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ちゅうに探偵 赤名メイ  作者: 神有月ニヤ
42/53

⑫′′

《ちゅうに探偵 赤名メイ⑫′′》


喫茶店【スターゲート】に入店したブラックサンダーこと黒柳は、俺たちに一瞥(いちべつ)し、カウンターへ腰掛けた。


「マスター、アイスコーヒーを」


小声でマスターに注文する彼は、何だか疲弊(ひへい)しているようだった。少しの間があり、俺たちの元へ注文した飲み物が届くと、ジャスティスこと白井とピンクガーデンこと桃園は体を前のめりに出し、こちらも小声で話し始めた。俺は普通にしてても聞こえるのでそのままの姿勢でいた。


(桃園ちゃんたちの方はどうだった?)


(私たちは資料室の奥の棚に押し込まれていた【現金出納帳(げんきんすいとうちょう)】を発見したわ。普段は鍵が掛かっていて、自由に出し入れができないような所にあったことから、恐らく、隠したいものじゃないかしら?白井さんの方は?)


ピンクガーデンこと桃園の報告を聞き、ジャスティスこと白井は腕を組んだ。


(赤川(あかがわ) 千尋(ちひろ)の事を受付の人に聞いてきた。青山からもらった顔写真を見せて、この人を知ってるか、ってね。結果は2人とも知っていた。ただ、顔を知っていてあの建物に出入りしているだけで、名前までは知らなかったらしい)


赤川は、あの建物に出入りしているのか・・・。じゃあ尚更、ネットのホームページに名前が載ってない事が不思議なんだよなぁ・・・。


うーん、と唸る俺。ピンクガーデンこと桃園とジャスティスこと白井は2人して腕を組み、次の一手を悩んでいる様子だった。もう一度、あの建物に表から入る事はできない。顔を見られている以上、あまり目立った行動は控えるべきであろう。と頭を悩ませていると、ブラックサンダーこと黒柳とマスターの会話が耳に入った。2人には聞こえない程声は小さいが、俺にはハッキリ聞こえていた。


(いや〜困ったぜぇ)


(また何か厄介ごとかい?)


(そうなんだよ、今追ってる奴が尻尾をまるで出さない。まるでこっちが尾行してんのがバレてるみたいな気分になるぜぇ)


(それは困ったもんだな)


(後3日しかないってのに、情報と言ったらこれぐらいなんだよ)


(これは?)


(追ってる奴が出入りしてるバーなんだが・・・。これがまたオシャレで入り辛くてよぉ)


(ははは、あなたには少し似合わないかもしれないな)


(そうなんだよ、あ〜あ、俺ももう少し若ければなぁ)


(ちなみにここのバーの名前は?もしかしたら知り合いに知ってる奴がいるかも)


(そうか!そこは『NEO』って言うんだ。頼むぜ、マスター)


と会話が終了すると、ブラックサンダーこと黒柳はアイスコーヒーを飲み干し、お代を置いて店から出て行ってしまった。マスターもやれやれと言った顔でこちらを見、グラスを片付け始めた。


バー『NEO(ねお)』・・・か。聞いたことないな・・・。


俺は耳を澄ませずとも聞こえた会話の内容を頭で整理した。


あいつの性格からすると、その店はそんなに遠くないはずだ。・・・俺たちが先行してやる。


と意気込み、考えていると、妙な視線が刺さっていることに気が付いた。その視線の方へ顔を向けると、ピンクガーデンこと桃園とジャスティスこと白井がこちらを見つめていた。


「あ・・・」


俺は何とも言えない空気感に、思わず次の言葉が出てこなかった。


「聞いてなかったよな?」


「・・・はい」


ジャスティスこと白井の問い掛けに、少し詰まりながらも答えた。ピンクガーデンこと桃園も、注文していたコーラフラートのアイスを口に運んでいた。


「あむ・・・ちゃんと、はむ、聞いてなきゃ、あむ、ダメよ?・・・美味しい」


「聞いてなかったことは謝りますので、食べながら叱ってもらうのはやめてくれませんか」


まぁ、可愛いから良いんだけど・・・。


ここのバニラアイスは別格なのか、俺を叱るのか食べるのかで迷った挙句、最後の言葉はコーラフロートの上のアイスに捧げていた。


「まぁ、そこまで重要なことじゃないからまだ良いものの・・・。これが会議とかだったらお前、赤名さんに蹴り入れられてるからな?」


とジャスティスこと白井は溜め息混じりに忠告を1つくれた。そしてアイスコーヒーを一口飲む。すいません、と謝ろうとした瞬間、俺のスマホが軽快な機械音と共に振動した。


「あ、電話・・・ん!?」


俺は画面に表示されている名前に驚きと動揺を隠しきれなかった。


「・・・赤川から電話です・・・!」


「出ろ!」


ジャスティスこと白井の声が先か、電話に出るかが先か、俺はスマホを耳に当てた。


《ちゅうに探偵 赤名メイ⑬′′》へ続く。

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