旅路
ほんの一瞬交わって消えた
その時間の感触を抱えて生きることを
君は不器用だねって笑った
消え去っても良い
何も残らなくても良い
流した涙を
昏く長い夜を
誰も知らなくても良い
ほんの一瞬交わって消えた
その感情の感触を抱えて生きることを
君は報われないねって笑った
消え去っても良い
何も残らなくても良い
抱いた願いを
眩い陽の輝きを
誰も知らなくても良い
この世界に落ちた波紋を
誰も記憶しなくても構わない
その美しさを
私だけが覚えているから
いつか滲む夜明けの色に涙した
その感触を忘れないと決めたから
いつか跡形なく全てが幻と消えても
その意味を否定しないと決めたから
忘れられないことばかり
降り積もって 降り積もって
それを重しにして私は歩いていく
強い風に飛ばされないように
いつか消える足跡を残す