表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/34

っ・みと罰の問えない正義!

 本当に救えるのかな?もしかして手遅れだったり……。不安が俺を押し潰そうとする。手を組んで星に願うことで不安を取り払おうとした。

 八茂は俺の肩に手を置いた。

「大丈~夫!なるようになるさ!」

 励ましの言葉が不安を軽くした。

 鳴り響くエンジンの雑音がミニバンの中に響く。一定の速さで進む車。一つ右の路へ斜めに入り、より強くアクセルが踏まれる。

 高速道路で遅い車を追い越し、制限を守りながらも急行で進む。

 スピードが落ちながら進み、ピッという音が聞こえる。高速から出たのだ。静寂に充ちた道をゆっくりと進む。カーテンを開けると星空が美しく見える


 車が泊まる。

 そこで夜を明かし、朝がきた。


 八茂と隆志は俺を置いてホームセンターで様々なものを買ってきた。ロープ、ホース、服が大きくて目に付く、それ以外にも色々ある。

「まずは状況について知りたいんですよ!太一君!"こけし"と会ってくれませんか?」

「分かった!!」


 俺はロープに細工をして首を絞めた。

 苦しい。そう感じてるといつしかその苦しさはなくなっていた。目の前に広がる永遠の空間。

 そして、そこで偉い態度を取っている悪魔──

<また来たね~。今度はさあ?何しに来たの?>

「大樹の居場所と状況。福伝寺の状況。來愛の安否、状況が知りたい!」

<いいよ~。こけしは大樹を倒したいからね。何度でも頼ってよ!!>

 悪魔は薄笑いをして俺を眺める。何もなくただ何も無い空間が漂うだけのこの場所と相まって不気味さが余計に増えた。

<大樹は東京に身を構える事務所にいるよ。ついでに葉月來愛もそこで匿われているよ。>

「えっ!?來愛が大樹の元に!!?」

 葉月は大樹の元にいる。相当やばい状況じゃんか!どうにかして葉月と大樹を引き離して葉月を救いにいかないと……

 まだ生きているのは分かったけど、それ以上に不安が襲う。最悪の可能性をイメージしたものが何度も浮かぶ。

「大丈夫なのかっ?來愛は!?何もされてないか!!?」


 焦燥して唾を飛ばす。汗が湧き出てくる。

<勿論大丈夫だよっ!ただそこから出されないだけ。何もされてないよ!R-18もしてないし、されてない!!>

 安心感がふと心を過ぎり、今度は疲労感が遅い始める。

「良かった……。後は、福伝寺の状況は?」

<あれは罠だよ。行かない方がいいよ!あそこには大樹の配置した部下が四名待ち構えているんだよ!!>


 なるほど……。やはり、罠か。

「ありがとう。最後に、大樹のその事務所の場所を詳しく教えてくれないか?」


 俺は悪魔から状況と情報を聞き出した。

 その後、元の世界へと戻った。車の中で悪魔から聞き出した情報を聞こうと顔を出す八茂と隆志。

 俺は聞いたことを伝え、そして三人で作戦を立てた。


 次の日、俺は作戦実行のために福伝寺の近くの路地に車を置いた。



◆◆◆



 俺は敷地内にある本殿へと続く土の上を歩いていく。

 そんな俺を陰から覗く四人が俺を囲むように飛び出してきた。黒服のスーツに黒サングラス。明らかに極秘任務をこなすSPみたいな感じだ。

 銃を突き出してくる。

「この銃は火炎銃。ただの銃ではない。無駄な抵抗はよせ!マトリョーシカ人間の身体だと燃えて死ぬぞ!!」

 無表情のまま銃の金具を引く。後は引金を引くだけだ。

「知ってるよ──そんなこと……」

 空は晴天。冬から春へと移り変わりの時期。乾いた風が枯葉を飛ばす。火を放つのには絶好の日である。

 ただ、(あめ)が降らなければ────


 俺と囲む四人の元に振る雨。

 空には雲一つない青空が広がっている。雨が振ることなんか想像出来ない。

 雨は雲のある空高い場所から降っているのではなく、二、三階ぐらいの高さから放たれている。

「何故、雨が振る!?これでは火炎銃は不発する。」

 乾いた土地が湿り始める。

 雨は水のシャワーだ。八茂が他人の家から無理言って蛇口を貸してもらいホースを差し込んだ。そして、ホースの先に金具をつけて水を放ったのだ。その水はシャワーのように、雨のように俺らをうつ。

 長く振り続けるシャワーは底に水たまりを作った。靴は水を含み重くなる。雨に滴る俺の瞳は四人を捉える。

「火が使えなければ、俺を殺せないよな?」

 正直、素手で戦っても勝てる気がしない。黒服の男は相当な格闘センスがあるだろう。絶対に鍛えてる。そんなのが四人。動けなくされて終わりだ。

 雨の音がざわざわ、ざわざわと鳴っている。黒服の男らに睨まれザワザワという背景の中、俺をポケットに手を差し込んだ。

 そして、その道具の電源を入れた。

「こっちだって、馬鹿みたいに罠に突っ込んでいるわけじゃないんでね!!」

 手に持ったのはスタンガン。スタンガンの先端を水たまりにさした。電源をつけると強烈な電撃が俺らを襲う。感電した黒服はバタバタと倒れていく。そして、倒れた中で俺だけが立ち上がった。

 俺の身体はすぐさまスタンガンの衝撃で受けた負傷を回復させたのだ。


 俺は倒れた四人の黒服を背に踵を返して進んでいった。それを追いかける八茂。

「まずは作戦A成功だね。次は、大樹がここに来る!だよね?」

「ああ、それで來愛と大樹を離す!この作戦をたてた隆志を信じよう。」


 俺は濡れた身体で車に入る。そして、濡れた身体を拭いて新品の服に着替えた。

「それじゃあ、次の場所を移そうか」

 俺らは福伝寺から場所を離れた。そして、大樹の構える事務所の様子を窺う場所へと身を隠した。



「作戦Bに移るぞ────」

次回予告


 ついに動き出す大樹。

 それと、〇〇も────


 そして、作戦は大樹に気付かれる。

 太一達の運命はどうなるのか?


次回ってあるのかな?

  to be continued

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ