第4章 召喚の禁術
マリー「ちょっと魔王様!?その禁術は寿命を減らしてしまいますよ!?」
カズマサ「俺は10年後に討伐される魔王だぜ?寿命を気にしてどうする?」
マリー「……」
寿命を犠牲にする禁術でモンスターを召喚するカズマサ
魔王として最期に討伐される事を望む彼は、任期が終わる10年目に死ぬ事を前提で動いており
側近のマリーは
複雑な心境で彼の手伝いをしていた。
カズマサ「我が暗黒の魔法陣よ!我が生命力を糧とし!新たなるしもべを召喚せよ!!」
カズマサの描いた魔法陣によって召喚されるモンスター
その姿は人の形をした…と言うよりは人間そのものであり
よく見るとそれは彼と面識のある人物だった。
カズマサ「と…友助!!?」
トモスケ「あれ…夜神じゃん?そんな魔王みたいな格好して遂に中2病が末期に…」
カズマサ「魔王みたいなじゃなくて魔王なんだが…これを見ろ!」
トモスケ「おおっ!手から火が出た…そんな手品まで覚えたのか!?」
カズマサ「本物だよ!!」
橋田友助
彼は人間だったころの一優の親友であり
それは召喚術の失敗による事故が発生した事を意味していた。
何の補正も無い友助は戦力としてはゴミくず以外の何物でも無く
そんな友助が魔法陣を見ると
召喚に失敗した理由が明らかになった。
トモスケ「なんだこの落書きは…星を書いてるつもりなのか?」
マリー「本人は六芒星を書いたつもりらしいのですが…残念ながら魔方陣として成立しなかったようです…」
勉強もスポーツも得意だったカズマサの弱点
彼は絵や図面を書く事が絶望的に下手であり
魔法陣の作成は完全に失敗していた
事情を知ったトモスケは腹を抱えて爆笑したが
そんなトモスケに怒ったカズマサは暗黒魔法で彼をモニターに変えてしまった。
トモスケ「な…なにをする!?」
カズマサ「お前は今日から俺のモニターだ!モニターのお前なら魔法陣くらいかけるだろ?」
トモスケ「魔法陣くらい人の姿でもかけるわ!!」
カズマサ「ほう…なら試してみろ…!」
1度人間に戻され魔法陣を書かされるトモスケ
だが…
トモスケ「マホウジンガカンセイシマシタ…マオウサマ…」
カズマサ「よろしい!後は我が暗黒の力を注ぎ込むだけだ!!」
トモスケの書いた魔法陣もカズマサと大差の無い欠陥品であり
結局彼はモニターにされてしまった。
モニターとなったトモスケは見事に魔法陣を完成させる事となり
今度こそ魔王の生命力を糧とした
強力なモンスターが召喚された。
雪男爵「うぉー!!」
カズマサ「おおっ強そうなモンスター…ってでかすぎるわ!!」
雪男爵
その名の通り雪で出来た巨大なゴーレムであり
魔力で圧縮された雪は鉄よりも硬く
全長3メートルはある巨体からは部屋全体の温度を下げる程の冷気を放っていた。
想定外のサイズに魔王は雪男爵を決闘用の中庭へと移動させ
とりあえず性能をチェックする事となった。
雪男爵「ゴーレムパーンチ!!」
カズマサ「おおっ!何と言うパワー!パンチ力だけなら俺よりあるじゃないか!早速同タイプのモンスターを量産しよう!」
マリー「ちょっと待ってください…確かにパワーはあるけど…耐久力は大丈夫なのですか?」
カズマサ「それなら心配ない…何なら試してみてもいいぞ?」
マリー「それでは遠慮無く…右手に魔王の力を…左手に女神の力を…」
カズマサ「ん…?」
マリー「行きますよ!聖魔砲!!ケイオスフレアバースト!!!!」
雪男爵「ぐあああああっ!!」
カズマサ「馬鹿野郎やり過ぎだ!!!」
マリーの魔砲攻撃を受けて粉砕される雪男爵…
奇跡的に核となっている部分は残ったが
自力での再生は不可能だった
雪男爵は魔王の魔力によって精製された核が、雪を鎧のように纏って操作しているロボットみたいなモンスターであり
核の魔力が尽きるか核が破壊されない限りは何度でも再生する不死身のゴーレムだった。
カズマサ「ハァ…ハァ…寿命が2年は縮んだわ…」
雪男爵「ぶるぶる…この人…怖い…」
マリー「耐久力も問題無さそうですね…ゴーレム軍団を編成して北部エリア…風の国シュトュルムを攻めるのですか?」
カズマサ「無論そのつもりだがこいつにはまずブラドゥークの側にある危険地帯を見張って貰う…万が一イオリが足を踏み込んだら大変だからな…」
ブラドゥークから北に位置する大規模な墓地フォールダウン
元々この墓地は女神マミが不運にも犠牲となった初心者の冒険者達を弔う為に造ったものだったが
彼らが転生特典で手に入れたレアアイテムを入手する目的の墓荒しが続出
これに激怒したマミはこの墓地に最大級のデストラップを設置していた。