3話:色々なゲーム
伏字多め回
翌日の部室。
「ゲームって言っても、色々あるし、皆で分担して調べる?ジャンル別に」
翌週の課題にする予定だったが、翠が「今のうちにやって楽しよう」と言い出し、テーマ:ゲームについて調べる事になる。
「6人で分担か……ロールプレイングと、シューティングと、シミュレーションと、ミュージックと……後なんかあるか?」
「アクションとアドベンチャー、かなぁ?」
「紅伊那は、シューティングをよくやるって言ってたからシューティングでいいだろう」
紅伊那は当然の様に寝ている。
「じゃぁ、私シミュレーションぅ」
「私は……ミュージック……」
「じゃああたしはアクションだな」
「私はロールプレイングしかやった事無いです……」
「残り物の福って事でアドベンチャーだね、私は」
そんな感じで役割分担が完了し、それぞれ作業に取り掛かる。凛と琴音と千景がパソコンを使い、奈緒は自分のスマホで、翠は持参したノーパソを使い調べる。
「RPGは元々、アメリカで生まれたテーブルゲーム。コンピューターのRPGの始祖はアメリカ産の『ウル〇ィマ』と『ウィザー〇リィ』の二つと言われているらしいけど、もっと遡ると『ダン〇ョン』っていう学生が作ったゲームになるらしいです」
最初に調べ始めたのは凛。
「ほー、結構歴史が深いんだな」
「日本初のコンピューターRPGは『ザ・ブラッ〇オニキス』。日本でコンピューターRPGが広く認知されるようになったのが『ドラゴン〇エスト』」
「有名な奴だね。個人的には8が一番好きかなぁ」
「は?5が至高だろ?」
「おっと?戦争か?」
奈緒と翠が言い争いに発展しそうになるが、すんでの所で沈静化する。
「今度皆でTRPGとかやってみたいねぇ」
「機会があればなぁ」
どことなく、穏やかな空気が流れる。
「音ゲー……ヒットの切っ掛けは……『パラッ〇ラッパー』……後は『ビート〇ニア』等……」
「懐かしー、昔やったわー……」
「お前何歳だよ」
「レトロゲーやらずしてゲーマーは名乗れないよ?」
「いや知らん。てか人によるだろそれは」
「音ゲーは応援団とかディーバとか好きだったなぁ」
「私、音ゲーはやった事無いんですよね……難しそうで……」
「あたしも無理だな。イージーでギリギリだったし」
「激唱の後半のあの連打ゾーン考えた奴は馬鹿だと思う。カッコホメコトバ」
「だからそのネタは伝わらんって」
「私……あの曲だけ……クリアに500回以上かかった……」
「伝わった!?」
「ゲームの中では割と新しいジャンルだよね、音ゲーって」
黙々と集中して調べていた琴音が調べた結果を纏める。
「RPGってぇ、シミュレーションの一つらしいねぇ」
「そうなのか。まぁ、何となく分かるような……」
「シミュレーションの元祖ってなんだろぉ」
「それを調べているんじゃ……」
「シミュレーション 歴史って検索したらぁ、歴史シミュレーションしか出て来ないのぉ。元祖で検索しても出て来ないしぃ」
「あぁ、成程……」
納得する一同。
「そもそも、シミュレーションって種類が多いしなぁ」
「まぁ適当に纏めておけばいいんじゃない?」
「うんぅ、そうするぅ」
「おいまて」
そんな感じでシミュレーションも纏まっていく。
「初のアクションゲーム。任〇堂の『ドンキー〇ング』だとよ」
「へぇー、日本なんだ。アメリカだと思ってた」
「初のアクションロールプレイング、『ドル〇ーガの塔』」
「うわぁ、懐かしー!あれは名作だよねぇ」
「だからお前何歳だよ」
古いゲームにも精通している翠。
「世界一の売り上げを誇るアクションゲーム、『スーパーマ〇オブラザーズ』。これは有名だなぁ」
「当時はかなり画期的なゲームだったんだよねぇ」
「まるで当時居たようなセリフですね……」
最早スルーし始める奈緒。
「ふっふっふ。ようやく私のターン!」
「あ、翠はいいよ」
「言わせて!?」
いつもの漫才。
「初のアドベンチャーゲーム。75年の『アドベ〇チャー』」
「まんまだな。名前」
「『スーパーマ〇オブラザーズ』は説明書にアクションゲームと一言も書かれていない事から、アドベンチャーゲームでもあると言われているらしい」
「へぇ~。確かに冒険してるから、アドベンチャーゲームと言えるな」
「後有名なのは『ポー〇ピア連続殺人事件』、犯人がヤスのゲームだね。た〇しさんがラジオでゲーム実況みたいな事して盛大にネタバレして、逆に人気に火が付いた作品だね」
「ネタバレが逆に人気出るのか、不思議なもんだな」
「そういえば、結末を知っていると、知って無い時より面白いって聞いた事あります」
「あー、成程。一度読んだ小説を読み直すともっと面白いって事だな」
全員が一度切り上げ、レポート用紙に書き纏める。
「ところで、クーちゃんの分はどうする?」
翠は寝てる紅伊那の頬をツンツンしながら奈緒に聞く。
「クーが起きたら一応話しておくよ」
「そっか、所で次のテーマはどうする?」
「料理がいいぃ」
「じゃ、それで」
「テキトーだね、部長」
凛が恐る恐る手を挙げる。
「あの、料理も結構幅が広いと思うんですが……」
「それもそうだな……」
奈緒は顎に手をあてて思案を開始する。
「じゃあ6つ国を挙げて、それぞれの名物料理を調べるって言うのはどうだ?」
「ナイスあいでぁ」
「それで、どこの国にするの?」
「日本は確定だろ?後は……ロシア?ボルシチ美味いよな。後はイタリア……、フランス……、ドイツ……、後一つは……」
千景がパソコンの前から、奈緒の方に顔だけ向ける。
「イギリスは……どう……?」
「イギリス料理……あっ……」
「翠、何を察した?」
「君の様な勘のいいガキは嫌いじゃないけど、それ以上いけない」
翠は明後日の方向を向いて誤魔化す。
「アメリカは……正直ハンバーガーしか思いつかんな」
「そういえば、日本人がアメリカ人ってハンバーガーばっか食ってるイメージ持ってるように、アメリカ人って日本人は寿司ばっか食ってるイメージあるらしいよ」
「そうなんですか……寿司って高いのに……」
「まぁ日本食=寿司みたいな感じなんだろ、多分」
炬燵に潜り、お菓子を食べ始めていた琴音が何か思いついた顔をする。
「ところでぇ、皆お寿司で何が一番すきぃ?私まぐろぉ」
「私はイクラかな」
「あたしはタコだな」
「私……鯵……」
「私はウニが好きです」
「そういえば、何の話だったっけ」
ふと翠が思い出したように呟き。
「忘れた」
奈緒が真顔で答える。
静寂に包まれた部室に紅伊那の欠伸が響き渡る。