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今日から学校と仕事、始まります。②莞

あーだこーだと言う人は、仕事ができないと言う話①

作者: 孤独

「ですから、私共にそれをご質問されましても、ご回答できないんですよ」



お客様対応とクレーム対応は……厳密に言えば、違う。


今回、電話された対応はたぶんお客様対応という枠にしておこう。



「こちらができる事は周辺の地域のご捜索をするだけが精一杯ですよ。聞かれても分からないんですよ」



かれこれ20分くらい電話で相手と話をしている、実さん。


お客様の対応して欲しいこととは



「お荷物が届いていないと言われましても、それを私達が取り扱っているかどうかも分からないんです。そーいう料金とサービスの方を、お客様自身がご利用されているので補償ないんですよ」



わりかし呆れている話。隣でお客様の話の概要をまとめた紙を、実と同じ仕事をする木下と矢木は見ながらこの荷物についてちょっと話した。



「だから大事なもんはちゃんと金払って、良いサービスを使えっての……」


「ポスト入れる奴で、ポチ袋みたいな薄い荷物ねぇ~……。中身は限定の商品かよ……」



それほど小さい荷物を届ける仕事なんて簡単だろうと、相手側は思っていることだが。こーいうのって案外届かないという話をよく聞く。理由としては、通常取り扱う物より小さい荷物は想定されていない。出したところから、お届けされる地域までちゃんと到達しているのかすら分からない。


集荷した荷物を各地域に分ける機械だって、出してくる荷物の型を判別してわけるため、その型から外れた物をちゃんと分けられるか分からない。


それに



「私共の誤配の可能性もありますけど、こんな小さいモノが盗まれている可能性もありますし。見つけて来いと仰られても、どの配達員がそれを受けたのかも分からないんですよ。というか、ここに届いているのかも分かりません」



正直、ホントにここに到着しているのか。そして、それが自分達の誤配による原因なのか、さっぱり分からない。だから、補償とか言われても困る。ここでは言わなかったが、受け取っているお客様が嘘をついているかもしれないし、出している奴が出してないのかも分からない。


とにかく、意味も分からず。謝って事情という事実を話すしかできない。




「中身が大事なら、せめて追跡できる番号を使うサービスを利用しろよな」


「それなら特定できるし、補償するんだけどな」



残念ながら、それがなかったからウチ等に言われても困る。


ちょっと、もう少し送料を考えてください。



「はい。再送したものはこちら、ちゃんと受取人に直接お届けしますから…………いや、だから。出した物を探すのはいいですけど、結果とか言われても困りますよ」



え?納得できないとか言われてもね。



「はい。はい。……分かりました。とりあえず、こちらも盗まれた可能性だってあるので、再送分は受取人と直接会ってお渡しする形をとりますから。ひとまず……はい、はい。再送分がこちらに届いたら、ご一報しますから。本日はここで」




ガチャ




「はぁ~……」


「お疲れだ、実」


「9日前の荷物なんか誰も覚えてるわけないでしょ」


「そりゃそうだ……」


「ただ、出したらしい荷物を探してこいは確定なんで、ちょっと周辺で聞き込みやりましょう。再送分送ってくれるんで、どーいう荷物か形か、デザインかも分からないのでそれ来てからで……」




◇        ◇




個人情報の漏洩だーって、騒ぎながら探して来いをやると。


個人情報を漏洩しまくっている事になるので気をつけましょう。訊かれた相手というのはどーいうものかを訊いてくる事もある。



「どんな荷物なんですか」


「こーいう小さいものなんですけど。向こうも出しているのかも分からないんですよ」



だって、差出人と受取人以外。そんなこと言われても、何がなんやら分からんっていう回答。訊いているこっちも同じだ。



「間違いがあったとか言われてもねぇ。間違ってたら、ちゃんとポストに入れてあげたり、集合ポストの上に置いておくけどねー……」



あんた達はどんな仕事をしているんだと、言われたくはないので。ハッキリ言って、あったかどうかしか聞かない。訊かれてる人もだいたい同じ反応するし、無関心なのが多い。



「盗まれたりしてるのかもー」



地域の不安を煽ったりもするから、正味やりたくはない。それも確証がまーったくない状態で聞き込みをしたくはない。



「昨日今日ならともかく。9日前って……覚えてるわけないでしょ。ウチはなかったけどさ」


「そうですよね。ありがとうございます」



こんなことを一日中、マンションだったら全件やらないと出しているお客様が納得しないというね。



「ウチはやってないけどさ。中身をうっかり空けてさ、限定物だったらもらっちゃうよ。流行のものなんでしょ?」


「仰るとおりですね」


「だいたいなんでそれをウチ等が預かってると思ってるのさ」



こーいうのって、見つけるかどうかよりも。恥かいてこいという話なのかもしれない。が、非常に地域に迷惑だから止めて欲しい。こっちに届いているのかもすら分かってないのだから。




ビイイィィッ



「実です」


『俺だ、木下だー。再送分の奴が到着したぜー。マジでこれ小せぇな。これ』


「そうですか。じゃあ、木下さん。受取人の方にお伺いしてくれませんか。くれぐれもポストとか、別の御宅に入れないでくださいよ」


『はははは、分かってるよ。まったくよー』



後半に続く。


慣れない道で逆走するのも分かるんです。

オートロックのマンションで、宅配BOXが使用済みで、集合ポストにAMAZONを置くとかも分かるんです。

同性同番地のお宅や隣のアパートに誤ってAMAZONを置くのも分かるんです。

雨の日になんの保護もなく、置いていくのも分かるんです。

誰も護ってないから盗まれている事があるのも、分かるんです。



それらをちゃんと補償してくれるAMAZONって、すげーなって思います。普通じゃできない。

ただ、この仕事をしてる人達ってコロナが落ち着いたら、辞めようとか思ってそうに見えるのは気のせいかなって……。


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