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10年後に討伐される魔王   作者: うずまき
第1部 魔王就任編
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第5章 盗賊ジャック

イオリ「今日はアサミさん居ないんだ…でも近場なら1人でも大丈夫だよね!」



ブラドゥークのギルドでクエストを受注するイオリ


先日の戦闘にて魔王を撤退させた彼女は、自信を持って討伐クエストへと出発していた。



クエスト内容はマンイーターと呼ばれる植物モンスター5体の討伐であり


マンイーターを探して森の中を進んでいたイオリは


危険地帯である墓地にたどり着いてしまった。



イオリ「お墓がいっぱい並んでる…確かドラ◯エとかだと…お宝が眠ってる場所だよね…」



カズマサの不安は見事に的中しており


イオリはフォールダウン墓地の探索を初めてしまい


年頃の少女ゆえの優れた直感を持つ彼女は瞬く間に地下へと続く階段を発見した。



下に進むに連れて空気が重くなり

気温も下がっていったが


そんなイオリに声をかける

怪しげな人物が姿を現した。



ジャック「待ちな…ここから先は危険だぜ…」


イオリ「あ…貴方は…?」


ジャック「俺はジャック…まぁトレジャーハンターってところかな…」



少し傷ついた灰色のマントを纏う謎の男


その姿は歴戦を潜り抜けていた大盗賊の風格を出しており


彼の言葉にイオリは思わず足を止めていた。



イオリ「ご忠告ありがとうございます…私はこれで失礼しますね…」


ジャック「そうか…気をつけて帰れよ…」



引き返すふりをして彼の後を着けるイオリ…


ジャックは危険地帯である地下3階へと足を踏み入れていき


隠れていたイオリは悪夢のような光景を見る事となった。



イオリ「きゃああっ!!」


ジャック「!!?」



思わず悲鳴をあげるイオリ…


地下3階にはアンデッドモンスターによって惨殺された人間の遺体が転がっており


数日前まで普通の女子高生だった彼女にはあまりにショッキングな光景だった。



ジャック「ば…馬鹿…なんで着いてきた!?」


イオリ「だ…だって…」



イオリの悲鳴によってモンスターに発見されてしまう2人


地下3階には魔王軍から独立したアンデッドの精鋭部隊が、墓荒しを撃退するべく待機しており


ダークナイトと呼ばれるアンデッドホースに乗った暗黒騎士が突撃してくると


2人は悲鳴をあげて逃走した。



ジャック「ぎゃあああ!!無理無理無理!!死ぬぅぅ!!!」


イオリ「ジャックさん!貴方のスキルで何とかなりませんか!?」


ジャック「盗賊だから戦闘は苦手なんだ!!あんな化け物に勝てるわけないだろう!!」



ジャックは役に立たない…


そう確信したイオリは諦めて魔剣に手をかけ


魔王をも撃退した必殺技をダークナイトに放った。



イオリ「ストームブレイカー!!!!」



風の魔法剣を受けたダークナイトは灰となって消滅


思わず一安心する2人だったが


そんな2人の前に


巨大な雪のゴーレムが姿を現した。



ジャック「白いゴーレム…?雪に見えるが何て硬さだ…!」


雪男爵「イオリ…ここは危ない…逃げるんだ…」


イオリ「わ…私を知ってるの…?」


雪男爵「……」



イオリの問いに無言でうなずく雪男爵


女神の用意したデストラップはここからが本当の地獄であり


逃げようとする2人の前に


黒い翼を纏った禍々しいアンデッドが姿を現した。



イオリ「ひっ!?」


6枚の黒い翼を持つ不死天使(アンデッド・エンジェル)


その凄まじい殺気と邪悪なオーラは先日イオリが交戦した魔王を凌駕しており


その正体は


女神マミが保有する戦力


3大天使の1体アスモデウスだった。



アスモデウス「女神令より墓荒しは排除する…」


イオリ「わ…私達はまだ何もしてません!!」


アスモデウス「排除する…」


イオリ「ひぃぃぃっ!!」



イオリに襲いかかるアスモデウス…


思わず泣き出した彼女を救ったのは先ほど出現した雪のゴーレムであり


堕天使の手刀を受けた雪男爵は


一撃で真っ二つになっていた。



ジャック「あ…あの雪はおそらく鉄より硬いはずなのに何て威力だ!」


イオリ「どうして…私を…」


雪男爵「…マサ様の命令…だから…」



真っ二つになっても再生する雪男爵だったが


再生までのタイムラグをアスモデウスが待つはずもなかった。



イオリ「ゴーレムさん!!」


ジャック「奴の犠牲を無駄にするな!!逃げるんだ!!」


イオリ「う…うぅ…」



イオリを抱えて階段を駆け上がるジャック…


アスモデウスの暗黒魔法が雪男爵を消滅させると


堕天使はそのまま深い眠りについた。


ギルドに戻ったイオリはすぐさま墓地の地下階段を封鎖するよう報告し


その夜


宿で休むイオリにジャックは小さな宝石を手渡していた。


墓地がこれまで封鎖されていなかったのは、危険地帯の地下3階から戻って来た者が1人も居なかったからであり


盗賊のジャックにはギルドからの感謝状と臨時報酬が贈られていた。



イオリ「この宝石…もしかして…」


ジャック「あのゴーレムの体内にあったものだ…俺が持ってるよりは奴も喜ぶだろう…」


イオリ「ジャックさん…」


ジャック「まだ新米なんだろ?あんまり無茶しないでコツコツ頑張りなよ…」


イオリ「それ…貴方にだけは言われたくないです…」



盗賊ジャックから受け取った宝石を首から下げるイオリ


彼のスキルレベルが自分より遥かに下である事を知ったのは翌日の事であり、人は見かけで判断してはいけないと心に誓うのであった。





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