愛情の対価は¥2,330+税
土曜日。
今日も今日とてDOLCE日和である!
そんな俺は今日もまたDOLCEに来ている。
あれから本多さんに眼鏡の分のお金を渡した俺は、残ったバイトの給料を握りしめて昼食を取ろうとお昼からやってきた。
「ご注文をどうぞ♪」
ニコッと笑いかけるヒメちゃんは今日も可愛い。
「あっじゃあ、今日はご飯も食べたいから...愛情♡た〜っぷりオムライスを1つと、トキメキ黒烏龍茶をください!」
「かしこまりました!いつもありがとうね大智クン!ちょっと待っててね!」
土日の時間がある時にしか頼まない、俺の楽しみの1つであるオムライス。
メイドカフェといえばこれだろう。
好きなメイドさんが、自分の目の前でオムライスにケチャップでお絵かきしてくれる特別なオムライスなのだ。
近頃では、海外からの観光客が増えメイドカフェという日本独特の萌文化を体験すべく外国人観光客が増えている。
メイドさんがオムライスにお絵かきをしてくれるような変わったメニューはかなりの人気を誇っており、わざわざそのために訪れる客も多いのだ。
「お待たせ致しましたっ!愛情♡た〜っぷりオムライスと!トキメキ黒烏龍茶ですっ!ではではっ、イラストになにかご希望はございますか?」
「じゃ、じゃあ!俺の似顔絵で...!」
「了解しましたッ!上手く描けるかな〜?」
せっせとケチャップで絵を描き始めたヒメちゃん。
以前も注文したことがあるが、ヒメちゃんのケチャップで絵や文字を書く技術はかなりの技術だ。
「できたぁ〜!」
完成したオムライスを見ると、
見事に俺のボサボサの寝癖がイラストにされていた。
「す、すごいよヒメちゃん!」
「えへへ!じゃ〜あ、このオムライスと烏龍茶がさらに美味しくなるように、ヒメと一緒に魔法をかけてくれますか??」
そう、これももう1つの楽しみである魔法だ。
今やメイドカフェでは一般的に広く使われるようになった「萌え萌えきゅん!」という言葉。
メイドと客が一緒になって楽しめる。
かなり最高である!
「じゃあいくよ!せーの!」
「「美味しくなぁれ!萌え♡萌え♡きゅーーーーんっ♡」」
初めてメイドカフェに来た時は、自分も一緒にやるのか?!と、かなり恥ずかしかった。
が、今となってはもはや恥じらいすら感じない。
むしろ全力でやるのが鉄則である!
「ヒメの愛情たっぷりのオムライス!堪能してねっ♪」
「あ、ありがとう!いただきます!」
そう言い残しニコッと笑ったヒメちゃん。
やはり俺のマイエンジェル...マイロード...
たらふくオムライスを食べ、たっぷりDOLCEを堪能した俺は、会計へと向かった。
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オムライス1,300円
黒烏龍茶530円
入園料500円
小計2,330円
合計...2,516円(税込)
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「「いってらっしゃいませ!ご主人様♡」」
「はぁ。キツイな...」
レシートを見ながら帰路に着く俺は、がっくしと肩を落としながら歩いていた。
オムライスと烏龍茶だけでこの値段であれば、チェーン店のランチタイムの焼肉食べ放題は行けるだろう。
高校生のバイト生活の俺には昼飯でこの値段は正直少しキツイのだ。
これを毎週のように通い続けているとなると尚更だ。
しょうがないが、これもまたメイドカフェならではである。
愛情には対価が必要なのだ。
「綺麗なマクドのお姉さんにスマイルでも頼むか...ハハッ」
ボソッと1人で冗談を言いながら、駅へと向かった。
ー登場人物まとめー
【主人公】久賀 大智
高校2年生/17歳/
大阪のメイドカフェ〝DOLCE〟に通う。
推しである人気NO,1メイドの〝ヒメ〟にバイト代をほぼ全額貢いでいるクソオタク。
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【新人メイド】本多 愛葉〝音〟
高校2年生/17歳/
〝DOLCE〟に新しく入った新人メイド。
以前からメイドへの強い憧れがあり、メイドへのこだわりとご主人様への想いはピカイチ。NO,1であるヒメ(姫乃)を尊敬している。
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【NO,1メイド】白石 姫乃〝ヒメ〟
高校3年生/18歳/
〝DOLCE〟の人気NO,1メイド。
ぶりっ子だがかなり性格は腹黒いらしい。
最近入った新人の音(愛葉)の人気に嫉妬と焦りを感じている。
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【友人】江山 剛
高校2年生/17歳
大智のクラスメイトであり親友でありオタク仲間でもある。
大智と違い特に推しは作らず、DOLCE自体が好きで店に通っているタイプのオタク。
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