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女オタとお近付きになりたい。

本多さんがヒメちゃんのオタクだったことを知った俺は、忘れたカバンを持って教室へと急いで戻った。


「本多さん!これ、本多さんのカバンだよな?」

「ちょ、なんであんたが?!返しなさい!」


そう言ってカバンを取ろうとしたが、俺はカバンを後ろに引いた。


「あなた...女の子の顔に傷を負わせた罪は重いのにそれでも飽き足らず...」

「ヒメちゃんの写真集!!」

「へ?」


「君はDOLCEのヒメちゃん推しオタクなんだろ?!」


驚いた顔をしている本多さんの肩を持ち、俺は教室中に響く声で興奮気味に問いかけた。

固まっていた彼女は、少しすると俺の手を強引に引っ張り、廊下へと連れ出した。


「ばっかじゃないの?!あなた、勝手にカバンの中を見たのね?!?!」

「忘れて行ったから中を確認したら...つい」

「返しなさい!」


そう言って俺の持つカバンを奪った。


「あなた、他に何も見てないわよね?!」

「ヒメちゃんのグッズは見ちゃいました...」

「他は?!」

「興奮しちゃってそれしか見てないけど...」

「嘘じゃないでしょうね!」

「本当だ!同じファンとしてただ嬉しくて!」


大きくため息をついた彼女は、少しずつ落ち着きを取り戻し始めてこう言った。


「いい?勝手に人のプライベートを覗き見るような行動はやめてください。迷惑です!」

「す、すまん。」


__キーンコーンカーンコーン


そこで2限目のチャイムが鳴った。


「この話はまた後で。私は真面目に授業を受けたいので。」


そう言い残すと、そそくさと自分の席へと戻って行ったが、その後は特に本多さんと話すことも無く、そのまま放課後になってしまった。

どうしても気になった俺は、帰ろうとしていた本多さんを呼び止めた。


「本多さん!」


ゆっくりこちらを向く本多さん。

何も言わずとも伝わってくる。

またお前かと言わんばかりに。


「なんでしょうか。」

「今度ヒメちゃんがいる日に一緒にDOLCEに行かない?」

「無理です」

「なんで?!」


そう言いながら彼女はまた歩き出した。


「本多さんも好きなんだよね?!ヒメちゃん!」

「...」

「店内限定販売の缶バッチ持ってたよね?DOLCEにも行ったことあるんでしょ?!」

「...」

「同じヒメちゃん推しの同志として仲良くなりたいんだ!!」

「...」

「これ!ほら!この前のナースイベントのヒメちゃんのチェキ!」


無視され続けた俺は、前回のイベントチェキをカバンから取り出した。

すると、拍子に音ちゃんのチェキが本多さんの足元へと落ちた。

瞬間、本多さんは焦ったようにそれを拾い上げた。


「これを私の目の前に出さないで!!!」


そう怒鳴ると、チェキを持ちながら顔を赤くして走っていってしまった。


「もしかして、本多さんは音ちゃんが嫌いなのかな?」


最近音ちゃんの人気がネット上で高まっていることに対して、ヒメちゃん推しのオタク達はかなりヒメちゃんの応援を頑張っているらしい。

無論俺も、今日の眼鏡のことを除けば、ヒメちゃんを応援するためにバイト代が入れば全額貢いでやる!と意気込んでいた1人である。


初めて女の子の友達が出来ると思ったのだが...

まぁ無理もないか。と納得しながら俺はしょうがなく、自宅へと帰った。



この時、何故本多さんが顔を赤らめながら怒っていたのか本当の理由は知るはずもなかった。


ー登場人物まとめー


【主人公】久賀(クガ) 大智(タイチ)

高校2年生/17歳/

大阪のメイドカフェ〝DOLCE〟に通う。

推しである人気NO,1メイドの〝ヒメ〟にバイト代をほぼ全額貢いでいるクソオタク。


ーーーーーーーーーーーーーーー


【新人メイド】本多(ホンダ) 愛葉(アイハ)〝音〟

高校2年生/17歳/

〝DOLCE〟に新しく入った新人メイド。

以前からメイドへの強い憧れがあり、メイドへのこだわりとご主人様への想いはピカイチ。NO,1であるヒメ(姫乃)を尊敬している。


ーーーーーーーーーーーーーーー


【NO,1メイド】白石(シライシ) 姫乃(ヒメノ)〝ヒメ〟

高校3年生/18歳/

〝DOLCE〟の人気NO,1メイド。

ぶりっ子だがかなり性格は腹黒いらしい。

最近入った新人の音(愛葉)の人気に嫉妬と焦りを感じている。


ーーーーーーーーーーーーーーー


【友人】江山(エヤマ) (ツヨシ)

高校2年生/17歳

大智のクラスメイトであり親友でありオタク仲間でもある。

大智と違い特に推しは作らず、DOLCE自体が好きで店に通っているタイプのオタク。


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