資金循環統計・2023年度版
資金循環統計がまた集計の方法が変わったので、読み取るのがたいへんでした。2023年度の資金循環統計について、読解を得たので、書いておきます。
まず、金融機関の持つ現金および預金は325兆円です。金融機関の株式や債券(国債241兆円を含む)を含めた資産が1473兆円あります。
法人の資産が663兆円あります。このうち、政府系非金融法人は4兆円の赤字です。
家計の資産は集計されなくなりました。このため、民間預貯金合計というものはわからなくなりました。
一般政府は410兆円の国債を発行しています。つまり、金融機関の持つ241兆円の国債を除くと、誰かが169兆円の国債を所有していることになります。政府の資産は、一般政府全体で186兆円。そのうち、中央政府だけでは122兆円になります。これは、おそらく、年間予算に等しいです。
これをもとに、赤字財政をつづけたら、いつ、財政破綻をするのかを予測します。資金循環統計には書いてないですが、2023年度の国債発行残高は205兆円であり、新規国債発行残高は35兆円になります。おそらく、国債を償還しながら、その埋め合わせを再発行しているので、このような数字になるのでしょう。つまり、今、我が国は年間で170兆円を再発行して国債を償還しているのです。この170兆円が支払えなくなった場合に、国家財政は破綻するといえます。
資金循環統計から中央銀行の引き受けた国債残高が消えています。これは、国民の強い声により、中央銀行の引き受けた国債残高は、帳消しになったとされるようになったのだと思います。集計の方法が変わることにより、このような手続きが進んでいたんですね。中央銀行の引き受けた国債残高は581兆円を超えていました。これが帳消しになったのです。
そして、残った国債が、410兆円。民間銀行が241兆円を持ち、残り169兆円をそれ以外の誰かが持っています。この国債が政府の支払い能力を超えると財政破綻します。
中央政府の年収は122兆円であり、地方政府を合わせると年収は186兆円です。これが410兆円の借金を背負っている。毎年、35兆円は新規国債が増えていく。民間預貯金合計とか、法人資産とかは、根拠のない破綻の目安なので、やはり、確実なところをいうなら、政府の年間予算122兆円が支払い能力を超えると財政破綻するということでしょう。いつ破綻するんでしょうねえ。債権を持っている169兆円の人たちのほとんどは国内の人です。しかし、外国人投資家の持つ債権も数十兆円はあるんじゃないでしょうかね、国内の人だって、金融機関だって、国債をちゃんと取り立てると思います。つまり、国債発行高410兆円分の支払いができなくなると財政破綻するのです。
国債は5年国債とか10年国債とかいろいろな種類があり、複雑です。利子もあります。財政赤字は油断のならない数字をしめしているといえるでしょう。まだまだ警戒が必要です。財政拡大論者にのせられて、お金をどんどん使えば、財政破綻するのです。積極財政は抑制して、緊縮財政を意識しなければなりません。
しかし、資金循環統計を読み取るのに、昨年の十月頃に一度目を通したのですが、理解できず、五ヶ月後の今になってようやく意味がわかりました。表を読解するのは難しいですね。それくらいに資金循環統計を読解するのに時間がかかります。
追記。
金融機関の資産の内訳は、負債は、現金・預貯金を325兆円預かっている(家計の預貯金が150兆円、企業の預貯金が157兆円)。資産は、貸出(金融機関が貸し出している投資金額のことでしょう)が834兆円(日銀への貸出が135兆円、企業への貸出が284兆円、現金先物取引および債権貸借取引が343兆円)、債務証券が121兆円、株式等が87兆円。金融機関の資産の合計が1473兆円である。
我が国の家計の預貯金150兆円で運営される国家が、企業の預貯金157兆円と政府の預貯金18兆円と合わせて、それだけで、国債410兆円を支払うことになる。国債の支払いのためにあてにされている収入は、国民の毎年の労働によるGDP(国民総生産)と、そこから徴収される毎年の税収186兆円である。
難しいなあ、本当に資産の動きというやつは。国債の残高が、中央銀行が国債を引き受け帳消しにしたために、GDPよりも安い金額になっているので、年間35兆円増えていくなら、GDPの金額まで7年間は持つ。その後は、今度は中央銀行の力を借りずに赤字国債を償還していかなければならない。私は、積極財政をとる気には、まったくならないなあ。目指すは緊縮財政だろう。
積極財政の人たちは、中央銀行以外にどこに財源を見い出すんですかね。それが思い浮かばない限り、積極財政は危険だといえるでしょう。七年間で、赤字国債がGDPの金額を超えるのだし。
追追記。
とにかく、赤字国債の支払いにあてにされているのは、国民の労働なので、そのために働く気の起きない積極財政には反対するべきでしょうね。働く気の起きることにだけ税金を使ってもらわなければ、財政としておかしいということになります。




