出会いは突然に。
ここは沢山の人が集まる街、大阪の〝ミナミ〟
ここ難波駅周辺は沢山の種類の施設や店が軒を連ねていて、皆様々な目的を持ってやって来る。
かの有名な観光スポットからデパートや高級ブランド店まで。
夜の街と言われるここミナミでは沢山のキャバクラやホスト等の店も星の数ほどあるのだろう。
そんな俺はずっとここ大阪で生まれ育ち、よくこの辺りにも遊びに来る高校2年生だ。
だがしかし。
観光スポットやそんな店に興味はない。
そもそもこんな人が多くてうるさくてガヤガヤした場所に俺は吐き気すら覚える。
全てが充実しているリア充やパリピ共はクソ喰らえだ。
そんな俺がでは何故こんな場所に来たかだって?
こんな場所でも少しズレれば天国がある。
リア充の街から少し歩いてここ、日本橋オタロード。
東京でいう所の秋葉原のような場所だ。
ここに来たからには、目的はただ1つ。
「「お帰りなさいませ!ご主人様♡」」
そう。
ここが俺の癒しの場だからだ!!!!!
「久しぶりのDOLCEだぁぁぁあ!!!」
そう。今日は久しぶりのDOLCEだ。
俺と剛は学校のテスト勉強のせいでなかなか足を運べず通うのを1週間程度お休みしていたのだ。
たかが1週間だと思うだろうが、俺にとっては1週間もヒメちゃんに会えなかったのはかなり辛いことなのだ。
「大智くん...まさかテストが終わってその日に行くとは...」
「ヒメちゃんに今日は絶対に来てね!待ってるからね!って言われたんだ。行くしかないだろ!」
「それは...ブログで皆に向けて言った言葉では?」
「いや、あれは絶対俺に向けて言ったんだ!!」
「大智くん...いや、何も言わないでおこう。」
やっとの思いでDOLCEへ着いた俺達は、念願のその扉を開いた。
「「お帰りなさいませ!ご主人様♡」」
出迎えたのはDOLCEの沢山のメイド達。
これが俺の唯一の癒しであり、俺の帰るべき場所なのだ。
すると入ってすぐ俺の大好きなヒメちゃんが駆け寄ってきた。
「あれあれ?!大智くん!お久しぶりのご帰宅だよね?!剛くんも!ヒメめちゃくちゃ嬉しいです!ありがとうね大智クンッッ剛クンッ♪」
美少女すぎる...
やっぱりヒメちゃんは最高だ。
「いっいや、ちょっと試験勉強があって...へへ...」
「へ?!すごーい!試験勉強だなんて偉すぎるよ!!じゃあ今日はそんな疲れた2人を頑張っておもてなしするので~沢山癒されていってね☆」
完璧な笑顔と言葉に俺達2人はメロメロになりながらも、ヒメちゃんは俺たちをいつも通り席へと案内し始めた。
「あっそうだ!実は今日は、2人に紹介したい子がいるんだけど大丈夫かなあ?」
「紹介したい人?」
すると、ヒメちゃんは1度奥へと消えると再び横に女の子を連れて戻ってきた。
「ジャジャーン!!!!」
ヒメちゃんがそう言ってその子を俺達のテーブルの前へと連れ出した。
俺は絶句した。
可愛い。そう、かなりタイプで可愛いんだ!
ヒメちゃんと同じくらい可愛い。いや、それ以上に可愛いと言えるかもしれないかなりの美少女だった。
その子は少し恥ずかしがりながらも、真っ直ぐとした目でこう言った。
「大智ご主人様、剛ご主人様。初めまして。
本日からお給仕させていただきます、音です。よろしくお願い致します。」
深々と頭を下げ、新人さんとは思えないような綺麗な笑顔で笑いかけた。
クソオタクの俺たち2人は、一瞬でメロメロになってしまった。
だけどまさかこのメイドとの出会いが、俺の運命を変えることになるなんて...。
この時、俺はまだ何も知らないでいた。
ー登場人物まとめー
【主人公】久賀 大智
高校2年生/17歳/
大阪のメイドカフェ〝DOLCE〟に通う。
推しである人気NO,1メイドの〝ヒメ〟にバイト代をほぼ全額貢いでいるクソオタク。
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【新人メイド】本多 愛葉〝音〟
高校2年生/17歳/
〝DOLCE〟に新しく入った新人メイド。
以前からメイドへの強い憧れがあり、メイドへのこだわりとご主人様への想いはピカイチ。NO,1であるヒメ(姫乃)を尊敬している。
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【NO,1メイド】白石 姫乃〝ヒメ〟
高校3年生/18歳/
〝DOLCE〟の人気NO,1メイド。
ぶりっ子だがかなり性格は腹黒いらしい。
最近入った新人の音(愛葉)の人気に嫉妬と焦りを感じている。
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【友人】江山 剛
高校2年生/17歳
大智のクラスメイトであり親友でありオタク仲間でもある。
大智と違い特に推しは作らず、DOLCE自体が好きで店に通っているタイプのオタク。
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