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第8話 偽装ステータス

いつも、読んでいただきありがとうございます。

ブックマークも増えており、一定のPVもいただき、感謝の極みです。

本当に励みになります。


誤字や、助詞の間違い等ありましたら、ドシドシお待ち申し上げております。

修正する事で、文が良くなるのです。私にとっては、一字千金の価値があります。

よろしくお願いします。

 謙譲ゆずるが目を覚ますと、まだ、4人は眠っていた。外を確認しようと、入り口近くの水晶に目をやると、スィーっと水晶が移動してきた。マヂ便利。水晶を確認するが、特に異常はないようだ。ただ、だいぶ、寝過ごしたらしい。太陽が高くなっている。昼ではないにしても、10時くらいではなかろうか?


まぁ、体感時間的に早朝4〜5時くらいまで

シてたからな


 水晶を操作して、風呂を入れる。カーテンで区切られた別室に入り、風呂に入った。30分ほどで、寝室に戻ると、4人がゴソゴソとおきだしている。


「う〜〜、ベタベタします」

「ん、どうにかしないと」

「あー、すまん。風呂を沸かしたから、入っといで」

「あ、お兄さーん、おはようございます。そうします。皆んな行くよ」

「「「ふーい」」」


 謙譲ゆずるは、外に出て伸びをすると、森に入って行く。山菜などの食べ物を取る為だ。昨日の戦闘で、狩人の極みを手に入れているので、動物たちの気配も敏感に感じ取れる。ものの数分で鹿のような動物を倒し、食べられそうな植物を鑑定しながら、採取して行く。レベルが上がらなかったところをみると、魔物モンスターではなく、動物だったようだ。


 この世界は、面白いことに、動物からでは経験値が得られないらしい。まぁ、スキルレベルは上がるのだが。魔物モンスターや人間、魔族などから得られる経験値で、レベルアップする。人間を分類に入れたのは、訳がある。戦争中に、レベルが上がるからだ。勿論、盗賊とかを殺しても経験値になる。だから、人間も含んだ。これらの知識は、皇城おうじょう書庫にあった。世界の知識に関する書類から手に入れた。


 ちなみに、書物に関してだが、無限収納インベントリの面白い機能が分かった。無限収納インベントリを通じて、書物を閲覧すると、PCにおけるホームページのようにスクロール読みができるのだ。ただし、無限収納インベントリ内部で開けない書物もあった。スキル書と固有禁書、通称グリモアと呼ばれるものだ。これらは、読んだ人物にスキルや固有魔法が付与されるらしい。使ってないので、詳しくは分からないし、スキルに関しては欲しいものがなかったのと、グリモアはすでに持っている固有魔法しかなかったのだ。それ以外の普通の書物は、無限収納インベントリの中に入れたまま読めた。現在、狩をしている最中だが、多重思考を使って、知識だけはバンバン手に入れている状態だ。裏帳簿や帝国内部の人の情報とかは、あまりいらないのだが、ガンガン蓄積されている感じがする。無限収納インベントリと多重思考の連動も面白い、とか思いながら狩をしていた。


 5人で食べる分には、少し多めの食事を手に入れ、テントに戻った。カナミがステータスを開いてガッツポーズをしている。何か欲しいスキルでも手に入れたのだろうか?しかし、戦闘は昨日のあれだけだ。謙譲ゆずる並のスキル獲得率がない限り、あれ以降何か手に入るとは思えなかったので、謙譲ゆずるは、カナミに聞いてみることにした。


「ただいま。食べられる物を取ってきたよ。」

「あ、殿。おかえりなさいまし。」


こいつは、どこまで行くんだろう?


「カナミ、どうしたの?ガッツポーズなんかして」

「いえ、昨晩のあれで、欲しかったスキルが手に入りまして」


あ、あれか

忍者、いや、くノ一といえば

あの術も有名か


「あっそ、言わなくていいからな。セクハラと捉えるぞ」

「はっ、スキルレベルアップに協力をお願いします」


え〜〜

ま、嫌いじゃないけど

面と向かって頼むなよ


「お、お兄様。私も覚えられるでしょうか?」

「お、おにぃちゃん、あたしも」

「私もかなぁ」


あー、うん

なんとかしよう

固有スキルで出来そうだ


「街に入ったらな」

「「「「やった」」」」

「さて、料理を作るから、ゆっくりしてて」

「お兄様、私がやりますわ」

「あ、いや、スキル『料理』がないだろう?昨日、職種の一つで手に入れてるし、スキルレベルも上げたいから、俺がやるよ」

「後で、私たちにも、そのスキルを教えてくださいね。」


 待ってる間の暇つぶしとして、SPを使ったスキルレベルの上げ方と、スキル獲得方法を伝えた。SP1でスキル経験値1に置き換えられる。それを使って、装備品で獲得した回数制限のないスキルの定着を指示する。また、SPの数値の部分をクリックするー展開せず、思考内で閲覧する場合は、強く意識するーと獲得可能なスキルの一覧が出てくるのだ。初期職種や低級職種のスキル群は、SP10で獲得可能なのだ。勿論、この知識も、皇城おうじょう内で手に入れた書物から得たものだ。


 30分ほどで、料理は完成。テーブルに並べる。このテント内では、水晶を操作するだけで、どこからともなく、テーブルと必要な数の椅子が出てくるのが嬉しい。


「すまんな。簡単な男料理だ。捌いて焼くだけとかな。皇都おうとで、塩とか胡椒とかしか買ってないから、シンプルものしか作れなかったけど。じゃ、食べようか」

「「「「「いただきます」」」」」

「おいひー」

「んー、美味ですわ。」

「おにぃに一生ついてく」

「ふぁー、ふあー、、これぇも、ハグハグ」

「沢山あるから、ゆっくりな」

「「「「はーい」」」」


 昨日の味気ない料理に比べると、かなり美味い。まず、肉がいい。狩人の極みで、なんでこんなものがとは思ったが、「自然物品質向上Lv.1」は、狩などで手に入れた自然物の品質を向上させているらしい。対象になるのは、自然に育った果物や動物・魚などの素材だ。ちなみに、農民の極みでは、「収穫物品質向上Lv.1」が手に入っている。アイテム作成などで使う、「品質向上」のスキルとは違うようだ。


 そして、さらに素材をよくしたのが、解体士の極みで手に入った「完全解体Lv.1」。解体士になるきっかけとして手に入れた「解体Lv.1」の上位スキルだ。上位スキルは本来下位スキルがLv.10にならないと獲得出来ない。つまり、上位スキルLv.1は下位スキルLv.10を遥かに超える精度なのだ。


 完全な状態でーLv.10ではないので、完璧とは言わないー処理された鹿のような動物の肉を料理スキルで簡単に調理した。料理人の極みで獲得した「全レシピ完全再現Lv.1」は利用していない。調味料も素材も足りなかったからだ。


それにしても

どうでもいいと思ったスキルが

割と役に立つな


いっそ、全部レベルアップしとくか

あ、いや、人に作ってもらった方が楽だな

レベルは上げても、たまに作るくらいでいいか


「「「「美味しかった」」」」

「ありがとう。さて、あと、二時間ほどでお昼だから、サンドイッチだけ作っておいたよ。残りの料理は、無限収納インベントリに詰めてあるから、また今度ね。さあ、出ようか」

「「「「はーい。」」」」


 装備品を確認して、テントを解体した。それからテントを無限収納インベントリに直し、歩き始める。Map上では、あと四時間ほどの道のりだ。さすがは、皇都おうとへの道のりといったところか。Map上に障害になりそうなものはない。例えば、盗賊のアジトとか、ゴブリンの集落とか。


 四時間もぶっ通しで歩いても、疲れない体ってありがたい。最近は、会社の階段とか、営業先の建物の階段くらいしか運動らしきものはしてなかったのだが、ステータスって素晴らしいと思ってしまう。それは、女の子たちも同じなようだ。スピード自体を女の子たちに合わせているから、まったりゆったり進んでいる感じなのだが。


 誰ともすれ違わない。ということはなかった。流石に皇都に向かう商人たちの馬車は多い。途中、昼休憩している一団もいたので、少し離れたところで、軽く食事を取り、軽く会話を交わして、離れていった。


 そして、15時くらいに街に着いた。皇都の門同様に、SP500を払い門番の記憶を改竄する。この街で身分証を手に入れておく為、仮身分証を発行してもらって、街に入った。この街は、サーナリアという街らしい。


 身分証を発行する施設は幾つかある。街役場もそうだし、各種ギルドもそうだが、出身地を聞かれない身分証発行所と言えば、冒険者ギルドだろう。魔法士ギルドも出身地を聞いては来ないが、魔法を使える者は、即戦力になり得るので、国に通達が行くらしい。戦争の準備をしているような国では、魔法を使えても、冒険者ギルドにだけ登録するという者も多い。冒険者ギルドも魔法士ギルドも特に問題にはしていない。両ギルドともに世界規模の団体だ。登録員を守る為、率先して勧誘するわけではない。特に、自由気ままに旅をしたいという者には、魔法士ギルドの方から、登録上の注意点とともに、登録しない事を勧めるほどだ。


 そんな理由で、謙譲ゆずるたちは、冒険者ギルドに来ていた。傭兵崩れのような輩も多いようだ。かなりガラが悪い。ギルドに入るなり、ジロリと辺りの者どもから見られている。謙譲ゆずるに対するものは一瞬で、女の子たちの方は、舐めまわすように見ている。女の子たちも少し嫌だなという感じで、謙譲ゆずるの後ろを離れないように着いて来ている。受付は3つ。受付嬢がいる列は、ギリアまで並んでいるが、男性が受付しているところは、空いており、今対応が終わった為、待ち人は誰もいないようだ。だからと言って、別の列の輩が移動する事も無さそうだ。謙譲ゆずるは、男性の受付の方に足を進める。


「よー、兄ちゃん。実力もないのに、冒険者登録はやめときな」


 ガラの悪い男の1人が声をかけてきたようだ。謙譲ゆずるは無視して、受付の男性に声をかけた。4人には、面倒なことになるから、無視するよう伝えた。


「国外に出るために、身分証が欲しい。5人分だ。登録可能か?」

「はい。ただ、それだけですと、登録料がかなり高めですが、よろしいのですか?」

「ちっ、逃亡者かよ。」

「で、幾らだ?」

「1人辺り、金貨5枚です。」


 今更だが、この世界のお金の単位を「ゼン(Zと略す)」と言う。ギルドが世界規模になるまで、それぞれの国に貨幣が存在し、お金の単位も違っていたらしい。ギルドが世界規模になって200年ほどで、それまでの貨幣が完全撤廃され、世界共通になった。貨幣の種類は鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、王金貨、星金貨、神金貨。鉄貨が1Z、1Z=1円と思えば分かりやすい。貨幣のランクが上がるごとに100倍になる。


 ちなみに、皇城から奪った貨幣は某国国家予算の10年分ほどに相当する。神金貨22枚、星金貨87枚、白金貨90枚、以下略だ。まぁ、星金貨はともかく、神金貨なんて相当数が少ないらしく、皇城では2枚しか見つけられなかったが。


 話を戻そう。つまり、今回の費用は500万円という事だ。本来の登録料が銀貨1枚なので、市民を逃さないために帝国が出した政策らしい。勿論、各種ギルドは反対したが、違反金として星金貨20枚を請求すると脅してきたらしい。冒険者ギルドや魔法士ギルドは反対を強行出来るだろうが、各種労働者ギルドはそう言ってはいられない。商人ギルドも強行出来る立場だったが、各種労働者ギルドとの繋がりや帝国から、さらに神金貨20枚分を請求すると言われた時点で折れた。それから、商人ギルドと各種労働者ギルドの上層部が冒険者ギルドと魔法士ギルドを説得し、現状の政策がまかり通っているという状況だ。


 謙譲ゆずるは、ジャラジャラと25枚金貨を出す。男性は、数えた後に、今までの身分証を出すように伝えてきた。そもそも、身分証がないので、門番からもらった仮身分証を提示する。


「あ、仮身分ではなく、本来のものを」

「悪いな。そんなものは、存在しないんだ。その仮身分証自体が、初めての身分証でな」

「あ、余計な事を申し訳ない。こちらの紙に、名前をお書きください。良ければ、主要武器と得意魔法を書いていただくと、他国での登録が簡単です。それと、この水晶に手をかざして、こちらの魔道具に血液を付着させてください。」


 皆、簡単に紙に書いて提出した。水晶で簡単なステータスが登録される。普通の人種の平均ステータスはLv.1で2〜3、多いものでも5だ。各種ステータスは、Lv.1の時のステータス×レベルだ。その数値をアルファベットで表記する。Lv.100まで換算して高くても500となる。あくまで、普通の人種の場合はだが。冒険者ギルドの登録員は圧倒的な割合で、人種が多い。エルフやドワーフは稀なのだ。だから、アルファベットも人種に合わせて設定してある。1〜50がJ、51〜100がI、101〜150がH、151〜200がG、201〜250がF、251〜300がE、301〜350がD、351〜400がC、401〜450がB、451〜500がA、501以上がSとなっている。謙譲ゆずるはオールS、女の子たちでもF〜Eというところだ。また、血液の登録は、再発行などの際に、魔力パターンを登録する為にある。魔力パターンは指紋と同じで、一人一人違うのだ。


 そこまで済むと、受付の男性は、裏の事務所の方に行ってしまう。水晶に手をかざした際に受付の男性が愕然としたのは、ステータスのせいだろう。すでに人外なのだから。


 受付がいなくなると、先ほどまで無視されていた男が痺れを切らしたのか。難癖をつけてきた。受付の対応中もグチグチ何かを宣っていたが、全く聞いていなかった。謙譲ゆずるの顔面に拳が迫る。そのまま受けても、相手の拳が砕けるだけだが、それだと余計に問題になりそうだったので、さっと掴みそのまま背中側に回すと、腰より少し高い位置に掴んだ腕を持ち上げてみる。


「アイダダダダ」

「実力も知らない相手に不用意だな」

「ちょ、まっ、アダダダダ」


 受付の方から、婆さんが、大声を張り上げる。


「エリック、あんたじゃ相手にならないよ。人を見た目で判断しないことだ。平均Iのステータスじゃ、オールSには勝てないよ」

「ひっ、オールS?!」

「人のステータスを簡易とは言え、バラしてもいいのか?」

「だからと言って、いつまでも面倒な状況は避けたいだろ?」

「ちげーねぇ」

「ちょっと話がある。部屋まで来な」


 面倒ごとの香りがプンプンするが、この場を収めてくれた義理もあるので、仕方なく4人を連れて部屋に向かった。婆様の部屋の入り口には、「ギルド長室」と書いてある。面倒ごとの予感は的中したようだ。


「さて、そこに座んな」

「どっこいしょと」

「ありゃ、女の子たちは、従者か何かかい?全員に座って欲しかったんだけどね」

「あぁ、まぁ、そんなところだ」

「まぁ、いいか。」

「で、ギルド長が何の用だ?」

「まず聞きたかったのは、そのステータス、偽装済みかい?」

「偽装済みだな。それが?」

「なるほどな。せめてもう半分にしときな。偽装済みでオールSSとか規格外にもほどがあるよ。」

「SS?Sまでしか無いんじゃ?」

「一般公開してるのはね。501〜1000がS、1001〜2500がSS、2501〜5000がSSS、5001〜10000がUS、10000以上がLレジェンドだ。登録証にはSとしか表示されないが、ギルドの一部じゃ確認可能さ。まぁ、私や受付にいたジョンソンみたいなギルド幹部しか見れないがね」


受付の男性がギルド幹部のパターンだったか


「本題に入るよ。あんたら、召喚されて逃げ出した奴隷38人の一部かい?」

「どこまで知ってる?」


 ギルド長室の室温が一気に10度下がったような声を謙譲ゆずるは出していた。


「SSが偽装なのも満更嘘じゃ無いね。私より上かい」


 隣に控えていたジョンソンが、ギルド長の言葉に慌てている。ギルドはやはり、実力主義のようだ。ギルド長に勝てそうにない者が、その他幹部では、太刀打ちできないのだろう。


「慌てなさんな。あんなクソどもに渡す気は無いよ。まぁ、簡単な話だ。それだけの実力がありながら、非常識なところさね。昨日召喚されて、昨日のうちに逃げ出したんじゃ、こっちの常識を求める方が酷だ。」


この婆様

ある程度、召喚者の事情を知ってるらしい

もっと突っ込んでみるか


「あー、すまん。俺のせいか。まー、最初から一般の100倍、召喚者の10倍って、聞いてたからな」

「それは誰からだい?もしかして、女神とか言うんじゃないだろうね?」


やはり

なら、これはどうだ?


「いや、分からん。前の世界とこの世界の狭間みたいなところにいた女性だ。上司が神だと言うのは聞いたが、本人が女神だと言うのは聞いてないからな」

「あそこの記憶持ちかい。本当に規格外みたいだね。しかも、そんな内容の記憶か。後ろの子たちとは違うね」

「前の世界を出たタイミングは同じだけどな。色々違うな」

「ふーん。皇太子の疑っていた第三者か。お嬢ちゃんたちを除くと、残りの31人はどうした?」

「おや、そこまで絞り込めてるのか。3人組が捕まるのも時間の問題かな?」

「あんたもひどいね。ありゃ、囮かい?」

「そんなつもりは無かったんだけどね。元の世界に帰りたくないって言った男の方だからね。自力でどうにかして欲しかったのさ。まあ、捕まる可能性も頭にはあったけど」

「元の世界に返せたのかい?!」

「俺がしたわけじゃない。伝手を使ったのさ」

「それでも、31人は帰ったんだね。ジョンソン、各冒険者ギルド及び帝国本部のその他ギルド長に秘密の通信で通達だ。『35人はもういない。ギルドが不利にならないように動け』とね。」


 ジョンソンは、慌てた感じで出て行った。婆様は話を続ける。


「戦争が起こっても、基本、冒険者ギルドは中立だ。こちらにも敵対するってんなら迎撃するけどね。それに皇都外への探索は、早くても1ヶ月先だろう。その間は、この国のギルドの為に働いてくれないか?」

「嫌だと言ったら?」

「まぁ、諦めるしかないね。冒険者は自由だからね。だけど、働いてくれるなら、逃亡用のギルド証じゃなく、正式な物を出してやる。ランクはBまでが可能だが、この国の貴族とは付き合いたくないだろう?だったらCにしといてやるよ。あ、お嬢ちゃんたちはFだよ。」

「まぁ、貴族はどちらかと言えば付き合いたくはないな。嫌な貴族は潰したいくらいだ。だが、出来れば、1から上げたいのが、本音だな。」

「なんだい。叩き上げがいいのかい?でも、残念ながら、そのステータスの人間を下位に置いときたくないんだよ。それに、ランクの数が多い分、Cランクのリーダーなら、パーティにいちゃもんつける馬鹿は少ないからね。」

「それでもいるには、いるんだな」

「まぁ、実力主義を掲げるバカばかりだからね。」

「で、頼みたい内容によるが、先に決めないと言えないってんなら、逃亡用でいいぜ?」

「あー、邪魔者ジョンソンもいないし、言っちまうか。本当はダメなんだけどな。王国までの国境まででいいん、貴族たちを懲らしめてくれないか。獣人やら友好的な亜人やらを私兵を使って攫っていてね。冒険者が含まれてないから、こちらから手出しができないんだよ。」

「冒険者は殺されているって可能性は?」

「限りなく黒に近いが、そう考えている。ただ、証拠がない。おそらく、魔物モンスターの腹のなかに収まっちまったんだろう。」

「依頼の未完遂とかじゃ、証拠能力は低いか。そんな依頼じゃ、有名どころは使いづらいか。兵力とかを見て、実行しない事もあるけどいいか?」

「構わん。冒険者が冒険・・をするなんて、本末転倒だ。しぶとく生き延びてるから冒険者なんだからね。『冒険しない者に殻を破ることは出来ない』って言う輩もいるだろうが、お嬢ちゃんたちはともかく、あんたは関係ないだろう?」

「んー、ユリエたちはどうしてほしい?」

「私たちは、ユズル様の奴隷です。お邪魔なら、宿屋とかで留守番しておきます。」

「受ける事前提か。いいね。ばぁさん、その話を受けよう。ただし、期間は、この国を出るまでだ。それでいいか?」

「それでいい。契約成立だ。ギルド登録料は通常だから金貨24枚と銀貨95枚だ、返すよ。」


 冒険者ギルドとの契約は成立した。報酬は、皇城同様、貴族が持つ金銀財宝を奪う事を前提に「もしもの時の4人の身の安全」と謙譲ゆずるは提示したが、婆様は、それはギルドとして当然だと却下し、全件一律金貨500枚となった。

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