新入生
「会長、同好会の活動費を値上げしてよ。」
「一勝でもできたらな。」
前会長の談合坂は支持者に大盤振る舞いしていたが、ハブはとにかく節約する。
「消費税だってどこまで上がるかわからないんだ。緊縮財政が一番。金は守りの要というからな。」
何でも、将棋に例えるのは辞めて欲しい。
「織田家末裔、織田信忠。わが名は信長の長男に由来するところなり。」
なんか、時代錯誤なやつがやってきた。
「え~と。ノブタタさん。またすごい名前ですね。オダ・ノブタダ・・・オダノ・ブタダ。」
なかなかケラな名前だ。ちなみにケラはハワイ語で偉大という意味がある。
「動機は、本能寺の変の真相を究明したいと。うちはそういうんじゃないから。」
ぼくは、彼に入会を思いとどまらせようとした。お嬢様の気まぐれにつきあわせるのはかわいそうだ。しかし、エレンが速攻で決定を下した。
「仮入会を認めよう。これで。猿と豚と河童が揃った。」
僕は名前がレイだからって霊長類という意味じゃない。それにマリはミズタマリだから河童なのか。エレンに反論すると十倍返ってくるから、グッと我慢する。
「インドでは神聖な猿がいるらしい。」
ハブのやつ、人の心まで読むのか。
「大変です。図書委員から、古書を陰干ししていたら大量のウジが湧いて蟻がたかっているそうです。」
「出番だ、名探偵諸君。敵は本のウジに蟻。」
会長の一言に、
「さては、きさま光秀だな。」
ノブタダが叫ぶ。
「いや、彼はハブ。生徒会長。あ、ケチだけど。」