第13話 欠損奴隷を買おう
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さて、あと1泊する為に、宿を取るか。お姫様達をどうやって連れて行こうかね。果たして12人で終わるかね。まぁ、馬車を買うとして、改良するか。どーすっかね。
奴隷っ娘4人組との待ち合わせまで、少し時間があったので、昨日の宿に同じ部屋を取りに行き、待ち合わせの公園に戻っていた。先ほど、急遽決まった話ではあるが、皇城に少し戻らねばならない。奴隷姫達が、単身で拉致られてるとは考えにくい。少なくともメイドなり騎士なりが随行していた可能性が高いのだ。そうなると、メイド1人騎士1人で3倍の人数がいるはずだ。そうなると、大人数で越境ということになる。元々の依頼でも人数が増える予定だ。それらを連れて行くだけの施設が必要なのだ。
救い出すとしても、奴隷解放は、男どもだけでいいだろう。ファンタジーな女の子たちは、奴隷変更で、そのまま連れて行く。うっひょー!!
そんな妄想は脇に置いて、話を戻そう。今回は追加依頼の姫様とその他奴隷たちだ。先ほども述べたように、姫様たちが単身でいるなんてあり得ない。そして、単身で助けたとしても、「メイドの○○は助けて」とか「騎士はどうなったのでしょう、よろしければ助けてくださらない?」とか言われそうだ。いかん、まだ妄想に引き摺られてしまったか?ともかく、メイドは一緒の部屋にいるとして、騎士をそのままにしておくか。否である。勿論、奴隷である事は間違いないだろうが、五体満足でいられるか。おそらく、それも否である。睡眠中に奴隷にするという昔話に出てきそうなホラーが通用する者が、特に姫の近くに侍る騎士にはなれまい。とすると、考えられるのは、欠損奴隷として、奴隷屋に流れている可能性だ。
探すの手間だなぁ
《マスター、朗報です。》
嫌な予感しかしないが?
《この街の奴隷商会に、欠損奴隷が大量入荷しました。マスターに必要な人数は12人です。》
12人もの欠損奴隷を一気に買えと?!
どんな変態なの?
まぁ、直すけどさ
治癒魔法で
この世界の回復魔法は2種類ある。1つは光属性と聖属性の複合魔法である、いわゆる回復魔法。こちらはHPは回復するが、状態異常や欠損は治せない。もう1つは固有魔法「治癒魔法」。こちらは、HPは勿論、状態異常や欠損も回復する。ただし、欠損部位がその場にあれば、違和感なく繋がるだけだが、それがない場合は、生えてくるのだ。なくなったはずの手や足が。治癒という名のグロ魔法なのだ。
そんな事を考えていると、奴隷っ娘4人組が合流した。少なくとも、もう1泊はこの街に滞在する事と、追加依頼が発生した事を伝える。
それにしても、カナミには驚かされた。合流した直後、ソソっと近づいてきて、スンと何かを嗅ぎ取ったのか。「ムム、2人」と呟く。奴隷っ娘4人組で、何かコソコソ話して、ちょっと睨まれた。その後、冒険者ギルドのお茶汲み女性職員とキャシーが合流した時、「ムム、この2人」と呟き、ギルドの近くでランチタイムする前に6人で何らかの協議が行われていた。
楽しくランチタイムを送っていたはずが、いつのまにか、キャシーとサーシャがギルドを辞めて、こちらに合流するという流れに話が変わっていた。サーシャというのは、お茶を持ってきた女性職員だ。しかも、6人の話では、2人も奴隷になると言うのだ。
どうしてこうなった?!
奴隷って、
どう考えてもバッドステータスのはずなんだが
「殿!いかがでしょうか?」
「いやいや、合流するという流れまでは、本当はついていけないけど、無理矢理納得するとして、なぜ奴隷?」
「殿の元では皆平等であるべきです。」
お前って
語尾統一する気ないのな
謙譲が現実逃避したくなる気持ちも分かってもらいたい。日本人の感覚として、奴隷は忌避感があるはずだ。一部18禁な書物やビデオプログラムを除けば、犯罪臭しかしない。特に、目の前に迫ってくる忍者は、元を辿れば、女子高生なのだ。18禁どころか発禁物の裏ルートでも高額取引されそうなヤバいやつだ。そいつらが望むものが奴隷とか、なんなんだ。ご都合主義ってこんな風に使う言葉じゃないだろ?主人公補正もこんな感じじゃなかったはずだ。
しかし、ここで否定すると謙譲がおかしい人の流れだった。もういいやぁ、と言う気分で、承諾せざるを得なかった。そして、ズルズルと、この街の滞在期間が伸びていく。というわけで、あと1週間はこの街にいなければならなくなった。
時間ができたら、出来たで謙譲には都合がいい。キャシーが借りている一戸建ての庭を借りて、購入した馬車を改良することになった。買ってきたのは10人乗りの中型馬車である。これを100人でも乗れる某倉庫のような馬車に改良する。構想はある。手元に伝説の野営具もあるのだし、上位鑑定を使って解析し、作ってもいい。こちとら固有魔法「創匠魔法」「空間魔法」「広域魔法」「結界魔法」持ちだぜ。
無から有を生み出すことは出来ない、そう思うだろう?そこで固有魔法「創匠魔法」というチートの出番だ。MPさえ注ぎ込めば、無から有を生み出せる。しかも、「MPを○○注ぐ」と想定すれば、実際消費しなくても良い。いや、普通は消費するんだが、謙譲が魔法を使う際には、消費MP減少EXがある為、消費しないと言うだけなのだ。
まずは、伝説の野営具の解析だ。手に持ったり中に入ってみたりしながら、必要MPを換算していく。区画作りも可能なようだ。個室も作っちゃえ。お風呂も必要だよね〜。厨房もだね〜。10人くらい入れる寝室もいるかも?!などと妄想が妄想を呼び、桁違いのMP消費を想定した為か、某倉庫どころか、1万人入る扉が出来上がってしまった。
そう扉なのだ。扉を開ければし○かちゃんのお風呂場ではないが、亜空間にある屋敷内に繋がる。作る際の入り口の想像がアレだっただけだ。勿論、ピンクではない。それはマズイと、何かが叫んだ。空色だ。それはそれで何かおかしいのだが、まぁ、仕方ない。まだ、出来ただけで、完成ではない。個室にしても大部屋にしても家具やら厨具やら色々足りたい。寝具・家具や厨具は、なんとかなった。皇城や各地の皇族たちの城から掻っ払ってきたものでなんとかしたが、風呂場は流石にない。皇城に行くんだ。なんとかすれば良いだろう。
移動住居の確保も出来たし、例の奴隷商館にでも行ってみますかね。出来るだけ安く仕入れたいんだけどなあ。まぁ、金に糸目をつけても仕方ない。奴隷商館に目を向け、広域鑑定を発揮した。
うわぁ
見事に欠損奴隷ばかりだね〜
48人もか
この商館は何か弱味でも握られてるのかね〜
《マスター。弱味ではなく、ただの仲介です。夕刻に冒険者を名乗る盗賊の頭領が買いに来るシナリオのようです。》
ふーん
腐った奴らは、腐った奴腹と連むってか
《いえ、盗賊どもも踊らされているだけのようです。買い取った後、皇軍に討伐される見込みです。》
じゃ〜〜人数がおかしいとまずくないか?
《大丈夫です。》
なんで?
《お任せください。》
理由は、知らなくて良いと
《はい。》
ふーん
じゃ、任せるよ
謙譲は、着替える為、一度宿屋に戻った。そして、サツキが選んだ少しばかり立派に見える服を選んで、商館へ向かった。商館は奴隷を扱っているとは、思えないほど、小綺麗な感じだった。
「やあ、ようこそお越しくださいました。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「冒険者の者だ。」
「おや?夕刻時と聞いていたのですが?」
店主らしき男が訝しげだ。スキル「詐術Lv.1」発動。
「女だけは先にと言われてな。それと、個人的にも別途欲しくなってな。珍しい奴隷が東から入ったとか。」
【スキル「詐術」がレベルアップしました。】
「しかし、お話では、預かっている者たちだけのはず。」
「勿論、珍しい奴隷は、きちんと払うよ。白金貨2枚くらいの相場の奴がいるだろう?」
【スキル「詐術」がレベルアップしました。】
「ああ、なるほど。話は通ってらっしゃるのですね。しかし、冒険者殿は、いや、詮索は止しましょう。どのように運びます?」
「馬車を用意してある、裏に回して、首輪をつけて積んでくれるか。」
「しかし、アレはそのような目的に使えるのですかな?」
「知らんよ。リーダーは好き者だからな。」
【スキル「詐術」がレベルアップしました。】
「うひひひ。分かりました。約束のうち、女の方は積んでおきます。珍しい奴隷の方は、どうします?連れてきますか?」
「どれくらいの数がいる?」
「エルフ3と獣3ですな。」
「なら、全員で白金貨12枚でいいか?」
「見ないので?」
「両手の指の数よりも多いなら、見ても良かったが、6ならそのままでいい。こっちも首輪でいいぞ。」
「契約紙を用いれば、目立ちませんよ?」
「首輪が、いい音色を出すだろう?」
「うひひひ、旦那さんも好き者ですなぁ。ん?積んだか?旦那さん、用意出来たようです。裏口はあちらとなります。」
ふぃ〜、乗り切った。
《マスター、SP500の利用許可を。》
あいよ
一旦、偽装の為、馬車で街の外へ出る。スキル「操車」のレベルアップを確認したあたりで、馬車を草原の方に乗り入れ、街道から外れたところで、馬を止めた。御者台から、幌の方へ、謙譲は移動する。さて、18人とご対面と行きますか。




