表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神伝説  作者: Sugary
第六章
86/127

BS2 逃げ込んできた少年

「なぁ、ほんとに何も言ってなかったのかよ?」

「あぁ…」

「近々、こっちに来るとかも?」

「だぁから、さっきからそう言ってんだろうが?」

「けど、今日で三日目だぞ? もう、三日も会ってねぇんだぞ、オレは!?」

「だからって心配してねぇとは言ってねーじゃねーか。ただ、オレらに任せてるから安心してんのと、色々と気がかりな事があって離れられねぇんだって、昨日、そう話しただろ?」

 〝気がかりな事〟

 それが死の光だとは言えなかったが、ルシーナの父親の事や、盗みを働いていること、ディトールが薬師になりたくてルシーナから色々教わっている事など、大抵のことは昨日のうちに話していたのだ。

「だったら、オレが会いに行ってやる」

「どうやって?」

「這って!」

「アホか…」

「て、てめぇ…オレの愛情をアホ呼ばわり──」

「あぁ~もう、うっせぇなぁ。なら、好きにしろよ」

「おぅ、好きにしてやる! 待ってろよ、ルフェラ!!」

 〝相手にしてらんねぇ〟 という意味の 〝好きにしろ〟 も、今のラディにとってはようやく下りた 〝許可〟 であり、喜び勇んで四つん這いになって歩き始めれば──

「ぅごぁっ…!」

 剣を手入れしていたイオータに、鞘で足首を小突かれた。

 空気で足首を押さえるように、手だけ伸ばした格好で固まるラディ。響く痛みが治まるのを待って、ようやく怒りを口にしたのだが、

「て、てめぇ──」

「街ン中を這うなら、これくらいじゃ済まねぇぞ?」

 ラディの方を見もせずに、涼しい顔で言い返されてしまった。

 この街に来た時の人の往来を思い出せば、蹴られるどころか踏まれるのは確実で…故にイオータの 〝これくらいじゃ済まない〟 というのも即座に理解しのだが、ここ二・三日に溜まったストレスから、素直に 〝分かった〟 とは言えないようだった。

「フン…! ルフェラに会う為なら、それくらいの困難は乗り越えてみせるさ!」

「ケガを悪化させてまで会いに来て、ルフェラが喜ぶと思うのか?」

「それだけオレの愛情が深いって分かれば──」

「ばぁ~か、そんなことで愛情が深いなんて思うかよ。せいぜい、呆れてモノが言えなくなるか、〝大人しくしてれば十日で治るっていうのに、ばっかじゃないの!?〟 って怒られるのがオチだぜ? ひょっとしたら、〝もう、一生ここで大人しくしてなさい!〟 って言われるかもなぁ?」

「う…な、なら片足で飛んでってだな──」

「ほぉ、行けるものなら行ってみろよ。その前に、目的地への道を知ってたら、の話しだけどな」

「────!!」

 フンッと笑われたような最後の言葉にラディの怒りが更に増した。──が、悔しいかな、それを言われたらお手上げだという言葉だった為、怒りの雄叫びをあげながらその場でひっくり返るしかなかった。

「だぁ~~~~ッ!! くそっ!!」

 床をバンッと叩くラディを横目で見ながら、イオータが溜め息を付く。

「ミュエリが帰ってくるまで、もうしばらく大人しくしてろって。きっと、ルフェラからの言伝(ことづて)を預かってくるぜ?」

「ケッ! どうだかなぁ? あいつはネオスに会いたいが為に、お前と交代してくれって言ったまでだ。言伝なんか持って帰ってくるかよ」

「歪んでんなぁ…」

「どこが!?」

「何だかんだ言ったって、お前の世話をしてたじゃねーか。本来なら是が非でもルフェラをここに置いて、自分がネオスのところに行くもんだろ? そのあいつがお前の世話をしてるってことは、少なからず責任を感じてるからなんだぜ? 好きなやつに会えないお前の気持ちはあいつが一番よく分かってんだ。ちゃぁ~んと預かってくるさ、お前への言伝をな」

「………………」

 〝分かったか?〟 と目で問いかけられれば、

「べ、別に…庇ったつもりはねーよ…。あいつが勝手にそう思い込んでるだけだ…」

 テレを隠すようにフイッと明後日の方を向いてしまった。

(ま、もっとも、お前のストレスに付き合ってケンカしてんのにウンザリしてきたっていうのも、その理由のひとつにはあるんだろうけど?)

 言えば怒りが収まらないため敢えてその理由は口にせず、イオータは軽く鼻で笑ったのだが。

「なぁ…」

「なんだ、まだ何かあんのかよ?」

「退屈で…オレ…も、死にそ……」

「んじゃ、死んでろ」

「あのなぁ、そうじゃなくて……って、おい、どこ行くんだよ?」

 〝何でもいいからとにかく相手をしてくれ〟 と続けようとすれば、イオータが収めた剣を持って出て行こうとした為、慌てて飛び起きた。

「お前…退屈で死にそうなオレを一人置いてくつもりか!?」

「行かねーよ。ってか、行けるか! そうしたいのは山々だが、誰もいなくなったからって大人しく死んでいないだろ?」

「もちろんだっ」

 たった一個下とは思えないほどの言動に、イオータは呆れるのを通り越して笑えてきてしまった。

「なに笑ってんだよ?」

「いや、別に。それよりそんなに退屈なら、お前も 〝ドクタン〟 するか?」

「ド、ドクタン…? 何だそりゃ?」

 目の前の庭に出て行くイオータの背に、初めて聞く言葉を繰り返した。

「単独鍛錬…略して独鍛。使えない足以外でも鍛える事はできるだろ」

「あ…あぁ、そうか、そうだな! よし、それ乗った!! ──で、どうすんだ?」

 やる事が見つかり、それが役に立つことなら…と、さっきまでのイライラはどこへやら…ラディが目を輝かせて立ち上がった。

「どーすればいいんだ? ほら、早く教えろ!」

 庭先に出たラディが、片足で立ったままイオータに急かした。

「まず、目を閉じて合唱しろ」

「目を閉じて合唱…だな。それから?」

「オレがいいと言うまで、そのまま待機」

「お前がいいと言うまでそのまま待機……っておい、これはオレを黙らせる為の策略じゃねーのか!?」

「アホ。始める前の精神統一だ。それに、お前の場合はバランスも養える。一石二鳥だろうが」

「おぉ、なるほどな。よし、分かった」

 そう言うや否や、納得したラディが言われた通りの体勢で精神統一を始めた。

(たとえその理由が嘘でも信じるだろうな、こいつは)

 見えてないことをいいことに、フッと笑ったイオータ。次いで、自分も精神統一を始めたのだが……。

「…う…うぅ? …はっ……ほっ…とと…よっ……うぉりゃっ…」

 バランスをとろうとフラつく度に漏れるラディの声に、さすがのイオータも集中できなかった。

 それでも若さと運動神経のよさか、次第にバランスが取れるようになったラディは静かになり、イオータ自身も十分な精神統一ができると、〝よし、いいぞ〟 と合図を送ったのだった。

「あとは、今まで教えた剣の動きを上半身だけでやってみろ。最初はフラつくだろうが、毎日やってりゃ、足腰も鍛えられて安定してくる」

「よっしゃ、任しとけ!」

(何に対しての 〝任しとけ〟 …だ?)

 思わずそんな突っ込みをしてしまいそうになったが、大して意味がないのは考えなくとも分かるもの。故にその言葉を飲み込むと、音もなく抜いた二本の剣を構え、自分の世界に入り込んでいった。

 最初は基礎的な動きから、次第に流れるような動きに変わる。体が覚えている動きはもちろんのこと、想像で作り上げた相手と戦う動きは、第三者から見ても本当にその相手がそこにいるように見えるものだった。

 攻守の動きに無駄はなく、手入れされた太刀先に太陽の光が映し出されると、空を切った時の残像が絹の糸のように美しく浮かび上がる。それは僅かなブレもなく、時に真っ直ぐで、そして時に緩やかな曲線だ。イオータの体を(まと)うような光の残像は、隙のなさを一目瞭然にさせた。

 そんなイオータの動きに、ラディは自分の独鍛を忘れ見入っていた。それもかなり早い段階で、だ。

 最初こそ聞こえていたヒュンッという空を切る音も、今や聞こえなくなっていた。

 それが何故なのか。瞬きを忘れるほど見入っていたラディにはすぐに分かった。鋭く研がれた刃が一本の線のように真っ直ぐ振られるため、空気抵抗を殆ど受けないからだ。おそらく目を閉じていたら、目の前で剣が振られていることにも気付かないだろう。

(…やっぱ、ただ者じゃねぇよな、こいつ……)

 圧倒される動きに、ラディは改めてそう悟った。

 かなり集中していたのだろう。ラディに見られている事すら気付かなかったイオータだったが、ふと何かを感じ取ったのかその動きを止めた。

「ど、どうした…?」

「いや、外が──」

 ──と言いかけたのと、庭先の木塀の扉が開いて少年が後ろ向きに入ってくるのはほぼ同時だった。突然のことで声を掛けるのを忘れた二人だが、少年も二人に背を向けている為、そこに人がいることに気付いていない。ただ、必死に上がる息を抑えながら、見えない扉の向こうを伺っていた。

 イオータが感じ取っていたのは、微妙な外の騒がしさと殺気。少年の様子から追われているのはすぐに分かり、同じように外の様子を伺うように耳を済ませていると、微かだが聞き覚えのある名前が耳に届いてきた。

(こいつが…?)

 心の中で呟いたその言葉には 〝なんでまた?〟 という驚きが混じっていた。

 しばらくして、殺気を放つ空気と足音が消えていくと、少年もようやくホッと息を吐き出し、その場で座り込んでしまった。その直後──

「おい?」

 イオータの声に飛び上がるほど驚き振り返った。

「…あ……ぁ……」

 人がいるとは思わなかったうえに、目にした者が剣を持っていたとすれば、声など到底出るはずもなく…とにかく逃げなければと思ったのだろう。慌てて、入ってきた扉から出ようと手をかけたのだが、

「おい、今出てったら捕まるぞ?」

 足音が消えたとはいえまだ近くにいるのは確実で、ただそれ以上に意外な言葉でもあったため、少年は驚いてその手を引っ込めた。そして恐る恐る振り返る。そんな表情を見て溜め息を付いたのはラディだ。

「イオータ、それしまえって。めちゃくちゃビビってんだろ?」

「あぁ?」

 言われて振り返れば、ラディの視線が剣を指していることに気付き、それもそうだと鞘に収めた。ちなみに、言うだけあってラディの剣は既に鞘に収められていた。

「ほら、もう大丈夫だぞ。剣はしまったからな」

 ラディが片足で飛び跳ねながら少年に近付いていくと、両膝に手を付いた中腰姿勢で少年を覗き込んだ。

「そんなに怯えなくていいって。ちょっと練習してただけで、お前をどうにかしようなんて思ってねーんだから。それに、今のオレはチョー弱ぇからな」

 故に 〝いざとなったら、足蹴り一発食らわして逃げればいいさ〟 とばかりに、怪我した足を指差してニカッと笑った。嘘がつけない性格だからこそなのか、その正直な笑顔が少年にも伝わったようで、僅かに表情が緩んだのを見てラディも少しホッとしたのだった。

「それにしても、いったい何したんだ? そんな必死になって逃げてくるなんてよ?」

「それは……」

「あ、ひょっとして盗みか?」

「い、いえ──」

「盗みはよくねーぞ? 人のモン盗むと、自分の大事なモンまで失くすっていうからな。ま、盗んでいいモンがあるとすれば、女心だけだ。分かるか?」

「……………」

 冗談でもなく真剣に諭され、少年はどう反応していいか本気で困ってしまった。

(アホだな、こいつは…)

 ラディの背中を見つめ、溜め息混じりに心の中で突っ込んだのは、もちろんイオータだ。

 言葉としては決して間違っていないのだが、それを真面目に話すには状況が違うだろう。しかも十代前半の少年に、〝盗むのは女心だけにしろ〟 とは…恋愛相談されたにしろ言わない言葉だ。更に言えば、彼は 〝盗み〟 を否定しているのだ。

 このままだと、〝女心を盗むのがこれまた難しくてな…〟 と、自分の経験談まで語りかねない為、イオータはその僅かな沈黙に入り込んだ。

「──で、盗みでないとすると何で追われてんだ?」

「あ…それは……その……」

 少年はそのまま黙ってしまった。

「言いたくねぇのか、それとも言えねぇのか…どっちだ?」

「……………」

「あ…ま、まぁいいじゃねぇーか。子供でも、言いたくねぇ事のひとつやふたつくらいあるんだって、なぁ?」

 追い詰められたように俯く少年の姿が、ラディに懐かしい記憶と感情を思い出させた。更に顔色が悪くなっていくのを見兼ねてクシャクシャと頭を撫でれば、その手に収まる感覚も蘇ってくる。

「気にすんなって。言いたくねぇなら言わなくていいからよ。とにかくしばらくここで隠れれてろ、な?」

「……………」

 ポンポンと軽く頭を叩いても返事は返ってこなかったが、ラディには少年の気持ちがよく分かっていた。〝そうして欲しいってよ〟 と、少年の代わりに目で訴えれば、イオータも 〝しょうがねぇな…〟 と溜め息を付いた。

「まぁ…向こうが本気だと知ったからには放り出せねーしな」

「…本気? それってどういう意味だよ?」

「早い話、そいつを殺そうとしてるってことだ」

「なっ…!?」

 ラディは自分が驚いたのと同時に、少年がビクンと体を強張らせたのに気付いた。

「お…い、そうなのか…?」

「……………」

 自分と同じようにハッと顔を上げでもすれば、知らなかったという反応なのだろうが、俯く姿そのままだと、その通りだと言っているようなものだろう。

「だったら…役人に言って助けてもらったほうが──」

「ダメです!」

 言いかけた言葉を、少年がバッと立ち上がって拒絶した。

「ダメです…役人は絶対に…それだけは絶対にダメで……」

「お、おい…!?」

 顔色が悪かった上に突然立ち上がったからか、少年はフラッと体が揺れたかと思うと、そのまま気を失ってしまった。

「…役人はダメって…いったい…どういうことだよ…?」

 自分と同じ状況のイオータが分かるわけもないのだが、ラディは倒れこんだ少年を抱えながら、そう聞かずにはいられなかった。

「…多分、お前が考える中で一番最悪な事だろうな」

「────!!」

「何にせよ、オレらがかくまうほかねぇらしい」

 イオータはそう言うと、片足では動けないラディから少年を預かり、布団へと連れていった。


(問題は、どこでどうかくまうか…だな。ある意味ここは穴場だが、ディトールの親父にバレる可能性は高い。それに、補佐とはいえ役人が住む家だと分かれば、こいつも大人しくここにはいないだろうし……かといって、ルシーナの所ってわけにもいかねぇよな……?)

 引き戸の縁にもたれながらどうしたものかと考えていると、玄関の扉が開く音がして、次いでミュエリとディトールの声が聞こえてきた。

「ただいまぁ♪」

「お~ぉ、ご機嫌な声だぜ?」

 〝この分だと、言伝も預かってくれてそうだな〟 という目をラディに向ければ、

「フン、別に期待なんかしてねーよ」

 ──と、子供でも見抜く嘘をついた。

(──ったく、素直だかそうでないんだか…)

 イオータが呆れるようにフッと笑うと、ほぼ同時に帰ってきた二人が顔を覗かせる。

「イオータ、ラディ、ただい──あ、あら?」

 すぐに、寝ているのがラディでない事に気付いたミュエリは、その顔を確かめるように枕元に近付くと少年の顔を覗き込んだ。当然のことながら見覚えはなく、これまた当然の質問を二人に投げかける。

「…誰、この子?」

 それに答えたのはイオータだ。

「あぁ…ちょっと事情があってな、しばらくかくまおうと思ってんだ。内緒で、だけどな」

「かくまう? それって…誰かに追われてるってこと…? いったい誰に…?」

「厄介な相手…としか言えねぇな、今は」

「厄介って…」

「それより、ディトール?」

「あ、はい…?」

「こいつの顔、見覚えあるか?」

「え…?」

 言われてミュエリのように覗き込んだが、すぐに首を振った。

「そうか…」

「…ねぇ、それにしても顔色悪いんじゃない、この子? 大丈夫なの?」

「まぁ…栄養のあるモンでも食えば、少しはよくなるんじゃねーか?」

「栄養のあるものねぇ……」

 ──と繰り返したところで、〝あ、そうだ!〟 と何やら思い出した。

「ちょうどいいわ。ラディ、吉報よ、吉報!」

「なんだ…?」

「明日、ルフェラたちが来るって!」

「なっ…マジ!?」

 壁にもたれて座っていたラディが、言伝より遥かに嬉しい吉報に身を乗り出した。

「久々に見れて感激しちゃったわよ、ネオスのあの姿!」

「どの姿だよ…?」

「決まってるでしょぉ。弓を引く姿よ、弓を引く、す・が・た♪」

 両手を胸の前で組むと、思い出した姿にうっとりとした。

「夢でも見たんじゃねーのか? 確かに本業は狩りだけど、弓なんてもってねーだろーが?」

「バカねぇ、夢で見たから作ったんじゃない」

「はぁ!?」

 あまりにもわけの分からない返答と 〝バカ〟 という言葉に、ラディの口調が一気にイラつき始めた。帰ってきた早々ケンカは勘弁して欲しいのと、少年が寝ている傍で大声を出されても困るため、そのあとはイオータが引き継ぐことにした。

「それは、ルフェラたちが来るって事と関係があるのか?」

「えぇ、もちろん」

「なら、順を追って話してくれ」

「…だからね、今朝ルフェラが夢を見たんだって、ネオスが弓を引いてる姿を。しかも、あの 〝鏡矢(かがみや)の技〟よ? もともと本業は狩りだったんだけど、いつの間にかケルプ実採りの仕事になってて…だから弓を引く姿がすごく懐かしかったって話してたのよ。それで私が、腕前も村一番だったのよ…って言ったら、ルシーナがその狩をするところを見たいって言うから、じゃぁ今日中に弓を作って明日の朝 狩りをしに行こうって事になったの。ルシーナのお母さんもラディに一言謝りたいって言うし、ルフェラも足の状態 気にしてたからさ…皆でディトールの家に集まって、捕ってきた獲物で美味しい鍋でも食べようって事になったのよ」

「なるほど。それで弓を引く姿か…」

「そぅ! あと、矢を作ったり、弓の補強とかの作業が残ってるんだけどね、調整しながら弓を引く姿がほんとカッコよくて…」

 そう言うと、再びその姿を思い出しうっとりと目を潤ませた。

 ようやく分かった話の繋がりに、イオータが 〝そういう事らしいぜ、よかったな?〟 と無言の言葉をラディに投げかければ、既に言葉にするより分かりやすい笑顔を向けていた──

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ