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エビ転生  作者: 山野くじら
異世界の過酷な海
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ユリ姉振りかけを試してみようかと、ユリ姉さんが倒したお魚さんを探したけど見当たらない。

寝る前に見たときはまだ半分くらいあったと思うんだけど。

ユリ姉さんが全部食べたの?

そのスリムな身体のどこに入ったんだろうか。


仕方がないから水草に和えて食べてみようかな。

サラダにトッピングされたクルトンみたいな感じになるかな。


うわっ、いつの間にか水草に小さな魚がいた。

私から見ても小さい。

もちろん人間視点だったらカツオくらいのサイズ感はあるけどね。

カツオ……鰹節の風味が懐かしい。

お出汁を取るのはもちろん、お好み焼きにかけたり、冷や奴に乗せたり……あぁ、食べたくなる。


おっと、思考が異世界へ旅立っていたな。

水草に隠れていた小魚がいて驚いちゃった。


いつからいたのかな?

まさか最初から?

気付かなかったなぁ、いなかったと思うけど。


疑問を感じて辺りをよく見たら、小さな魚が何匹か見えた。


一匹ならともかく、私がこの潮溜まりに来たときにこんなに小魚はいなかった。

ここってつい最近海と繋がったのかな?

これからどんどん生物が増えてくるかも知れないな。


小魚がこっちに攻撃してくる様子がなくて一安心だけど、攻撃してきた魚もいたから潮溜まりにくる生物が増えると危険も増える。


もう水草に隠れるくらいじゃ安心して眠れないな。

よし、家を建てよう。


まぁ、家といっても出来るのは底の岩場にちょっとした巣穴を作るくらいだけどね。


場所決め、どこがいいかな?

干潮のときに海水が引かなければどこでも大差はないけど、やっぱり最近寝てる水草の近くがいいな。

水草の根の近くで隠れやすそうな場所を探す。

この辺かな?


岩の形によってはけっこう下にスペースがある。

なるべく広めのスペースがあるところを探して、ここを家造りのベースにする。


次は海水釘バットで岩を叩いて形を整える。

ガンガン音がするな。

そこまで大きな音じゃないけど大イカとか危険なのが寄ってこないか心配になるので手早く済ませる。


砕けた岩を取り除く。

手で持って退かしたり、重そうなのは小さな水球を飛ばして弾き出した。

小石はなるべく一カ所に集めておく。

とりあえず床はこれでいいかな?


ユリ姉さんがこっちの様子を不思議そうに見ている。

そういえば思い付きで家を建て始めたけど、ユリ姉さんはどうやって眠るんだろう?

まだユリ姉さんが眠っているところを見ていない。

そこら辺どうしているのか参考にしようと思っていたけど、参考にする前に家を建てるのは良くないかな?

場所とかけっこう適当に決めちゃったけどユリ姉さん的にはこの場所は合格なんだろうか?

でももう造り始めちゃったしなー。

とりあえず一度作ってみよう。


砕いた小石を使って左右に壁を作る。

岩の下にあったスペースを外から見えないよう小石の壁で隠れるようにする。

足りない小石は他から拾ってくる。

こんな感じかな?

あっ、この石はこっちにした方が安定するな。


完成。

なんか不格好だな。

でも、あんまり整ってない方が人工物ぽくなくて目立たないかな。

うん、完全に言い訳です。

自分、不器用ですなぁ。


とりあえずの目的は、家で寝ていてもいきなり襲われない事。

壁を壊されたら起きられるかなー?


あれ?

そういえば脱皮した脱け殻を食べてから寝てないな。

食べたらすぐに眠くなっていたのに。

これも脱皮効果かな?

ふっ、成長したものだ。


家の中に入ってみる。

うーん、中途半端な広さだったかなー。

よく考えたら、家とは言っても一日の大半をここで過ごす分けじゃないから、広く取り過ぎたかも。

眠るだけならもっと狭い方が落ち着けそう。

家の中にいてもマンガやゲームもないんだし特にやることないや。


おや、ユリ姉さん、どうです我が家は?

ユリ姉さんならここで同居してもいいですけど、どうします?

その魚は完成祝いですかね?

さっき水草にいた小魚に似てますね。


家に運んでおいたユリ姉振りかけをまぶして魚を食べる。

おぉ、細かく砕いたユリ姉さんの脱け殻がいいアクセントになっていて美味しいな。

ユリ姉さんも気に入りましたか。


さて、新築祝いで食事も済んだ。

すぐに眠くならないようで安心した。

これからどうしようかな?

海水が引く前にあちこちから水草を集めておこうかしら。

ここに来てからは寝ている時間が多くてはっきりしないけど潮の満ち引きが不規則なように感じる。

気のせいかな?

でも長い時間引きっぱなしにならないとも限らない。

我が家に食料を集めておいた方がいいと思う。


しばらく私の様子を見ていたユリ姉さんが手伝ってくれた。

やっぱり知能高いよね?

飼い犬でもよっぽと訓練とかしていないとこんな行動は出来ないだろう。

頑張ればコミュニケーション取れるかな?


水魔法での移動も試してみたけど加減が難しい。

上手く水流を創らないと逆に動きが遅くなっちゃった。

これも練習だなー。


しかし水草集めに潮溜まりを移動していていろんな魚がいるなぁ。

ほとんどは小さな魚だけど種類は多そう。

私より大きいサイズの魚もいたけど襲って来なかった。

見かけたときは逃げようと思ったけど、小魚を食べて満腹だったみたい。

他にいなければこっちに来たのかな?

その時は返り討ちだ、ユリ姉さんにな。


なんで最初に生き物いなかったんだろう?

あの亀裂は出来たばかりなのかな?

地震でもあった?


あれ?

でも水草があったならその前から海水はここまで来ていたよね?

不思議。

あっ、海水が引き始めた。

我が家へ退避。


ユリ姉さんとお家に籠もる。

寝てばかりいたのを心配していたけど、食後に眠くならないと寝るタイミングが分からないなぁ。

時計はないし、日光も入らないので時間が分からない。

うーん、潮が引いている間に寝ておこうかなー。


バシャッ


バシャッ


バシャッ


何だろ、水を叩くような音が連続で聞こえる。

そっと我が家から出て様子を確認。

もう潮が引いてこの潮溜まりは他と切り離されている。

ここには異常は見当たらない。

でもまだ水音が響いている。


バシャッ


バシャッ


いやな予感がする。

海面付近まで上がって周囲を見回す。


ヒュン


反射的に身をひねった。

脚がー、脚がー、左側の脚が何本か無くなってる。


うっ、痛い、感じたことのない痛さ。

ハッキリ痛みは感じないのに、意識をしっかり持たないと叫び出しそうになる。


何かが私の方に向かってきたので、とっさに避けようとしたけど完全には避けられなかった。

痛みを堪えて何かが飛んできた方を見たら、大きなカエルがいた。

でかい!

大型犬くらいありそう。

私からしたらちょっとした山みたいに見える。


バシャッ


そのカエルの口から舌が伸びて潮溜まりの生き物を次々に口に運んでいた。


潮溜まりに生き物がいなかったのはこいつが食べ終わったあとだった?


大ピンチ!

どうする、私?

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