第36章 炎魔王バルフォース
マヤ「こ…このぉ!!」
ジャック「マヤよせ!!俺達で何とかなる相手じゃない!!」
町を破壊する暗黒騎士に飛び膝蹴りを放つマヤ
彼女の右脚を受け止めた暗黒騎士はそのまま脚を握り潰してしまい
マヤの断末魔が響き渡った。
マヤ「ああああああっ!!」
ジャック「マヤぁ!!!」
あまりに容赦の無い攻撃
魔王と面識のある2人はこの攻防で敵が魔王軍では無い事を確信し
ジャックはマヤを助けるべく口撃を仕掛けた。
ジャック「ど…どこの誰かは知らないが…俺達は魔王カズマサと友人だ…手を出せば命の保証は出来ないぜ…?」
バルフォース「カズマサ…それが今の魔王の名か…」
ジャック「今の魔王…だと…?」
バルフォース「我が名はバルフォース…かつて魔王だった者…そうだな…今は炎魔王とでも言うべきか…」
炎魔王バルフォース
カズマサの持つ魔剣と同じ名前を持つ暗黒騎士は、遥か昔にこの世界の魔王を担当しており
その強さは今の魔王の比ではなかった
ジャックの口撃も虚しく彼の攻撃が止む事はなく
絶対絶命の窮地の中
1本の槍がバルフォースの身体に傷をつけていた。
バルフォース「ほう…雷の魔槍アルゲースの持ち主が居るとはな…」
ジャック「エリシア!?何をしている!?逃げるんだ!!」
雷の魔槍アルゲース…
それは雷の国アルザークの家宝である魔槍であり
それを持つのは王家の人間である証だった
王女エリシアは国を守る為に時には忍に…時には騎士となり闘い続けており
明らかに勝ち目のない相手にも怯む事はなかった。
バルフォース「勇敢な姫君だ…何故に闘う?」
エリシア「王家の者として…民を守る義務がありますから…!」
バルフォース「そうか…ならば騎士として敬意を払い…我が奥義ので沈めてやろう!!」
エリシア「ま…まさか!!?」
天に魔剣を掲げるバルフォース
上空に出現した魔法陣からは巨大な炎の剣が次々と降り注ぎ
その大きさは1本の全長が10メートル
数は7本にも及んでいた。
ジャック「エリシア!マヤ!海に飛び込め!!地上で喰らったら終わりだ!!」
マヤ「ダメ…脚が…動かないの…私に構わず逃げて…!」
エリシア「マヤさん!!」
脚を砕かれ動けないマヤ
エリシアは彼女を見捨てる事が出来ずに残る道を選び
炎の剣は容赦なく3人に降り注いだ。
バルフォース「七星の炎剣!!!!』
着弾した海が蒸発する程の高温
地上に刺さったものは地中深くまで刺さる圧倒的な貫通力を見せ
5つの穴からはマグマが吹き出る大惨事となっていた。
マヤを庇ったエリシアは左腕を焼却される重傷を負い
死期を悟った彼女は震える右手でマヤの手を握りしめていた。
マヤ「エリシアさん!!!」
もう助かる道は無い…
マヤはエリシアと最期を共にする覚悟でその手を握り返し
バルフォースを睨みつけた。
そんな2人に対して彼は容赦のない追撃を放ち
無慈悲な火炎魔法が左手の大砲から発射された。
マヤ「嫌ぁぁぁぁ!!!!」
死の恐怖で絶叫するマヤ
着弾すれば間違いなく命はなかったが
その火炎魔法は着弾寸前
水流ビームによって相殺されていた。
「深海の孤独!!!」
それはマヤが知る中では最強の水魔法であり
バルフォースから見ても懐かしさを感じる魔法だった。
バルフォース「地上にアビスの魔法を使う者がいるとは…何者だ?」
アサミ「私はアサミ…旅の賢者だよ…!」
震える声で言葉を返すアサミ
彼女は女神として所有する資料の中で目の前にいる相手を見た事があり
仮の身体では勝負にすらならない事を理解していた
自身の回復魔法で2人の応急処置をした彼女は、時間を稼ぐ為に魔剣を取り出し
ヘブンズゲートを発動させると
大声で叫んだ。
アサミ「みんな!!今すぐゲートに入って!!」
アサミの剣と魔法で彼女の正体を察するバルフォース
ゲートを閉じる為にはタイムラグがあり
緊急時に仲間を逃がす為には自身が時間を稼ぐ必要があった。
マヤはエリシアを抱えてゲートへと飛び込んだが
ホルスは闘うつもりで自身の槍を取り出しており
それを見たアサミは彼を無理矢理ゲートの中へと押し込んだ。
ホルス「アサ…ミ…」
その場にいた全員の避難を完了したアサミは即座にゲートを消去
1人でバルフォースと闘うつもりであり
彼女に興味を持ったバルフォースもまた
1人になるのを見届けていた。




