表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/28

本多愛葉の葛藤。

もう7月。かなり暑くなってきた。

人気投票イベントが終わり、結果が発表されるまであと数日となった。

正直私は人気なんてランキング付けしなくてもいいと思っているし、興味なんて無い。

たとえ何があっても、私は皆といつも通りに接するだけだから。


そんなことより、今の私にとってはもっと別の1番の大問題があるのだ。

それは...


「なんっでクラスメイト2人もDOLCEに通ってんのよぉ〜〜!!!!!!」


休み時間、屋上。

購買で売られていた大好きなずんだミルクを片手にそう叫んだ。

そう、働き始めた当初からかなり厄介な存在だったあの2人。

久賀 大智と江山 剛だ。

まさか高校生にしてメイドカフェに毎週毎週通っている奴がいただなんて...

想像していなかった。


「まぁいいんじゃん?バレてないんでしょ?」


彼女は咲良。

昔からの仲で、1番の親友である。

クラスは違うけれど、唯一私がメイドカフェで働いていることを知っている人物だ。


「多分...?」

「は?!多分って...あんたね..」

「まぁ?今のところ何も言われてないし、多分バレては無いと思うのよね...それに、学校では私こんなでしょう?分かりっこないわ!」


メイドカフェで働いている間の私は、学校での私とは全く違う。

髪の毛は下ろしているし、眼鏡もしていない。

きっと誰が見たって私だとは思いもしないだろう。

初めて会った時はバレたかと思ってドキドキしたが、学校で会った時も何も言われなかったし。


それに、ドッヂボールの時もかなり近くで話したけれど何も言ってこなかった。

チェキを出された時はかなり焦ったけどね。

思わずあのチェキをそのまま私が持ち去ってしまったくらい。


「あんたが大丈夫ならいいんだけどさ!面倒な事になる前に、しっかりしなよー?」

「しっかりするも何も、面倒な事にもうなっちゃってるのよ...」

「どういう意味?」


この前の人気投票イベントで疑惑が確信に変わったこと。


「江山剛!本っっ当に最悪だわ!」


そう。いつも久賀大智と共に一緒にDOLCEにやってくる男だ。

あの男は最近私がいる時に狙ってやってくる。

久賀大智はヒメさん推しだからまだマシなものの、私に会いに来るせいでそれだけ私が本多愛葉だとバレやすいってことになる。

もちろんメイドとして好いてくれるのは純粋に嬉しいことであり、ありがたいのだが...

私個人としては大変困る!困りすぎる!


「でもさぁ、あんたそんな格好してなけりゃ、本当に可愛いんだもの。それに気配り上手と来た。好きになっちゃうわよオタク共はね。」

「とにかく、私は今後一切学校ではアイツらと話さない!絶対よ!」

「そんなこと言って、フラグ立てんなよ〜」


メイドとしてはしっかり仕事はするけれど、学校やプライベートまで奴ら2人と関わるのは御免だわ!と、固く決心したが...



「最っっっっ悪よ。」

「エッ そんなに??」


放課後。

アホ面でこちらを見て来るのは久賀大智。

言ったそばからこれだわ。

咲良があんなこと言うから...


「しょうが無いだろ?先生に任された仕事なんだから...」


今日の日直当番だった久賀大智だが、もう1人の日直だったはずのクラスメイトが休んでしまったせいで、たまたま先生の目にとまったという理由だけで私が日直の仕事を代わりに押し付けられてしまったのだ。


「無駄口叩く前に早く終わらせましょ?私、早く帰りたいので。」

「はいはい。わかってますよ...」


日直の仕事である放課後の教室掃除。

二人っきりになるだなんて、本当についてない。

咲良は面白がって先に帰ってしまうし、私は今日だってDOLCEのシフトがあるってのに...

早く終わらせないと...


「そ、そう言えばさ」


沈黙を破ったのは久賀大智だ。


「ずっとタイミング逃して聞けなかったけど...前に俺がチェキ見せた時に持って行っちゃったDOLCEの音ちゃんのチェキ...アレまだ持ってる?」

「持ってないわよ!」

「え?!」

「あんなもの、捨てたわ。」

「ええええぇぇ!何勝手に捨ててるんだよ!」

「あなた、ヒメさん推しなんでしょう?それなら他のメイドのチェキなんて必要無いでしょ!」

「それとこれとは関係無いだろ?!別にだからって...持ってたらいけないなんてこと無いだろ?!」

「と、とにかく!捨てたわよ!早く手を動かしなさい!!」

「はぁ?んな理不尽な...」


あんなもの学校で持ち歩かれてちゃ困るのよ!

と、心の中で叫んだ。


そんなこんなで、教室掃除を終えた私はそのままDOLCEに出勤すべく学校を出た。

ー登場人物まとめー


7月


【主人公】久賀(クガ) 大智(タイチ)

高校2年生/17歳/

大阪のメイドカフェ〝DOLCE〟に通う。

推しである人気NO,1メイドの〝ヒメ〟にバイト代をほぼ全額貢いでいるクソオタク。


ーーーーーーーーーーーーーーー


【新人メイド】本多(ホンダ) 愛葉(アイハ)〝音〟

高校2年生/17歳/

〝DOLCE〟に新しく入った新人メイド。

以前からメイドへの強い憧れがあり、メイドへのこだわりとご主人様への想いはピカイチ。NO,1であるヒメ(姫乃)を尊敬している。


ーーーーーーーーーーーーーーー


【NO,1メイド】白石(シライシ) 姫乃(ヒメノ)〝ヒメ〟

高校3年生/18歳/

〝DOLCE〟の人気NO,1メイド。

ぶりっ子だがかなり性格は腹黒いらしい。

最近入った新人の音(愛葉)の人気に嫉妬と焦りを感じている。


ーーーーーーーーーーーーーーー


【友人】江山(エヤマ) (ツヨシ)

高校2年生/17歳

大智のクラスメイトであり親友でありオタク仲間でもある。

大智と違い特に推しは作らず、DOLCE自体が好きで店に通っているタイプのオタク。


ーーーーーーーーーーーーーーー


【友人】元井(モトイ) 咲良(サクラ)

高校2年生/17歳

愛葉の親友で、唯一メイドとして働いていることを知っている存在。

面倒くさがり屋で、楽観的な性格だが意外としっかり者な一面も。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ