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第15話: ローハンの覚悟

 ローハンの顔色は日に日に悪くなり、目の下には深い隈が刻まれていた。


 腕に刻まれた呪いの紋章は、彼の生命エネルギーを容赦なく吸い取り、それを魔力に変えていた。


 その様子を見かねたマチルダは何度も安静にするよう促したが、ローハンはただ曖昧に頷くだけだった。


 ##########################


 一行は、とある村で空飛ぶ悪魔の群れの討伐を依頼された。


 奴らはその赤黒い翼を翻し、鋭い牙を剥き出しにして襲いかかる敵は、恐るべきスピードと力を持っていた。


 アストリアの体に憑依したセラフィスが"スキャニング能力"を使い、冷静な声で皆に語りかける。


「敵の翼の付け根にある紫色の結晶が弱点だ。ただし、結晶は高速で動き回る敵に覆い隠されている。」


 セラフィスの指示に従い、アストリアは「マグナム・トニトルス(大いなる雷鳴)」を、マチルダは「サギッタ・アルデンス(燃え盛る矢)」を駆使して攻撃を試みる。


 しかし、デビル達はその攻撃をことごとくかわし、反撃の爪を繰り出してくる。


 状況は次第に悪化し、二人は徐々に追い詰められていった。


 その時、後方で状況を見ていたローハンがふらつきながら立ち上がった。


 マチルダが慌てて彼を制止する。


「ローハン、ダメよ! 今のあなたじゃ、戦えない!」


 だが、仲間の窮地を前に、ローハンはその言葉を振り切った。


 彼の瞳には決意の色が宿り、腕の呪いの紋章が不気味に輝き始める。


「ただ黙って見ているだけなんて俺には出来ない....俺はもう、逃げるわけにはいかねぇんだ!!」


「フロル・テルリス(大地の怒り)!!!!」


 ローハンが呪文を唱えると、その周囲に強烈な魔力の風を巻き込みながら、巨大な土の柱が次々と敵を打ち砕いていった。


 呪いの紋章はさらに深い闇の光を放ち、彼の体から生命エネルギーが激しく吸い取られていく。


 だが、その代償によって放たれた魔法は凄まじい力を持っていた。


「カラミタス・ダエモニス(悪魔の厄災)!!!!」


 更なるローハンの叫びと共に放たれた魔力の嵐が荒野全体を覆い、デビル軍団は一瞬にしてその圧倒的な力に飲み込まれた。


 空中に舞っていた無数の敵は、次々と崩れ落ち、塵となって消え去った。


 ###########################


 

 窮地を脱した面々が振り返ると、ローハンは地面に崩れ落ちていた。


 その体は見るからに衰弱し、呼吸も浅くなっている。


 マチルダが駆け寄り、その肩を支えながら叫ぶ。


「ローハン! どうしてこんな無茶をしたのよ!」


 ローハンは微かに微笑みを浮かべた。


「みんなを守れたなら…それで…いいんだ…」


 その声はか細く、今にも消え入りそうだった。


 セラフィスが憂いを帯びた声で語りかける。


 『このままでは命が持たない。呪いを解く方法を探さなければ...彼は....!』


 アストリアは拳を握りしめた。


「皆んな、呪いを解く手がかりを一刻も早く探し出そう。ローハンを絶対に死なせはしない」


 彼らは、急いで村の宿屋でローハンを応急処置してもらう。


「大丈夫だ、ローハン。暫く安静にしていよう。」


 すると、そこへ村長が入ってきた。


 彼は面々から事情を聞くと、目を閉じ、暫く考えた後に口を開いた。


「ここら一帯に言い伝えられている伝説がある。『奇跡の涙』という宝石が魔力を浄化する力を持つらしい。」


「奇跡の涙」という言葉を聞いて、マチルダの顔が一瞬、何かに気がついたかのようにハッとなった。


「どうした?マチルダ。」


 マチルダの異変に気付いたアストリアは聞く。


「ううん、何でもない。」


 マチルダはそれ以上、何も言わなかった。


 ########################



「取り敢えず、『奇跡の涙』について情報を集めよう。」


 アストリアはマチルダと別れ、村での聞き込みを始める。


 マチルダはすぐに村を出たきり、帰って来なかったが、数日ぶりに村に姿を現した。


「今まで、何をしていたんだ?マチルダ。」


 不審に思いながら聞くアストリアに、マチルダは、ただ目線を落とす。


 いつものマチルダと明らかに様子が違う。


 翌朝、マチルダは"喜の魂"が入った壺と共に、再び姿をくらました....。

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