第15話 慣れてないんです
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「こ、これは、『器』の力か?」
さすがケレブリル。女性なので、年齢には触れてはいけないのだろうが、4桁もあると知識量は半端ないようだ。だが、具体名を出させるとまずいと感じたので、釘を刺さねば。
「これ以上は言うな、ケレブリル。秘密だ。他の者にも言うなよ。俺の能力は全て秘密だ。」
「む?言ってはダメなのか?自慢の主人殿と、喧伝したいのじゃが。」
「ダメだ。」
「なぜじゃ?」
具体的に言うとフラグになりそうなんだが
言わないと堂々巡りになりそうだよなぁ
謙譲は、奴隷の扱いに慣れていない為、「命令」してしまえば、理由を言わなくても大丈夫だと、気づかなかった。
「自分で考えるのもそうなんだが、職種とかスキルとか言われたりすると、職種の選択肢が増えたり、スキルが増えたりするんだよ。」
「え?『勇者』とか『英雄』とか『聖騎士』とか?」
【職種「勇者」が選択できるようになりました。】
【職種「英雄」が選択できるようになりました。】
【職種「聖騎士」が選択できるようになりました。】
「うわー、言うなって!」
「え?職種が増えたのか?」
「・・・」
「本当に?!それは、『神の寵愛』ではないか。」
【固有スキル「神の寵愛」を獲得しました。】
【複数神の加護を確認、固有スキル「神の寵愛」は固有スキル「神々の寵愛」に進化します。】
【固有スキル「神々の寵愛」獲得に伴い、称号「神々に愛されし者」を獲得しました。】
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おぅふ
なんか仰々しいの来た
そして、色々上がった
固有スキル「神々の寵愛」は、所有者の成長度を加速させる最上位スキルのようだ。ただし100倍スキルとか1/100スキルに対しては無効らしい。問題は、スキル獲得がさらに上昇する事と、職種や肉体レベルの上限が緩和された事だ。説明文を読むと職種Lv.10が50個で職種レベルの上限が50まで上がり、さらに職種Lv.10〜50の合計が2500で職種レベルの上限が100になるはずだった。しかし、「神々の寵愛」の影響で、一気に職種レベルの上限が100になった。また、肉体レベルも100から1000に、1000から9999になった。実際上がったりしなかったのが、せめてもの救いである。
ケレブリルを止めるには
どうしたら良かったんだ?
《マスター、命令すれば良かったんです。彼女は奴隷ですから。》
orz
「ケレブリル、これ以上言うな。これは『命令』だ。」
「うぐ、申し訳ありません。」
「本当は、命令なんてしたくなかったんだ。その気持ちは、察してほしい。」
ケレブリルはひとまず置いといて、裸の騎士たちをどうにかしたい。午前中に作った「ど○で○○ア」もとい、「四次元の扉」を馬車の幌内に設置する。この「四次元の扉」だが、勝手に名前が付いていた。某ポケットを連想させる名前も勘弁して欲しかった。そして、扉のルビもだ。
彼女たちには、拡張版「伝説の野営具的な何か」に入ってもらう。残念ながら、一般の布はなかったが、有り合わせで上級な布をまとってもらい、創匠魔法で作った騎士鎧を着用し、深紅のマントを羽織って貰う。マントには鼠が鍬を担いだ絵が描いてある。義賊と言えば、鼠小僧か裏宿七兵衛でしょう。というセンスの無い、安直なイメージからくる絵だ。
今後の方針として、ペサジャストン王国第二王女を救出する事。帝国からペサジャストン王国に向かう事、ペサジャストン王国に向かう途中で不当に捕らえられた獣人や精霊種たちを救う事を伝えた。また、ペサジャストン王国に入ってからは、第二王女を送り届けるか近隣の大貴族に預けたあと、義賊としての行動をとるつもりでいる事を説明する。元騎士の12人には、嫌なら抜けてもいい旨伝えたが反対はなかった。まぁ、奴隷だからかもしれないが。
さて、宿屋で待っている。6人組も紹介しないといけないな。
「他にも仲間がいるから、あとで紹介するよ。」
彼女たちには再度、扉の向こうに行ってもらい、馬車で宿屋に戻った。謙譲は馭者スキルレベル向上の為、馭者台に座ろうとした。しかし、奴隷がいる場合は、奴隷の仕事だと、パルヴィが譲らなかった為、スキルレベルアップは諦めることにした。宿屋に戻った後、6人と合流し、交流を深めてもらう。
帝国では人種至上主義が一般的であるが、他国やこれから向かうペサジャストン王国では、そんな事はない。だからこその世界第一国なのだろう。この世界は1つの大陸に国が密集している。大陸の形はパンゲア大陸を反転させたような形で、中央にサルーン帝国とペサジャストン王国が隣接しており、周囲には様々な小国がある。2国の北側には大森林があり、大森林の中には獣人の種族が住む村々や精霊の種族が住む里々(さとざと)がある。さらにその北側にあるのが、アルメリア魔国である。ちなみに、2国の南側には砂漠地帯があり、砂漠地帯の中にも20ヶ国ほど国がある。その20ヶ国の集合体をフィドーナ共和国と言う。
サルーン帝国の狙いは、大森林にある獣王国や精霊国を滅ぼし、大森林を開拓し、ペサジャストン王国よりも優位に立つ事である。しかし、それはもうありえないだろう。なぜなら、謙譲が、それを許さないからだ。
謙譲は、日本ではもう小説の中でしか聞かなくなった奴隷という制度が、世界的に見れば、まだどこかしらに残っていることは知ってはいても、自分たちには関係がないような感覚だった。しかし、今回、召喚されるに当たって、隷属を強要した帝国を許してはいなかった。だからと言って、謙譲に対して奴隷になりたがる不思議な傾向を無視してまで、奴隷制度の撤廃を求めるつもりはない。強要する事に怒っているから、姫を救おうと獣人たちを救おうとしていたのだ。それで帝国が潰えるなら仕方がないと。それはとても我儘で強慾な志向だった。
先程一部述べたが、奴隷商から連れてきた騎士奴隷は、パルヴィ、ピーア、ライサ、レーッタ、リーッカ、サデ、サイニ、サイマ、シリヤ、シルパ、ソニヤ、スヴィと言う。そして、エルフ奴隷がケレブリル、アレゼル、エレンミアと言い、獣人奴隷がアルメル、オドレイ、バルバラという名前であることがわかった。
立場上、騎士奴隷頭をパルヴィとし、亜人奴隷頭をケレブリルとした。特に何かの役割があるわけではないが、今後増えるであろう奴隷のトップを決めておく事にしたのだ。勿論、騎士奴隷たちには護衛も兼ねさせる。元JK4人組は冒険者としても活動が出来るが、護衛任務を行うには経験が足りなさすぎる。
この世界に来て分かった事だが、年齢が下がった事により、営業で培った社会的な記憶や高校大学で覚えた知識的な記憶はあるものの、出会った人たちの記憶が曖昧になっていた。もしかしたら、出会った人の記憶も知識の一部になっているのかもしれない。この子らに「帰りたいか」と聞いた時に、誰かは思い出せないものの、知り合いにいた気がするからだ。この状況が神によるものなのか、ペンダントの効果なのか、別世界に来たからかは分からない。
JK4人組の反応からして、謙譲とは知り合いのようなのだが、全く思い出せないし、分からないという状況なのだ。ならば、彼女たちには申し訳ないが、一から関係を作れば良いのだ。まぁ、とは言っても、もう、そういう関係なのだから、一からと言うのはおかしいのだろう。悩んだ末に、その事を謝ると、サツキがものすごい勢いで凹んでいた。
新しく仲間になった18人には申し訳ないが、この街を出るまでは、四次元の扉の中に待機してもらう。今夜さらに12人以上増える。予定では最大24人。依頼の姫が1人と依頼はないが騎士奴隷が付き従っていた姫が11人。
王子とかに従っていたのがいなくて良かった〜〜。ご都合主義様々だねー。11人は国に帰れないことを説得した後、料理だったり裁縫だったりと平民の生活スキルを身につけてもらって、希望を募った上で、逐次奴隷解放の予定だが、どうなるか分からない。
さて、ケレブリルが奴隷制度について説明してくれたのだが、地球の常識は通用しなかった。と言うよりも衝撃的な内容だった。基本的に、一度奴隷になった者は、特別な理由が無いと奴隷解放が出来ないし、奴隷解放を望まない。勿論、違法奴隷や奴隷になったばかりで奴隷になった理由を理解出来ていない子どもは奴隷解放を望むらしいが、そのまま奴隷歴が数ヶ月に及ぶと徐々に諦め始める。そして、1年以上になると、逆に望まなくなるらしい。奴隷解放可能な条件は主に2つ。主人の死亡、奴隷破棄。死亡は諦めがつくが破棄は辛いと言う。そして、死亡による奴隷解放の場合は、主人に家族がいれば、その家族に契約変更を望み、家族がいなければ、奴隷商に自身を売り込みに行くらしい。奴隷だった者が、奴隷でなくなると生きていけないのが常識らしい。
いや、そこのJK4人!
うんうんと納得しているが
君ら地球の常識はどこへやった?!
まだ奴隷歴10日未満だよね?
話を戻すが、奴隷破棄と言っても、奴隷にも少なからず人権はあるので、不法投棄は出来ない。不法投棄すれば、主人が厳罰を食らう、最悪国外追放もあるのだ。だいたいは、奴隷商に売られる。こちらの常識では、契約魔法を使えるのは、国家に登録された魔法師の数名だけで、普通はほいほい登録変更なんて出来ないのだとか。ケレブリルには、主殿がいかに規格外かを力説された。ちょっと凹む。
奴隷については、これくらいにして、本日の予定だが、今夜、姫らを救出に再度、皇城に乗り込む。勿論、一人で。JK4人組は心配してないようだが、事情を知らない20名はやや心配しているようだ。いや、実際心配してるのは、ギルド組の2人だけで、それ以外は「御心のままに」などと祈っている。
正直、やめてほしいが、一部しか見せていないが固有魔法を2つは使える事を知られている。契約魔法と治癒魔法だ。それに、18名は『器の力』なる固有スキル持ちだとも思っている。固有はスキルにしても魔法にしても、使える人間が少ない。どちらか1つを持っている者ですら珍しい。複数持ちは、英雄王になるか、魔王になるかくらいの伝説級なので、祈らずにはいられないらしいのだ。こっちの世界にくる時、自重しないと決めた。なら、祈りたい奴には祈らせておけばいい。ちなみにこの話を聞いた時に、選択可能職種に「王族」「国王」「英雄王」「魔族」「魔人」「魔王」が増えたのは、内緒にしている。
なんなら、複数職業とか良いよね!(ヤケ)
10個とか20個とかさ
【固有スキル「複数職業Lv.1」を獲得しました。】
【固有スキル「複数職業」が一定条件を満たしましたので、「複数職業Lv.19」までレベルアップしました。】
【あと、19個職業設定が可能です。どうされますか】
おぅふ
あ、あとで
【了解です。】
orz
余計な事を考えてしまった
やばいストックがなくなった。
次の話頑張ります。




