所得1.5倍計画の実現を
衆院選がありました。自民党は大敗で、過半数割れしました。今後の政権運営はどうなるんでしょうか。まったく読めません。
しかし、我が国の物価は上昇しており、賃金もそれに合わせて上昇させなければなりません。2024年の春闘は、ベースアップ5.10%であり、中小企業は4.66%の上昇と、ようやく、かつて十三年前に目指していたインフレ政策が始まりました。私は十三年前はデフレ派でしたが、物価があがってしまったものは仕方なく、これからはインフレ派として経済を論じていこうと思います。
衆院選で自民党が大敗しても、賃金は毎年5%上昇させていかなければならないのです。ちょっと計算してみましたが、毎年5%賃金が上昇すると、十年で賃金は1.62倍になります。十五年で2.07倍、二十年で2.65倍に増えます。
つまり、これから十年間、給与を5%上昇させつづけて、賃金を1.5倍にすることをインフレ政策のわかりやすい目安にしてはどうでしょうか。
賃金が1.5倍になれば、我が国の平均年収は900万円になり、最低賃金も1500円になる。だいたい思い描いていた豊かな国になるといえるでしょう。
しかし、給与を毎年5%、十年間上昇させるのは容易なことではありません。まず、外交の問題があります。我が国が平均年収をあげると、外国はそれについて文句をいってきます。ちょっと給与をあげすぎではないのかと文句をいわれます。アメリカはなんでもナンバーワンでなければ気がすまない国なので、アメリカより高い給与を我が国がもらうことを好みません。中朝も我が国の給与上昇には文句をいうでしょう。それらの外交勢力から我が国の意見を守らなければ、十年間、賃金が5%あがりつづけることはありません。
さらに、公務員の給与は、政府があげるといえばあがりますが、民間の給与は政府があげるといってもあがりません。物価があがっても給与があがらないのでは、国民の暮らしは貧しくなってしまいます。だから、公務員の給与をあげるのは、民間の給与が上昇した結果を見てからにするということにした方がよさそうです。
そして、民間の給与を上げるには、政府がいっただけではあがりません。民間の給与を上げるには、それだけの功績がなければあがりません。給与査定が上昇しなければ民間の給与はあがらないのです。これは、すでに2024年に5%のベースアップを政府が実現しているので、政府はやり方がわかっているかもしれないです。やり方がわかっているなら、それを実行してくれればいいのですが、私は十年間、毎年5%給与を上げるために、慎重に対策を考えます。国民すべてに十年間、毎年5%の給与を上昇させるだけの功績が必要なのです。それは、長期的な国民経済への貢献であるとか、物価上昇の調整費であるとか、いろいろな名目があるでしょう。私は給与がどのようにすれば上がるのか知らないのですが、実際に給与を確実に毎年5%を十年間あげなければならないので、そういう給与の仕組みへの理解がなければ給与は政府がいっただけではあがらないことはわかっているのです。
春闘のベースアップの5%上昇が十年間つづくことを期待しています。それがいちばんよいです。
2022年に岸田内閣が提案した資産所得倍増プランでは、国民のNISA(少額投資非課税制度)の買付金額を28兆円から56兆円に増やすという内容です。しかし、これでは、たった28兆円しか国民の資産は増えません。さらに、投資額を増やす計画であり、資本主義は大富豪がさらに儲けるための謀略であるため、こんな計画では国民の豊かさには結び付きません。十五年以内に株価の暴落があり、この資産は小さく縮小してしまうでしょう。
我が国が実行すべきは、投資買付の倍増ではなく、給与の倍増でなければなりません。倍増のための十五年間はちょっと長いので、十年間で1.5倍を目指しましょう。
政府が民間の給与を増やすのは難しい。我が国では、人件費は企業の損失だというまちがった経済思想がまかり通っており、まことに愚かで卑小な国家だという他ありません。それを憂慮した人たちが人的資本形成という経済制度を始めたと聞いています。それは、人件費を企業の資産だと考える経済思想です。これは国民が歓迎すべき経済思想です。管理職だけが儲かる愚かで卑小な国家であってはなりません。国民すべてに豊かさを築きましょう。
私は、我が国の所得1.5倍計画を提案します。それを実現するためには、民間の給与を十年間毎年5%増やすことが必要なのです。




