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ちゅうに探偵 赤名メイ  作者: 神有月ニヤ
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《ちゅうに探偵 赤名メイ⑩》


「いつも俺ばっかり指名するのは勘弁してくれよ・・・」


何だ、この人?


その男は頭をポリポリと掻きながら登場した。スラッとしているがどこか筋肉質そうな体に、ビシッと決まったオールバックの髪型。全てを見通しそうな切れ長の目は、端に年齢を感じさせるシワが若干見える。着用している紺色のスーツの胸ポケットからタバコが少しだけ顔を出していた。今は赤名探偵事務所のメンバー全員、奥様の遺体があった部屋に集まっていた。もちろん、屋敷の人たちには警察の監視下で大広間に集まってもらっている。


「おかげで昇進できてるんじゃないか、藤堂警部(とうどうけいぶ)?」


警部だったのかよ。


赤名探偵が藤堂警部と呼ばれた男の肩をポンポン、と叩いた。


いやいや、気軽だなぁ、おい。


俺が同じ事をやろうもんならどつかれそうだが、それ程彼らの間では信頼があるのだろう、と鼻から息を抜いた。


「で?詳しく聞かせてくれないか?」


藤堂警部の言葉に、赤名探偵は遺体が発見されてから書いていたという自身がメモを渡した。そこには被害者の名前、発見時刻、状況、凶器が記されているようだった。藤堂警部はそれに一通り目を通すと、それを赤名探偵に返した。


「殺害されたのは銀将院(ぎんしょういん) 麟華(りんか)48歳。凶器は胸に刺さっていた刃渡り25cmの包丁。遺体発見時、部屋に鍵が掛かっていて、尚且つ直前に窓ガラス割れる音を聞いていて中に入ると窓が開いていた、か。犯人がもし外に逃げているようなら、住民が危ないな。至急、捜査網を敷く様に手配しよう。浅井(あさい)西嶋(にしじま)梅原(うめはら)!」


藤堂警部が呼んだ先に、刑事思われる人物が3名現れた。


「お前たちはすぐに捜査網を敷き、近隣の住民の方に出歩くなと伝え回り、不審な者がいたらすぐに声を掛けろ。んでタバコ買って戻ってこい」


3人は気持ちいい返事と敬礼をすると、走って出て行った。


「桃園さ・・・ピンクガーデン、ちょっと良いですか・・・?」


「はい?」


「藤堂警部?と今出て行った人達について教えてくれませんか?」


俺の質問に、ピンクガーデンこと桃園は景気良く答えてくれた。


「藤堂警部は、まだ警部補の時に知り合ったの。警部に昇進してそう年月は経ってないけど、私たちが信頼を置いてる1人よ。私たちが遭遇した事件や事故は、真っ先にあの人に連絡してるわ」


ほぉ〜・・・。それはまた稀有(けう)な存在だ。


「で、出て行った3人は藤堂警部の直属の部下に当たる人たちで、浅井さんはあの3人の中では一番長くて、今年30歳って言ってたかな?あぁ見えて一児のパパなんだって」


失礼だが、一見頼りなさそうな風貌だった浅井さん。俺よりも年上だから、これから色々お世話になりそうな予感がする。


「次が西嶋さん。現場に似合わない程美人だったでしょ?」


確かに美人だった・・・!!


「あの黒髪のロングヘヤーで現場を駆け回る姿は私も憧れちゃうわ」


ピンクガーデンこと桃園は思い返しているのか、手のひらで頬を覆った。


俺からしてみればこっちも・・・。


と桃園をぼんやり眺めていると、彼女は最後の人物について話し出した。


「あ、最後は梅原さんね。彼はまだ配属されて日が浅いの。藤堂警部が今一番可愛がってる人みたい」


そういえば3人の中では一番若かったな・・・。


「おい、ブルーマウンテン!」


「へっ・・・?」


突然自分のコードネームが呼ばれて振り返ると、赤名探偵が白い手袋を持っていた。それを俺に放り投げると、ハメろ、とジェスチャーで伝えた。


口で言ってくれりゃ良いのに・・・。


と渋々ハメて顔を上げると、今まで緊張感のカケラも無かった探偵事務所のメンバーの顔にソレが加わり、ピリピリとした雰囲気が滲み出ていた。


な、何だこの感じは・・・!


俺は未だかつて味わった事のない現場の雰囲気に飲み込まれそうになったが、何とか踏みとどまり、そして、同じ空間にいるのにまるで別の世界にいるような錯覚さえも起こさせる赤名探偵たちがいる場所へと一歩を踏み出した。すると、赤名探偵はニヤリと笑った。


「藤堂警部たちが外に逃げた犯人を探すなら、私たちは屋敷中に残っている方の可能性を考えて捜査だ。ブルーマウンテン、お前は初陣だ。何かあればすぐにうちのメンバーの誰かに伝えろ」


よし・・・、やったるぜ・・・。


俺は頷き、拳をパシンっと手のひらに打った。


《ちゅうに探偵 赤名メイ⑪》へ続く。

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