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女神伝説  作者: Sugary
第七章
127/127

13 新たな少年との出会い

「んんん〜〜〜っ!」

 ルーフィンと森の中を歩きながら、あたしは思いっきり伸びをした。そして周りに誰もいない事を確認しつつ、声に出して話しかけた。

「やっぱり森の空気は気持ちいいわね」

『そうですね。ただ、心地良いと言うには少し空気が冷た過ぎる気もしますが…?』

「まぁ、それは確かに…。でも、こんなに頭がスッキリして清々しいのは久しぶりよ? 空気の冷たさなんか気にならないわ」

『その大きな要因は、全ての問題が解決した事にあるのでしょうね』

「うーん、全ての問題…か。今思い出すと実感が湧かないくらいの出来事だけど、全て現実だったのよね…」

『はい。竜巻の中に囚われた時はどうなるかと思いましたが、無事にそこから抜け出してからの裁きは見事でしたよ。セトの事はもちろん、リアンさんの両親に対しても。そして、ヴィオに風神の力を兼任させたと聞いた時は、驚きと共に感動すらしました』

「ありがとう。でも、あれは全部〝もう一人のあたし〟がした事だと思うわ」

『もう一人の…というと、月の光を浴びて現れる〝人物〟の事ですか?』

「そうよ」

 ──と言った直後、〝あれ?〟と思った。

 あたし、ルーフィンに話した事あったかしら…? 月の光を浴びると、あたしじゃない〝あたし〟が現れるって…?

 自分で〝もう一人のあたし〟と言っておいてなんだけど、確か話したのはイオータだけだったような─…。自分の感情を抑えきれずに色々聞いて、〝聞く相手を間違えたな〟って言われたあの時…。もしかしてあの時、ルーフィンも起きてた…?

 そう思った直後、あたしの考えている事を読み取ったようにルーフィンが言った。

『起きていましたよ』

 ──いや、実際ルーフィンに触れている為、心の中で考えている事は筒抜けだったのだ。

『正確には…話し声で目が覚めた、ですけど』

「そ、そっか…。じゃぁ、ネオスも起こしちゃったのね。だから、あたしが月の光を恐れてる事を知ってたんだわ」

 それならネオスが知っていた事も納得できる。──そう思った時だった。

『それもありますが、それだけではありません』

「…………?」

『私達は、互いが持つ情報を共有しているのです』

「情報を共有…? ──って、え…どういう事…?」

 すぐには理解できず聞き返してみれば、このあとのルーフィンが発した言葉に、あたしはひどく驚かされた。

『時々、ネオスと話をしているのですよ』

「─────!?」

 思わず足を止めた。何か言いたいが、これまたすぐには声が出ない。だけど、どうにか頭をフル回転させて納得できるよう言葉を変えて聞き直した。

「そ、それってあれでしょ…? ルーフィンが理解するしないにかかわらず、ネオスが一方的に話すっていう──」

『いいえ。一方的ではありません。お互いに心の中で話します。今、ルフェラとこうやって話しているのと同じように』

「─────!!」

 …あ…ぁ、なに…それってつまり…ルーフィンはネオスとも話せるって事……?

 声に出せず、ただただ、その言葉の意味を確認するように心の中で呟けば、

『そうです』

 ──と、ごまかしようのない返事がハッキリとした口調で返ってきた。

『すみません、嘘をついて──』

「いつから…?」

『え…?』

「いつからネオスと話してたの…?」

『…もう、ずいぶんと前からです』

「何年も…?」

『…はい』

「ネオスは知ってるの? あたしがルーフィンと話せるって…?」

『はい…』

「……………」

 何だかショックだった…。ルーフィンと話せるのは自分だけだと思ってたから。二人だけの世界だと思ってたのに、そうじゃなかったなんて…。でもそれ以上にショックだったのは、あたしだけが知らなかった事だ…。

『ルフェラ──』

「どうして言ってくれなかったのよ…? あたしだけ何も知らないで、みんなにバレないようにしてたのがバカみたいじゃない」

『すみません。ですが──』

「それに、みんなに話せない事だからルーフィンに話してたのよ?」

『分かっています。でもだからこそ、あの時期に本当の事が言えなかったのです』

「どういう…意味…?」

『あなたは、普通とは違う力の目覚めに戸惑い、恐れていました。特に恐れていたのは、他の人にそれを知られる事です。ネオスにさえ、知られる事を恐れていましたよね?』

「そうよ。でもその時にルーフィンとネオスが話せるって教えてくれたら──」

『ネオスにも話しましたか?』

「もちろんよ。だって──」

『では、あなたの意思はどこにあるのです?』

「え…?」

『私は何度も言いました。ネオスに話してみたら、と。でもあなたはネオスの反応が怖くて言えなかったのでしょう?』

「それは──」

『そこで、〝私はネオスとも話せる。今までの事はネオスにも話してあるから大丈夫〟と言われてそうするなら、あなたの意思はどこにあるのか、と聞いているのです』

「───── !」

 そう言われた瞬間、あたしは以前ネオスに言われた言葉を思い出した。


 〝自分の意思ではなく、人から安全だと言われた方に進むだけじゃ何も変わらない〟


 確か、ルシーナの家でネオスが宵の煌の話をしてくれた時だ。

 ネオスに言われて、その通りだ…って思ったのに、あたしはまだあの時と同じ事を言ってたのか…。

 その事に気付いたら、なんだかとても情けなくなった。

『すみません、強く言い過ぎましたね…』

「ううん、そんな事ない。ルーフィンの言う通りよ。自分から言う勇気もないのに、ネオスやルーフィンを責めたりなんかして…ほんと、自分が情けないわ…」

『ルフェラ…』

「ごめんね、ルーフィン」

『いえ…私の方こそ、なかなか言えなくてすみませんでした。でも、言えなかった理由はそれだけではないのです』

「──というと?」

『実を言うと、私も恐れていたのです。もし私とネオスが話せると知ったら、あなたが私と話すのをやめるのではないか…と』

「……………?」

『あなたがネオスと話して、私と話さなくなる…という意味ではありません。誰にも言えず一人で抱え込んでいるあなたが、唯一話せる相手が私でした。その私がネオスと話せると分かったら、知られたくないと思っているネオスにまで知られるのではないか。そう思って、私と話さなくなるのでは…と思ったのです。そうなれば、あなたは本当に全てを自分一人で抱え込んでしまいます。それが怖かったのです』

「あたしの事を…そこまで…?」

『もちろん、当然の事です。ただ、私とあなたの特別な時間がもう少し続いたら…という気持ちも、正直、少しあったかもしれないですけどね』

 ルーフィンが人間だったら、ペロッと舌を出しそうな口調に、あたしは思わずクスッと笑ってしまった。

『でももう、あなたはネオスに話しました。今までのこと全てを。ですから、私がネオスと話せる事を言う時期だと思ったのです』

「うん、そうね…」

『これからは、四人で情報を共有しましょう。あなたとネオスと私とイオータで』

「分かったわ─…って、ちょっと待ってよ。まさか、イオータとも話せるっていうんじゃ──」

『いいえ。話せるのはあなたとネオスだけです。でも二人が私と話せる事は彼も知っているので、バレないように…と気を使う必要はありません』

「あ、そ、そうなの…」

 なんか、色々と拍子抜けしたというか…驚いたけど、それが分かって良かった気がした。

「これでもう、下手に一人で悩まなくていいのね」

『えぇ、どんどん話してください。時には二人のパイプ役として色々と伝えますから。──あ、でも知られたくない事なら、そう言って下さい。その時はちゃんと黙っておくので』

「えぇ、分かったわ。ありがとう、そうする」

 あたしはそう言うと、ルーフィンの首に抱きついた。

『ルフェラ─…っと、やはり強いですね…』

「え…? あ、ごめん…強すぎた…?」

 思ってた以上に強く抱きしめたのかと思い、慌てて腕を離したのだが…。

『いえ、そうではなく─…その腕輪の力です』

「あ、あぁ…雷龍と風龍ね。──そんなに感じる?」

 あたしは腕にはまっている雷龍と風龍を見つめた。金色のように光る黄色と、透き通るような緑色の龍は、ヴィオとセトの瞳の色と同じで、まるで二人に見守られているような気がした。

『さすがは神の仕獣。こんなにも強い力を感じたのは、私も初めてです』

「そんなに…?」

『はい。でも、逆に心強くもありますよ。それだけあなたを強い力で守っている…という事ですから』

「なるほど…。じゃぁ、これからは一人で行動しても大丈夫って事ね?」

 冗談半分でそう言えば、

『ダ、ダメですよ─…そんな事をしたら、私もネオスも死ぬほど心配して──』

 ──と珍しく慌てたから思わず笑ってしまった。

『ルフェラ…?』

「ごめん、ごめん。冗談よ」

『冗談って──』

「でも真面目な話、ネオスもルーフィンも心配しすぎよ?」

『それだけあなたが大切だからです!』

「……………!」

 思ってた以上に強い口調で、しかも思いもしなかった告白のような言葉に、一瞬、ドキリと胸が鳴った。

『それに…あなたにもしもの事があったら、おそらく生きていられない人が一人はいます』

「え…? やだ、どうしてそんな急に──」

 ──と言いながら、いったい誰の事を言ってるのかと思ったが、ふと頭に浮かんだのは、

「あぁ、ラディの事ね?」

 ──だった。

 その言葉にルーフィンが〝え、ラディ…?〟と語尾をあげたのだが、この時はまだ、その意味に気付かなかった。

「そうよねぇ…。ラディは優しくて真っ直ぐだから、すぐ自分の命をかけちゃうし…。あたしが死んだら、〝守ってやれなかった〟って自分を責めるかもしれないわよね…」

『え…ぇ、そうですよ。折角、今回の事で救えたのに、あなたが原因で生きていられなくなるのは望んでいないでしょう?』

「確かに…」

『では、仕獣に守られてるとはいえ、軽はずみな行動はしないで下さいね?』

「分かったわ…」

 そう言うと、ルーフィンは〝よろしい〟と言うように目を閉じてゆっくりと頷いた。

 一方で、あたしは〝今回の事〟で思い出した事があった。

「ねぇ、そう言えばランスの言ってた事なんだけど…。あたし、思い出した事があるのよ」

『思い出した事? それはどんな事ですか?』

「それが…さ。ランスはあたしが記憶を失ったって言ってたでしょ? あの時はそんなはずはないって言ったんだけど、タフィーが花を採ろうとしている話をした時に、見えたのよ、その光景が…」

『タフィーの過去の光景…という事ですか?』

「そう─…というか、あたしも最初はそうだと思ってたんだけど、すぐに、違うって思ったの。これはあたしの記憶だ…って」

『つまり…?』

「つまり、何の花だったのかは分からないけど、あたしも花を採ろうとして崖から落ちた事があるって思い出したのよ」

『─────!!』

「その時は単純に幼すぎて覚えてないだけかと思ったんだけど、ここに戻ってきて色々考えてたら、本当に記憶を失ってるのかもしれない…って思い当たる節が幾つかあってさ…」

『例えばどういう事が…?』

「例えば…飛影のおじいさんと話した時よ。母親の話になった時に、あたし、母親の顔を思い出せなかったのよ。痛い所に母親が手を当ててくれると痛みが和らぐって言われた時も、誰もがあるような経験を思い出せなかった。ただその時は、思い出せる心境でもないから…って気にもしなかったのよね。でも今になって改めて考えてみると、やっぱり母親どころか父親の顔も思い出せない。前はそんな事なかったはずなんだけど…。それに、ミュエリと初恋の相手がどんな人だったのかって話してた時も、なんかとても漠然とした記憶でさ…。普通なら、好きな人の顔はもちろん、思い出なんかもあるはずなのに、そういうのが一切なくて─…でも、間違いなく好きな人がいたっていう感覚というか感情があるのは確かだったの」

『では本当に記憶を失っていたとして─…やはり、思い出したいと思いますか?』

「う〜ん、そこなんだけど…。正直、分からないのよね。あまり気にならないといえば気にならないし…だけど、それがどうしてかは分からない。ラミールの時は、自分が記憶を失ったら絶対に思い出したいと思ったんだけど──」

 ──とそこまで言って、あたしはふと、その時にネオスに話した事を思い出した。思い出して、〝あぁ、そうか…〟と思った。

『何が〝あぁ、そうか〟なのですか?』

「え…? あぁ…前にね、ネオスにも聞かれたのよ。もしあたしが記憶を失くしたら思い出したいか…って」

『その時、あなたは何と…?』

「〝自分が誰なのか分からない記憶喪失なら、何が何でも思い出したい〟…って。普通はそうでしょ? だから、〝あぁ、そうか〟って思ったのよ。今のあたしはラミールとは違う。だって、自分が誰なのかは分かってるんだもの。ただ、子供の頃の事をあまり覚えてないっていう感覚だから、それほど気にならなかったんだなぁ…って。──まぁ、両親の事が思い出せないっていうのは重症かもしれないけどね…」

『そういう事ですか…』

 あたしは〝うん〟と頷いた。

「記憶を失った原因があるとすれば、今のところ花を採ろうとして崖から落ちた事なんだろうけど─…そんなのもう、自業自得よね。だって、止められたのに採ろうとしたんだもの」

『止められた…? いったい誰に?』

「さぁ、そこまでは…。ただ、〝危ないから採ろうとしちゃダメだよ。ロープを持ってくるから、それまでここでジッとしてて〟って言って、走り去っていく男の子の後ろ姿しか覚えてないから─…」

『後ろ姿…』

「だから、可哀想なのは止めた男の子の方よ。クレイのように自分を責めてなければいいけど…」

『…えぇ、そうですね』

 今はどこの誰だか分からない。だけど、いつか思い出してその子に会ったら、その時はちゃんと謝ろう。

 あたしはそう心に決めて、散歩を続けようと立ち上がった。──と、その時だった。一瞬、空気が揺れた気がしたと思ったら、直後に足元がグラッと動いたのだ。

 地震…!?

 ──と思うが早いか、揺れが激しくなると同時に、急に風が吹き上がってきた。咄嗟に目を閉じ、揺れの激しさもあってそのまましゃがみ込むと、手に触れたのはルーフィンの体。

『ルーフィン…!』

『ルフェラ、そのまま…立ち上がらないで下さい!』

『えぇ、分かってるわ…』

 ──というより、揺れが激しくて立ち上がれない。

 ルーフィンの柔らかい毛に顔を埋めるようにしながら揺れに耐えていると、しばらくして、ようやくその揺れも落ち着いてきた。

『…ルフェラ、上を見てください』

『上…?』

 落ち着いた、だけど少し緊張したルーフィンの声が聞こえて顔を上げたあたしは、目の前の光景に驚いた。

「雷龍と…風龍…!?」

 そこには雷龍と風龍が交差するように、あたしとルーフィンの周りを回っていたのだ。

 思わず右手を見ると、そこにあるはずの腕輪がなくなっている。二匹は、あたしが呼び出さなくても自ら姿を現したのだ。

 雷龍と風龍があたし達の周りを回ることで風の壁ができ、まるで竜巻の中にいるのと同じような状況になっていた。つまり、急に吹き上げた風は、この二匹によるものだったのだ。

「どうして…?」

『どうやら、守ってくれたようですね』

「守るって─…地震から?」

『いいえ、矢からです』

「矢…?」

 意味が分からず聞き返したところで、ルーフィンより早く〝う…〟という声が後ろの方から聞こえた。反射的に振り返れば、数メートル後ろで男の子が倒れるところだった。

「ちょっ…」

 慌てて駆け寄る。途中にはルーフィンが言った矢が一本落ちていて、〝この事?〟と思ったのも束の間、男の子を見て驚いた。

 十二、三歳くらいの男の子の右肩には、後ろから矢が刺さっていたのだ。

「ちょっと、大丈夫!? 誰がこんな──」

 後ろに人がいるとは思ってなかった上に、突然、矢が刺さった少年が倒れるなんて、状況を把握しようとするだけで思考が混乱する。それでも倒れた少年を抱き起こすと──

 ……………!?

 今度は、妙な感覚を体に感じた。いや、妙な感覚じゃない。知っている感覚だ。

 この感覚って確か──

『ルフェラ…!』

 〝ボーっとしてる場合ではありません〟とでも言うかのようなルーフィンの声に、ハッとした。

「あ…ねぇ、大丈夫? いったい誰にやられたの!?」

「……っ! …ま、巻き添えをくっただけ……」

「巻き添え…?」

 〝なんの?〟

 そんなあたしの言葉が、ルーフィンの視線とぶつかった。だけど、今はそんな事を聞いている場合でもない。

『とにかく、バーディアさんの家に運びましょう』

 ルーフィンの言葉に、あたしは〝えぇ〟と頷いた。

「取り敢えず、家に戻って傷の手当てをするから─…立てる?」

「…な、何とか─…」

 そう言って立とうとしたが、うまく力が入らないようだった。

「いいわ。左手をあたしの肩に掛けて─…行くわよ?」

 あたしは〝せーの…〟と声を掛けて、タイミングよく一緒に立ち上がった。右手を彼の腰に回し、グッと引き寄せる。背丈が違うからこの状態で歩くのは大変だけど、抱っこできるくらい子供でもないから仕方がない。せめて立つ事さえできれば背負えたけど、今の状態では無理だものね。

「頑張って、すぐだから─…」

 励ましながら歩くものの、段々と少年の体に力が入らなくなってくるのが分かった。その度にズン…と重たくなり、肩に掛けていた手もずり落ちそうになる。それに比例して、あたしは腰に回していた手に力を入れていった。

 あたしの息も徐々に上がっていくと、ふとあの夜の事──タフィーとラディが再会し、真実を知ったあの夜の事──を思い出した。

 そういえば、あんな状態で家まで戻るって言っちゃって、ランスも大変だったわよね…。せめて背負ってもらった方が、ランスにとっては楽だったのかもしれない…。

 だとしたら悪い事しちゃったな…と、今更ながら反省していると…

『ルフェラ、ネオス達です!』

 それは一旦立ち止まり、改めてグッと体を引き上げた時だった。ルーフィンの声にハッと顔を上げれば、ネオス達が視界を横切るように少し先を走って行くのが見えたところだった。

「ネオス!!」

 あたしは思わず叫んだ。

 その声にネオスだけじゃなく、イオータやランスも気付く。すぐに目が合って、みんながこっちに走り寄ってきた。

「無事で良かった。かなり揺れたから──」

 ──と言いかけて、それまで視界を木々で遮られて見えなかったのか、あたしの隣にいる少年に気付いて驚いた顔をした。後から来るイオータやランスも同様だ。

「ルフェラ、いったい──」

「おいおい…どうしたんだよ、そいつは!?」

「それが分からないのよ。地震がおさまったら、この状態で倒れるところで─…とにかく、手伝って!」

「あ…あぁ、そうだな。──よし、ランス手を貸せ」

 フラつきそうになるあたしから、イオータとランスが両脇からそっと、だけど力強く少年を自分たちの方に移した。

 あたしは実質的に体は軽くなったが、ずっと力を入れていたせいか、体が──特に腕が──重い。でも今はそんな事を気にしている場合でもなかった。既に少年の意識はほぼなく、矢が刺さっている右肩を動かしても、うめき声ひとつ出ない状態だったのだ。それが二人にも緊急性を認識させる。

 あたしは一刻でも早くバーディアさんに知らせる為、彼らの前に出て先を急いだ。



「バーディアさん!!」

 玄関の扉を開けるや否や、あたしはバーディアさんを呼んだ。──と同時に、部屋の中の状態を目にして、もしかして…と不安にも駆られた。

「バーディアさん!? リアンさん! リューイさん! ミュエリ!?」

 様々なものが倒れ、様々な物が散乱している。居間には誰もいない上に声も聞こえない…と思ったら──

「うぉー !マジ焦った!! 家が潰れるかと思ったぜ…──ってか、何でオレの名前を呼んでくれねーんだよ、ルフェラー?」

 ──と、奥の部屋から懐かしい声と共に、他の人達も出てきた。みんなが無事だった事にホッとしつつ、驚いたのはラディがいた事だ。

「ラディ…いつ戻ってきたの!?」

「昼過ぎだ、昼過ぎ。もう、お前に会いたくて会いたくて─…って、おい、どうしたんだよ、そいつ!?」

 言いたい事も途中のまま、あたしの後ろに気付いたラディが一段と大きな声で叫んだ。

 あぁ、そうだったわ…。

「バーディアさん、彼を助けてあげて!」

 あたしはバーディアさんを見つけるや否や、ラディ同様、叫んだ。

「あぁ、どうしたぁ?」

 足の踏み場もないくらい散乱した物を避けつつ、何とか土間まで近付いてくると、矢が刺さった少年を見てバーディアさんの顔色が変わった。

「これはえらい事じゃ…。とにかく、その矢を抜かん事には─…リューイ、手伝っておくれ」

「あぁ、分かった」

「ほれ、お前さん達はその子を奥の囲炉裏の間に運んで─…リアンは水と消毒と布を!」

「はい…!」

 今までに見た事もないくらい、テキパキと指示を与えたバーディアさん。自身も足元に散乱した中から薬や器具を探し出すと、

「おぉ、悪いがな、お前さん達はここを片付けておいてくれんか」

 ──とだけ言って、あたし達が返事をする前に奥の部屋へと消えてしまった。

 〝助けて〟と頼んでから、それはあっという間の出来事だった。それだけ緊急事態だったという事なのだろう。ただあまりにもあっという間すぎて、そんな状況でもないのにしばし呆然としてしまった。

 ハッと我に返ったのは、土間に崩れ落ちた薪木をネオスが片付ける音を聞いた時だった。

 そうよ…。ここを片付けなきゃ、いつもの生活もできない…。あの子はバーディアさんに任せて、あたし達はあたし達のやるべき事をしなくちゃ─…。

 お願い、助かって…!

 そう願いながら、割れた食器を片付け始めれば、ミュエリもハタと気付き、部屋の片付けに取り掛かった。

 時々、囲炉裏の間から赤く染まった水や布を持ってリアンが出てきた。その度に中の様子を聞いたが、状況はあまり良くないとの事だった。

 矢には毒が塗ってあり、それが何の毒かも分からなければ、量も分からないという。例え毒の種類が分かったとしても、解毒薬というものがここにはない為、なす術がないというのだ。

「体力だけでも何とかなれば助かる可能性は…?」

 もしその可能性があるのなら、何とか宵の煌を使えないか…と考え聞いたのだが…。

 リアンは首を振った。

「毒は体力があれば何とかなるというものではないの。肉体的なものが侵されていくから、助かる方法は毒を消すしかないのよ。ただ致死量の毒じゃなければ、自然とその毒が体の外に出るのを待つだけだから、その時は体力があった方がより良いとは思うけど…」

「致死量の毒じゃなければ…」

「えぇ。そうである事を祈るしか、今はなんとも─…」

 そう言うと、リアンは再び新しい水と布を持って奥の部屋へと入っていった。

 致死量の毒じゃなければ…か。つまり、その時は宵の煌が役に立つ、という事よね…? だとしたら、何とか──

「大丈夫、宵の煌は必要ないよ」

「─────!!」

 〝宵の煌を手に入れなきゃ…〟と思うが早いか、同じ言葉が聞こえたから驚いた。

 思わず振り向けば、ネオスの顔がすぐ近くにあったから更に驚く。どうやら、ミュエリに聞こえないよう耳元で言ったようだ。

「ど、どうして宵の煌の事を考えてるって──」

「体力だけでも…って言ったのはもちろんだけど、ジッと左手を見つめてたからね」

 言われて視線を落としたら…。左の手の平を上に向けたまま、見つめていたであろう高さで固まっていたから、慌てて下におろした。

「でも、どうして宵の煌が必要ないって言えるの?」

「死の光だよ」

「……………!」

「彼の頭上には死の光が見えなかった。ルフェラは?」

 久々に聞いた〝死の光〟という言葉。一瞬、どうしてネオスが知っているのか…と思ったが、すぐに〝あぁ、ルーフィンから聞いたんだ〟と理解した。同時に、ネオスの言う通り彼の頭上に死の光が見えなかった事も、思い出す記憶の中で確認した。

「…見えなかったわ」

 あたしはそう言って首を振った。

「でも、あたしが見えるのは四、五日くらい前よ。もし彼の死がそれ以上先の事なら──」

「少なくとも、十日先までは大丈夫だ」

「─────!!」

 驚いた…。

 ネオスにも死の光が見えるという事もそうだけど、その日数にも驚いた。十日も前から見えるという事は、あたしよりずっと早い時期から死の光が見えてたって事よね…?

 驚きの眼差しでネオスを見れば、それが怒っているように見えたのか、

「黙っててごめん…」

 ──とネオスが謝った。

「ううん、そうじゃなくて──」

 〝一体いつから…?〟と聞こうとしたところで、ミュエリの声が聞こえた。

「ねぇ…心配なのは分かるけど、ジッとしててもしょうがないわよ? ──それより、早く手を動かしたら?」

 〝サボってないで片付けてよ〟

 ──そんな口調にも聞こえたが、さっきから黙々と作業するミュエリの表情を見れば、心配で仕方がないというのは十分伝わっていた。心配だからこそ、ジッとしていられないのだ。

「また後で話そう」

「えぇ、そうね…」

 小声でそう答えると、あたし達は再び部屋の片付けに戻ることにした。



 それから四日間、居間に寝かされていた少年の意識は戻らなかった。

 直接毒が触れた傷口は損傷が激しく、その部分は削り取ったと聞いた。熱はどんどん上がるが、薬でどうにかなるものでもなく、その熱による体力の消耗もあって目が離せない状態が続いたのだ。夜はみんなが交代で看病した。そして新たな展開は、ラディが明け方まで付き添っていた五日目に起きたのだった。


「どぅわー ! なんっだよ、これ!?」

 ─────っ!?

 明け方、あたしは突然の大声に飛び起きた。

 な…に…?

 今のってラディの声よね…?

 あの子に何かあったのかと思い慌てて部屋を飛び出せば、他のみんなも何事かと飛び出してくるところだった。なのに、居間には昨日見たままの状態で横たわる少年がいただけで、大声を出したラディの姿がないではないか。

「おいおい…死にそうなヤツを放ったらかして、どこ行ったんだ、あいつは?」

 〝しょうがねーヤツだな〟とイオータが呆れる中、バーディアさんは少年の様子を見に行った。すると、

「おぉぉぉ…!」

 今度は、バーディアさんが大声をあげた。

「ど、どうした、ディアばあ!?」

「まさか、息をしてないって言うんじゃ─…」

 リューイとリアンの言葉に〝そんな…〟と思った次の瞬間、

「ホッホッホっ!」

 バーディアさんの笑い声が響いた。

「ディアばあ…?」

「すごいぞ、リューイ! この子は毒に勝った!」

「え…?」

「熱が下がっておる。これならもう安心じゃよ!」

「本当か…!?」

「あぁ。自分の目で確かめてみろ。ほれ、お前さん達も!」

 バーディアさんに促され少年の体に触れてみると、手に伝わる温もりは、あたし達のそれと同じだった。

「ほん…とだ…」

「熱くないわ…」

「オレの手の方が熱いくらいじゃねーか?」

 熱がない事を自分の手で実感すれば、ふつふつと嬉しさが込み上げてくる。

 まだ本人が寝ているため大きな声は出せないが、あたし達は〝良かった! 助かって、本当に良かった!〟と、お互いに手を握って喜んだ。それはもう、ラディの事などすっかり忘れるくらいに。

 そんな状況の中、年の功というべきか、すぐに冷静になったのはバーディアさんだった。

「それにしても、ラディはどこに行ったんじゃろうなぁ?」

「あー、そうだった」

 思い出したように─…いや、実際バーディアさんに言われて思い出したイオータが言うと、その後はミュエリが続いた。

「ほんと、どこ行っちゃったのかしら?」

 熱が下がった事を確認して離れたのなら問題ないか…と思いつつも、どこに行ったのかは気になる。

「ねぇ…? まさか、また誰かに連れ去られたって事は──」

「いや、それはないよ」

 ミュエリの不安を、ネオスが即断ち切った。

「〝なんだよ、これ〟って言ってたから、何かを見て驚いたんだ」

「そんな驚くようなものは、この家にはないぞ?」

 不思議そうにリューイが言えば、ほぼ同時にネオスとイオータが言った。

「外だ」

「外か」

 それを聞くや否や、みんなが一斉に外に飛び出した。──が、目の前に現れた光景に思わず発したイオータの言葉は、ラディが叫んだものと同じだった。

「なんだこりゃ…?」

「これって煙─…じゃないわよね?」

「霧だろ、これは…」

 ──そう。目の前には、もうもうとした白い霧が立ち込めていたのだ。だけど、何故かあたしは、そこに妙な違和感を感じた。

 何だろう、このしっくりこない感じは…?

 少し離れただけで前を歩く人の姿もかき消されるような霧の中、イオータはすぐにラディの名前を呼んだ。

「おーい、ラディー?」

「どこにいるのー?」

「ラディさーん?」

「ラ──」

 イオータ、ミュエリ、リアン、そしてあたしが続こうとしたその時だった。

「お、おぉー! こっちだ、こっち!」

 ラディの声が聞こえた。口調から手を振っていそうだが…。

「〝こっち〟って、どっちだよ!? ──ってか、見えるわけねーだろ?」

 イオータに突っ込まれ、〝はは、そーだよなー〟と言いながらこっちに歩いてくる足音が聞こえた。その音がした方にあたし達も歩いて行くと、うっすらと人影が見えてくる。

「おー、そこか…」

 人影に気付いて更に進もうとすれば、

「あー、ちょっ…! ストップ、ストップ…!!」

 慌ててラディが叫んだ。

「そこ、気を付けねーとハマるからな!?」

「はぁ!?」

「下だよ下! 足元を見ろって!!」

 足元…?

 みんながその言葉を頭の中で繰り返しつつ、不思議そうに足音を見れば──

「え…何よこれ!?」

 最初に声を発したのはミュエリだった。次いで、イオータやリューイが続く。

「川…!?」

「いや、ここに川はないはず─…」

 そうなのだ。足元には、小さいながらも川が流れていたのだ。しかも本来ある川とは反対側の場所に…。

「雪解けの…水…?」

 その可能性をリアンが口にした時、ちょうどラディが姿を現した。そしてこの後、ラディが言った言葉にみんなが驚いた。

「温泉だよ、温泉っ!!」

「は…!?」

「え…温─…?」

 思わず二度見するように足元を見る。改めて見てみると、水面から白いものがモヤモヤと立ち上がっているではないか。

「じゃぁ、これは霧じゃなくて──」

「そっ! 湯気なんだよ、湯気!! ──なっ、凄くねーか!?」

 興奮するラディを見ながらも、あたしはやっとあの妙な違和感が何なのか分かってスッキリした。

 霧なら、もっと周りの空気が冷えているはずなのに、そうではなかったからだ。

 湯気なら納得だわ…。

「でも、いったいどこから…?」

 あたしはようやく会話に入った。

「そう、それなんだけどな…」

 そう言うと、ラディがチラッとランスを見た。

「そいつが倒れてたところなんだ」

「倒れてたところって─…あの、張り出した木の下の窪み…?」

「そっ!」

「──って事は、この前の大きな地震が影響したんだろうな」

 イオータが言った。

「あー…そうか。そういや、大きな地震で水脈が変わる事もある─…って聞いた事があったな」

「──だろ? もしくは元々あの下に水脈があって、地震で地割れした事によって湧き出てきた、か」

 あたしはその言葉を聞いて、ピンときた。

「もしくは…じゃないわ。元々あったのよ、温泉の水脈が」

「なんだ、えらい自信だな?」

 〝なんか根拠でもあるのか?〟と目で言われ、あたしは軽く頷いた。

「ランスを見つけた時、ほんの少しだけどそこだけ空気が暖かかったのよ。その時は、窪みがちょうど風除けになってるのかな…って思ったくらいで、あまり気にしなかったんだけどね」

「なるほどな。だとしたら、ランスはいい場所で倒れてたって事か」

「ホッホッホ。そりゃ運が良かったのぉ、ランスや?」

 みんなの視線が一斉に集まり、それが〝良かったな〟という表情だったからか、

「…まぁ、そうだな」

 ランスは、少し照れたようにそう答えた。

「それにしても、スゲーと思わねーか? ここに温泉が出たんだぞ!? 最初は騙されて温泉探してたのに、まさかそれがホントになるなんてよ」

「嘘から出たまこと…ってやつだな」

「そう、それっ! ──でな、オレ、いい事考えたんだ」

「まさか露天風呂でも作るって言うんじゃねーだろーな? いくら何でもそれは──」

「おぉ、それもいいな!」

「〝も〟…? え…違ったのか…?」

「いや、ここの風呂場に湯を引ければって思っただけなんだけど─…そうか、露天風呂かぁ…」

「おい、ラディ──」

「よし、決めた。それも作ろうぜ!」

「いやいやいや、ちょっと待てって──」

「そうよ、いくら何でも露天風呂は無理よ!?」

 たまらずミュエリが参戦した。

「なんで無理なんだよ?」

「そりゃ お前、風呂場に湯を引いたり露天風呂を作るにはそれなりの道具や材料がいるし──」

「知識だって、人手だっているのよ?」

「そんなもん、あっちに沢山いるだろ?」

 当然のように顎で〝あっち〟を示したのは、川下だった。

「もしかして村の人に…!?」

「あぁ。男手ならオレの兄弟もいるし、道具も材料も知識も、村人が集まればなんとかなるだろ?」

「いや、まぁ、それはそうだが──」

「それにこの家の風呂が温泉になってみろよ? ばーちゃんだって、毎日風呂に入るって言うぞ、絶対!」

 〝そうだろ?〟とバーディアさんに問えば、

「おぉおぉ、いいねぇ。温泉なら肌も潤うし、ピッチピチの肌ならワシも燃えにくくなるのぉ」

 ──と嬉しそうに笑った。

「ほら、なっ?」

「いや…ピッチピチは無理だと思うがな…」

「でも確かに、温泉になればリューイさん達の仕事も楽になるし、おばあさんが毎日お風呂に入るようになるなら一石二鳥よね…」

「──だろ? どう思う、ルフェラ?」

 〝いい考えだろ?〟と今度はあたしに振ってきたのだが、あたしはこの時、既にもっといい事を思い付いていた。

「二鳥どころか、三鳥─…ううん、四鳥はいくわよ?」

「よ、よん─…?」

「そう。お風呂を温泉にして、外に露天風呂を作ったら、この家に人を呼ぶのよ。村の人達が好きな時に入りにきたり、あたし達みたいな人を泊める宿にするの。部屋だって沢山あるんだもの、良い交流の場になるわ。それって、バーディアさんにとってもいいと思わない?」

 そう。バーディアさんは、人の世話を焼くのが好きな人。長い間ずっと人の最期を看取ってきたバーディアさんにとって、病人ではなく、あたし達みたいな人の世話を焼けるのは、それはもう幸せな事に違いないのだ。それはあたし達がここにやって来た時の、バーディアさんの張り切り様を見れば分かる事だった。そこにリューイやリアンという、近い未来の夫婦がいれば、三人で宿を営む事も難しくはない。

 そう言えば、みんなの顔が一斉に輝いた。

「さっっっすが、ルフェラ! 惚れ直したぜ!!」

「今回ばかりは良いアイデアよ、ルフェラ!」

 今回ばかり…って、ほんと一言多いんだから。でもまぁ、自分で言うのもなんだけど宿にするのは良いアイデアだと思うわ。

「よし、決まったぁ!!」

「あぁ、反対する理由がねぇしな」

「じゃ、オレは村の連中に話してくる!」

 そう言うや否や、ラディは待っていられないとばかりに身体を翻し、湯気の中に消えていった。

「じゃぁ、私達は家の中の事を考えましょう? 宿にする為の改装や部屋の模様替えとか─…。あぁ〜、そういうの考えるのって好きなのよね、私。今からワクワクしちゃうわ! ──ね、ほら行きましょう、リアンさん、ルフェラ!」

 それはもう、足が地面から浮いているんじゃないかと思うくらい、飛び跳ねるようにあたしとリアンの手を引っ張っていった。



 そうして、あたし達はバーディアさんの家を宿にするまで、村の人達と一緒に作業する事になった。それは、ラディにとっても家族で過ごす貴重な時間になったに違いない。

 湯を引く為の水路を作る間にも、手作業でお風呂に湯を運び、みんながその日の疲れを癒した。その効果は驚くもので、疲労回復は勿論、少年の傷も目に見えて良くなっていくのが分かるほどだった。

 そして、あたし達が少年を連れてこの村を出る頃には、


 〝湯治宿〟


 そう呼ばれるようになったのだった──


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