新世界
それから2年後、ぼくらは別々の高校に進学した。それでも、高校3年になるまではSNSで近況は互いに伝えあっていた。エレンは英語と経営を学びたいと商業の高校へ行った。マリはIT関連を希望しているので工業学校でプログラミング三昧だそうだ。ぼくは将来なんて考えられないので、普通科に進んだ。3人とも部活には入ってない。理由は、内容が普通すぎてつまらないから。
それに、エレンは長期休みになると英語の経験をつむためといって海外に出かけていた。マリは、日本に戻って大学で研究をしてる兄と共同生活をはじめたので自由になる時間は限られていた。
ぼくは、色々な部のイベントでのお助け要員をしていた。
「一つの活動に打ち込んだら?」
よく、先生や周囲から言われるが、僕は自分の技術を磨くより、困っている連中の問題を解決するほうが性に合っていた。
3年になると、受験準備が始まり、塾通いも増え、互いに連絡もとりあうことはなくなっていた。マリは母親の選挙準備の手伝いにも頻繁に出かけているようで、連絡しずらくなったということもあった。
なので、互いに何処の大学を受験するのかも知らない。
「うちは貧乏だから、とにかく公立ね。」
親から言われるまま何とか入れそうな地方の公立になんとか潜り込んだ。就職のことも考えて教育学部に入った。
「クラブ決まってないなら一緒に見学にいかない?」
新入生同志の誘い合いが始まる。大体こういうのにホイホイついていくと無理やり入部させられてしまうものだ。
学校の敷地は、学部ごとに離れている。とはいっても、自転車で30分内の距離だ。全員教養課程の間は、教育学部の校舎で過ごす。学部によって1年か2年か。その後、工学部や医学部など専門毎にそれぞれのキャンパスに移動する。ただ、みな近場のこともあってサークル活動などは合同で行なっているものも多い。