。


「早く、赤ちゃんがもうすぐ出てくるぞ!」


緊張と焦りの声が周囲にこだまする。叫び声、水しぶき、荒い息遣い――全てが混沌とした交響曲となって響き渡る。


破壊神は、暗く湿った場所から、体が押し出され、押し出されるのを感じた。突然、全身に激痛が走り、そして――


「あぁ、あぁ!」


彼は泣き出した。


痛みからではない。恐怖からでもない。ただ……生まれたばかりの赤ん坊の自然な反射だった。


「待て……」彼はふと何かを悟った。


今、泣いたのか?


優しい手が彼を抱き上げ、柔らかい布で包んだ。ほんの数分前まで暗闇の底にいた冷たさとは対照的に、温かい感覚が全身に広がった。


「おめでとうございます!元気な男の子ですよ!」


助産師の声が響いた。そして、彼は一人の女性の腕に抱かれた。彼女は疲れているように見えたが、その瞳は愛情に満ちていた。額にはまだ汗がにじんでいたが、それでも彼女は優しい微笑みを浮かべていた。


「私の赤ちゃん……」女性は彼をしっかりと抱きしめながら、そう囁いた。


彼は彼女の顔を見上げた。不思議な感情が胸に込み上げてきた。この人は……自分の母親なのだろうか?


彼は真に生まれ変わったのだ。


もはや破壊神ではなく、ただの人間となった。


第10章 終わり

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